映画評「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2004年イギリス映画 監督ビーバン・キドロン
ネタバレあり
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
公開から3年以上も経っての放映で完全に【証文の出し遅れ】になってしまった。そもそも本作が作られたのが第1作から3年後だから、完全に単独で判定するしかない。いずれにしても、これほど続編が作られる時代にシリーズの新作が作られる度に旧作に付き合う時間は本格的映画ファンにはない・・・という以前にビデオ普及前のことを考えればそれ(旧作を観直さずに観ること)が当たり前なのだ。つまり、ソフト普及が映画のシリーズ化を進ませることになる。
前作の最後で弁護士マーク(コリン・ファース)をステディな恋人にしたTVレポーターのブリジット(レネー・ゼルウェガー)が怖い仕事もなりふり構わずにこなす一方で、美人助手レベッカ(ジェシンダ・バレット)の出現で彼との関係が微妙な雰囲気になったのも束の間誤解が解けて却って愛情を深めるが、法曹界のパーティーで露呈した感覚のすれ違いから自ら別れを切り出してしまう。
その後タイに一緒に繰り出すことになった前の恋人にして同業者のダニエル(ヒュー・グラント)にほだされかかるが、帰国の際に麻薬密輸事件に巻き込まれて一人監獄へ。その窮地を救ったのが弁護士マークということが判明、後はご想像通りの結末となるのであります。
誠に他愛無いラブ・コメディーであるが、「サウンド・オブ・ミュージック」がレネーの歌で始まるという開巻から楽屋落ち的な作劇の方針が明確になっているのが宜しい。その後「007/私を愛したスパイ」の主題歌「ノーバディ・ダズ・イット・ベター」がカーリー・サイモンのオリジナルで掛ってご機嫌、ジェームズ・ボンドがジョーズと上空で闘ったのはこれだったか「ムーンレイカー」だったか考えているうちに、ブリジットが飛行機からダイブする場面へと入っていく。
彼女が何とか落下した先が豚の養育場で、糞まみれになったお尻が強調される辺りは英国喜劇の趣味の悪さをわざと出しているが、キャロル・キングがシュレルズに提供した「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ」や10ccの「アイム・ノット・イン・ラヴ」、マーヴィン・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」といったお馴染みのラブソングの使い方は大変上手い。
タイに乗る飛行機上で読まれている本がタイを舞台にした小説で映画化もされた「ザ・ビーチ」で、タイで刑務所入りは「ブロークダウン・パレス」のパロディーみたいなもの。監獄の中でブラジャーをインサイド・アウトに着てブリジットが他の囚人たちとマドンナ最初のヒット曲「ライク・ア・ヴァージン」を歌い、帰国後の場面で今度は本物のマドンナが歌う「マテリアル・ガール」が被さる、といった具合にヒロインは通俗知識が豊富という設定を生かした作劇にもなっているのである。
恋愛映画としては何ということもないが、お遊び的に楽しめば良い。逆にポップ・カルチャーの知識が全くないとつまらない作品ということになる。
これから始まるわたしの12か月・・・きれることはないでしょう。
2004年イギリス映画 監督ビーバン・キドロン
ネタバレあり
明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

公開から3年以上も経っての放映で完全に【証文の出し遅れ】になってしまった。そもそも本作が作られたのが第1作から3年後だから、完全に単独で判定するしかない。いずれにしても、これほど続編が作られる時代にシリーズの新作が作られる度に旧作に付き合う時間は本格的映画ファンにはない・・・という以前にビデオ普及前のことを考えればそれ(旧作を観直さずに観ること)が当たり前なのだ。つまり、ソフト普及が映画のシリーズ化を進ませることになる。
前作の最後で弁護士マーク(コリン・ファース)をステディな恋人にしたTVレポーターのブリジット(レネー・ゼルウェガー)が怖い仕事もなりふり構わずにこなす一方で、美人助手レベッカ(ジェシンダ・バレット)の出現で彼との関係が微妙な雰囲気になったのも束の間誤解が解けて却って愛情を深めるが、法曹界のパーティーで露呈した感覚のすれ違いから自ら別れを切り出してしまう。
その後タイに一緒に繰り出すことになった前の恋人にして同業者のダニエル(ヒュー・グラント)にほだされかかるが、帰国の際に麻薬密輸事件に巻き込まれて一人監獄へ。その窮地を救ったのが弁護士マークということが判明、後はご想像通りの結末となるのであります。
誠に他愛無いラブ・コメディーであるが、「サウンド・オブ・ミュージック」がレネーの歌で始まるという開巻から楽屋落ち的な作劇の方針が明確になっているのが宜しい。その後「007/私を愛したスパイ」の主題歌「ノーバディ・ダズ・イット・ベター」がカーリー・サイモンのオリジナルで掛ってご機嫌、ジェームズ・ボンドがジョーズと上空で闘ったのはこれだったか「ムーンレイカー」だったか考えているうちに、ブリジットが飛行機からダイブする場面へと入っていく。
彼女が何とか落下した先が豚の養育場で、糞まみれになったお尻が強調される辺りは英国喜劇の趣味の悪さをわざと出しているが、キャロル・キングがシュレルズに提供した「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロウ」や10ccの「アイム・ノット・イン・ラヴ」、マーヴィン・ゲイの「レッツ・ゲット・イット・オン」といったお馴染みのラブソングの使い方は大変上手い。
タイに乗る飛行機上で読まれている本がタイを舞台にした小説で映画化もされた「ザ・ビーチ」で、タイで刑務所入りは「ブロークダウン・パレス」のパロディーみたいなもの。監獄の中でブラジャーをインサイド・アウトに着てブリジットが他の囚人たちとマドンナ最初のヒット曲「ライク・ア・ヴァージン」を歌い、帰国後の場面で今度は本物のマドンナが歌う「マテリアル・ガール」が被さる、といった具合にヒロインは通俗知識が豊富という設定を生かした作劇にもなっているのである。
恋愛映画としては何ということもないが、お遊び的に楽しめば良い。逆にポップ・カルチャーの知識が全くないとつまらない作品ということになる。
これから始まるわたしの12か月・・・きれることはないでしょう。
この記事へのコメント
昨年はお世話になりありがとうございました。
なかなか普段はコメントができなくて申し訳ありません。
今年もまたよろしくお願いします。
拙ブログの古い記事で恐縮ですがTBさせていただきました。
この作品、ベタながらも好きなんです。
DVD前作と合わせて持ってたりします(笑)
不況ですが、キレたくはないですねぇ。
俺もwowowは結構見ているので、いつも「そろそろTBがくるな~」などとオカピー様の記事を待っていたりします(笑)
この映画は音楽を知ってるかどうかでかなり楽しみ方が違うであろう映画でしたよね。
「サウンド・オブ・ミュージック」は大好きな映画ですので、パロディがあると嬉しくなっちゃいます。
そんなこんなで今年もよろしくお願い申し上げます。
こちらことTB貼り逃げの連続で大変失礼しております。
>古い記事
それはお互い様です。
特にこちらはWOWOWが中心なので、早くても1年くらい後ですからね。
もっと映画館にも行きたいですが、なかなか。
比較的アメリカ映画的ですが、それでも英国的な乗りがあって僕もこのシリーズは割合好きですよ。
>不況
今年1年はダメでしょうねえ。
2011年から上向き、と根拠もないのに僕は踏んでいますが。
>音楽を知ってるかどうかでかなり楽しみ方が違うであろう映画
そうでしたね。
でも、「洋楽名曲集かいっ!」とそこを批判するひねたお方もいらっしゃるんですよ。同じお金を払うなら楽しめるなら楽しんだ方が得なんですけどね。彼は有名な楽曲が使われたことを承知してのたまわっているのでしょうから、勿体ない事をしているなあとつくづく思います。
言わば潔癖症なんでしょう。
てなわけで、こちらこそ宜しくお願い致します。