映画評「ハイジ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年イギリス映画 監督ポール・マーカス
ネタバレあり

ヨハンナ・シュピリの「アルプスの少女ハイジ」(原題Heidi)は全世界的に人気があって1920年に始まり分っているだけでもこれまで各国で19回の映像化がある。日本でもTVアニメシリーズのおかげで知らぬ者がいない程の人気だから改めて語る必要もないだろうが、一応お話をば。

両親を事故で失った少女ハイジ(エマ・ボルジャー)が強欲な伯母により山に籠っている祖父(マックス・フォン・シドウ)に預けられる。祖父は頑固だが根は善良な人物で互いに離れがたく思い始めた頃再び伯母が現れて無理やりフランクフルトに連れて行かれ、上流階級の足の悪いクララ(ジェシカ・クラリッジ)のお相手を務めることになる。
 仕事で父親が家にいないことが多いこの家を実質的に仕切っている女執事ロッテンマイヤー(ジェラルディン・チャップリン)はハイジを嫌うが、たまに家を訪れるクララの祖母(ダイアナ・リッグ)に気に入られた結果ハイジは祖父のいるアルプスへ帰ることになり、町の人々を避けていた祖父も町へ降りてハイジの就学を認めてくれる。

ハイジの天真爛漫な自然児たる言動がやはり魅力となるお話で、「イン・アメリカ 三つの小さな願いごと」で誠に愛らしい印象を残したエマ・ボルジャーがハイジを演じて相変わらず可愛らしい。

監督ポール・マーカスが素直にのびのびと作っているので好感が持て、アルプスにロケをした成果たる風景は壮観。児童ものは下手な小細工を弄せずのびのびと作ったほうが却って大人にも楽しめるということを見事に証明する佳作と言うべし。

エマお嬢ちゃん以外の演技陣も充実していて、マックス・フォン・シドウはさすがの貫録。ジェラルディン・チャップリンは漫画的演技が楽しい。ダイアナ・リッグはすっかりお年を召したが、懐かしかった。

この記事へのコメント

シュエット
2009年01月14日 15:20
私観ました。
思わず涙ぐんでしまいました。
アニメとか、子供の頃「少年少女世界文学全集」の世界で知っている作品って実写では観ない方で、この作品も偶然観てしまったけれど、配役も違和感なくって、おじいさんとハイジの絡むシーンなどは、涙ぐんでました。
実写もなかなか捨てたもんではないなって思いました。
イギリス映画の品格もあるんでしょうね。
オカピー
2009年01月15日 01:23
シュエットさん、こんばんは。

わがHPの企画で原作ごとにリメイクを調べているんですが、可愛いエマ・ボルジャーちゃん主演の「ハイジ」が日本で公開されていたと知って、観たかったんですよ。
実はTVアニメシリーズは完全には観ていないし、原作を読んだのも大昔で凡そのストーリーしか記憶になかったものですから。

アルプス・ロケが効果抜群、英国貴族風タッチとでも言うべき品格をもって展開しているので、僕は大変気分良く見させて貰いました。

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  • ハイジ

    Excerpt: アルプスの山や、おんじの山小屋の雰囲気は、日本のアニメによく似ています。どちらもわりと原作に忠実な設定なので、日本人としては安心して(?)楽しめる作品なのではないでしょうか。ロッテンマイヤーさんがシブ.. Weblog: 映鍵(ei_ken) racked: 2010-02-19 17:42