映画評「アース」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2007年イギリス=ドイツ映画 監督アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド
ネタバレあり
自然ドキュメンタリーのブームは依然続いているようだが、僕が未だに一番推したいのは「ディープ・ブルー」。メッセージらしいものを排除したおかげで、自然の驚異・実写の凄味が見事に伝わり暫し声を失ったものである。
その後続く同種作品は「地球温暖化への警告」がちらほら出てくる部分が映像作品として些か厭らしく、「皇帝ペンギン」はポストプロダクションの擬人的なナレーションが興醒めだった。
で、色々と出た後の本作は内容的には実は新味が薄い。
北極から始まり寒帯のツンドラ地帯、亜寒帯のタイガ地帯、冷帯を過ぎ、我々のいる温帯を無視して熱帯、そして南極まで南下していくアイデアが面白く、ホッキョクグマとセイウチ、チーターとトムソンガゼル、ライオンとアフリカゾウの生死を賭けた戦いは迫力があり、対決の図を動物同士だけではなくヒマラヤ山脈に挑むアネハヅルといったところにまで広げて感興を呼ぶ部分が少なくはないものの、TVの自然ドキュメンタリーを始終観ている僕には殆ど観たことがある要素ばかりなのである。
にもかかわらず、満足度は高い。全編HD画像のクリアな映像が圧倒的で、従来のアナログ的な感覚ではどう撮ったのだろうかと思える部分が相当にあるのだ。
ライオンとアフリカゾウの真夜中の対決が綺麗に撮れているのは純粋に性能アップと言えば済むだろうが、次の二点に驚いた。
一つ、鳥(カモメだったか?)のアップからどんどんズームアウトして数万匹と思われる集団全体を捉えるショットでは、物凄い倍率のズームを使っているはずなのにアップ時の映像が全く揺れない。
或いは何日もかけて撮ったに違いない微速度撮影では、ズームしている(ように見える)のに対象がリアルタイム映像のように滑らかに動く。
思い起こすに、「WATARIDORI」でも既に最初のショットは実現していたような気もするが、今回は内容に新味が薄いのが怪我の功名、映像そのものに注目して観る余裕があったせいか初めて実感した次第。お粗末ですか? その場合は「今さらジロー」とお笑いください。
2007年イギリス=ドイツ映画 監督アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド
ネタバレあり
自然ドキュメンタリーのブームは依然続いているようだが、僕が未だに一番推したいのは「ディープ・ブルー」。メッセージらしいものを排除したおかげで、自然の驚異・実写の凄味が見事に伝わり暫し声を失ったものである。
その後続く同種作品は「地球温暖化への警告」がちらほら出てくる部分が映像作品として些か厭らしく、「皇帝ペンギン」はポストプロダクションの擬人的なナレーションが興醒めだった。
で、色々と出た後の本作は内容的には実は新味が薄い。
北極から始まり寒帯のツンドラ地帯、亜寒帯のタイガ地帯、冷帯を過ぎ、我々のいる温帯を無視して熱帯、そして南極まで南下していくアイデアが面白く、ホッキョクグマとセイウチ、チーターとトムソンガゼル、ライオンとアフリカゾウの生死を賭けた戦いは迫力があり、対決の図を動物同士だけではなくヒマラヤ山脈に挑むアネハヅルといったところにまで広げて感興を呼ぶ部分が少なくはないものの、TVの自然ドキュメンタリーを始終観ている僕には殆ど観たことがある要素ばかりなのである。
にもかかわらず、満足度は高い。全編HD画像のクリアな映像が圧倒的で、従来のアナログ的な感覚ではどう撮ったのだろうかと思える部分が相当にあるのだ。
ライオンとアフリカゾウの真夜中の対決が綺麗に撮れているのは純粋に性能アップと言えば済むだろうが、次の二点に驚いた。
一つ、鳥(カモメだったか?)のアップからどんどんズームアウトして数万匹と思われる集団全体を捉えるショットでは、物凄い倍率のズームを使っているはずなのにアップ時の映像が全く揺れない。
或いは何日もかけて撮ったに違いない微速度撮影では、ズームしている(ように見える)のに対象がリアルタイム映像のように滑らかに動く。
思い起こすに、「WATARIDORI」でも既に最初のショットは実現していたような気もするが、今回は内容に新味が薄いのが怪我の功名、映像そのものに注目して観る余裕があったせいか初めて実感した次第。お粗末ですか? その場合は「今さらジロー」とお笑いください。
この記事へのコメント
>その後続く同種作品は「地球温暖化への警告」がちらほら出てくる部分が映像作品として些か厭らしく
私も次々出てくる作品に、最後は地球温暖化へのメッセージ。ちょっと辟易ムードだったから。
でも先日のWOWOW放映で観て、やはりその映像は見事で、満足しました。確かに見たことがある映像ではあるけれど、この作品に集約されている。「ディープ・ブルー」と合わせてこの映像は保存しておきたい映像だと思った。
徹底的にメッセージ色を排除した「ディープ・ブルー」に比べれば、温暖化への警告めいたものがないわけではないですが、本作もそれを製作の拠り所としていないのが嬉しい作品でした。
どちらもA・フォザーギルという人が絡んでいるので、作品の中味にそういうのを織り込むのが嫌いで、僕もその考えに賛成です。
自然の驚異、実写の凄みこそ、言葉でのメッセージを超えている。その意味では「ディープ・ブルー」「アース」を僕も推したいし、保存しておきたい。
ブルーレイを早く買わないとダメかな。
アクビ出ちゃったのよん
ちょいとはメッセージ欲しいのよん♪
ナレーション、いらないのよん♪
みなさん、無難なの好きなんのねん♪
あら、ドッコイショっと
TBいりますか~?
いらなかったらその辺に
ブッ転がしておいて下さいねん
なるほろろ。(笑)
映画と言ってもドキュメンタリーと劇映画は違い、ドキュメンタリーと言っても自然ドキュメンタリーと他は違うと思うのですな、吾輩。
一番文字的なのが一般のドキュメンタリー、映像と文字の中間にあるのが劇映画、最も映像的なのが自然ドキュメンタリー。
自然ドキュメントのメッセージは「自然に人工は敵わない」であれば良いと思うわけです。CGより実写に拘る僕の立場にも重なりまする。
僕とすれば、地球温暖化は「不都合な真実」一本で十分なような気がするし、弱肉強食も今さらジロー。
ナレーションがなくて良いのは僕も同感です♪
ただ、構成的に「ディープ・ブルー」には及ばないのは確かで、映画としては及ばない。それも多少加味して★一つ差を付けました。