映画評「AVP2 エイリアンズVS.プレデター」
☆★(3点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス
ネタバレあり
「エイリアン」シリーズのスケールには全く及ばないものの、B級的な意味合いでなかなか面白かった「エイリアンVSプレデター」の続編。タイトルからそんなことは解りますな。
前作の最後の一幕について僕は「意味がない」と述べたが、続編を作ることを前提に作ったのであれば意味があったことになる。
プレデターの血を継いだ強力なエイリアンであるプレデリアンがプレデターの宇宙船内で暴れた為に地球上に墜落、ある街の住民たちがプレデリアン他のエイリアンに襲われる。
一方エイリアン退治を業務とするプレデター“ザ・クリーナー”も降り立ち、エイリアンの雑魚どもを次々と仕留めて遂にプレデリアンの眼前に現れる。
何から始めたら良いのか解らないほど問題が多いが、とりあえず構成の問題から始めましょう。
最初に親子が森で襲われた後、序盤から刑務所帰りらしい若者、その弟とクラスメートの女の子、兵役から帰って来た女性の一家という三組が群像劇よろしくカットバックで進むのがまだるっこい。「テンポ良い」なんて声も聞こえてくるが、とんでもない。この人々が早晩エイリアンに襲撃されるのは解り切っているのだから、幾ら形式上すぱすぱと処理したとしても気を持たせる為の尺稼ぎにしかなっていない。
構成上明確な軸がなくて何を見せたいのが解りにくいのも困る。例えば、マニアックな見方をするならともかく、一般的なサスペンスを期待するなら“ザ・クリーナー”は他の怪獣と闘うゴジラと同じ扱いにしたほうが映画的に見通し良好となる・・・のだが、ターゲットのエイリアンを追いかける代わりにこやつは時間をかけて人を殺し、映画としてブレた印象を残す。
結局町民のエイリアン及びプレデターへの恐怖とこの二組の対決の図式が互いに絡み合うことなくばらばらに展開、お話を収拾しきれなくなった脚本家がヤケクソ気味に書いたような幕切れへと突進していく。シュールと言えばシュールだが、まるで前段がないのだから、古典的な作劇方法から言えば出鱈目の極みで、登場人物同様観客を五里霧中にするのが目的みたいでござる。
視覚的にも問題が多い。そもそも宇宙生物たちは人間と違って他と区別ができない性質上、場面の繋ぎがこれほど杜撰では、プレデターが単独行動、エイリアンが多数という状況が感覚的に把握しにくい。肝心の場面が暗がりばかりでそれを助長、寄り気味の映像と共に誤魔化しの連続のようなもので、次第に観ているのが馬鹿馬鹿しくなって来る。何も知らないで観る人にはプレデリアンについても最後の決闘に至ってやっとその全体像が認識できるような不始末。
2007年アメリカ映画 監督コリン・ストラウス、グレッグ・ストラウス
ネタバレあり
「エイリアン」シリーズのスケールには全く及ばないものの、B級的な意味合いでなかなか面白かった「エイリアンVSプレデター」の続編。タイトルからそんなことは解りますな。
前作の最後の一幕について僕は「意味がない」と述べたが、続編を作ることを前提に作ったのであれば意味があったことになる。
プレデターの血を継いだ強力なエイリアンであるプレデリアンがプレデターの宇宙船内で暴れた為に地球上に墜落、ある街の住民たちがプレデリアン他のエイリアンに襲われる。
一方エイリアン退治を業務とするプレデター“ザ・クリーナー”も降り立ち、エイリアンの雑魚どもを次々と仕留めて遂にプレデリアンの眼前に現れる。
何から始めたら良いのか解らないほど問題が多いが、とりあえず構成の問題から始めましょう。
最初に親子が森で襲われた後、序盤から刑務所帰りらしい若者、その弟とクラスメートの女の子、兵役から帰って来た女性の一家という三組が群像劇よろしくカットバックで進むのがまだるっこい。「テンポ良い」なんて声も聞こえてくるが、とんでもない。この人々が早晩エイリアンに襲撃されるのは解り切っているのだから、幾ら形式上すぱすぱと処理したとしても気を持たせる為の尺稼ぎにしかなっていない。
構成上明確な軸がなくて何を見せたいのが解りにくいのも困る。例えば、マニアックな見方をするならともかく、一般的なサスペンスを期待するなら“ザ・クリーナー”は他の怪獣と闘うゴジラと同じ扱いにしたほうが映画的に見通し良好となる・・・のだが、ターゲットのエイリアンを追いかける代わりにこやつは時間をかけて人を殺し、映画としてブレた印象を残す。
結局町民のエイリアン及びプレデターへの恐怖とこの二組の対決の図式が互いに絡み合うことなくばらばらに展開、お話を収拾しきれなくなった脚本家がヤケクソ気味に書いたような幕切れへと突進していく。シュールと言えばシュールだが、まるで前段がないのだから、古典的な作劇方法から言えば出鱈目の極みで、登場人物同様観客を五里霧中にするのが目的みたいでござる。
視覚的にも問題が多い。そもそも宇宙生物たちは人間と違って他と区別ができない性質上、場面の繋ぎがこれほど杜撰では、プレデターが単独行動、エイリアンが多数という状況が感覚的に把握しにくい。肝心の場面が暗がりばかりでそれを助長、寄り気味の映像と共に誤魔化しの連続のようなもので、次第に観ているのが馬鹿馬鹿しくなって来る。何も知らないで観る人にはプレデリアンについても最後の決闘に至ってやっとその全体像が認識できるような不始末。


この記事へのコメント
とりあえず、過去作の名場面を繋ぎ合わせれば、1本映画が出来るだろうと作り始めたけれど、うまくいかず、他のホラー映画からも拝借したという感じでした。
僕は「エイリアン」シリーズも「プレデター」シリーズもディテイルは結構忘れているので、旧作群に思いを馳せる瞬間は余りなかったですが、とにかく何を見せようとしているのか解らず、また、暗い場面ばかりで何が何だか解らず、そのうちに「えいやっ」とばかりのあの馬鹿げた最後を迎えてしまいました。
呆れたもんです。