映画評「チーム・バチスタの栄光」(地上波放映版)
☆☆☆(6点/10点満点中)
2008年日本映画 監督・中村義洋
ネタバレあり
地上波の2時間枠の場合正味90~95分なので長めの初見作品は間違っても観ないが、118分の本作は結果的に観てしまった。TV局絡みの作品はWOWOWより先に出ることが多いので本当に困る。地上波放映版ということでご了解願います。また、WOWOWと違って地上波デジタルの映画はハイビジョン放送であってもソフトがハイビジョンでないケースが多く、本作もそうである。
海堂尊の同名医療ミステリーを「アヒルと鴨のコインロッカー」が評判になった中村義洋が映像化したミステリーで、第2弾「ジェネラル・ルージュの凱旋」の3月7日公開に合わせた放映らしい。
拡張型心筋症に対するバチスタ手術に関して抜群の成功率を誇る東城大学病院の桐生医師(吉川晃司)をリーダーとするグループ通称“チーム・バチスタ”が26回連続の成功の後に3回連続して失敗する。桐生が原因を知るべく同病院の神経内科に調査を依頼、内部事情により若い女医・田口公子(竹内結子)が派遣され、桐生以下7名のメンバーたちから個別に聞き取り調査をするが何ら成果は得られない。それもそのはずで、彼女は外科について素人並の知識しかないし、人物を動物に喩えて悦に入っているような始末。
という前半はミステリー以前の展開で、探偵役・田口女史のおとぼけぶりが好調、本格ミステリーになる中盤以降思わぬ効果を発揮することになる。即ち、厚生労働者の役人・白鳥圭輔(阿部寛)が登場、調査を一からやり直すことになり、事故ではなく殺人である可能性が濃厚になるのだが、ここから探偵役が二人になって夫婦探偵もののヴァリエーション的な気分が醸し出され、面白くなっていくのである。
但し、CMによる中断でリズムと流れが途絶えてしまうのが残念。一般的なドラマの場合は中断による影響を余り感じない場合もあるのに対し、ミステリーやサスペンスで中断は断じて宜しくない。本作の場合特に終盤におけるCMの連発は興醒めさせられた。
ミステリーとしては二段構えで、一段目に関して田口女史も解決にそれなりに貢献するが、二段目がいよいよ本番である。最初の問題発覚により観客の心理を一旦弛緩させた直後に二段目を繰り出すという構成は良い。
ミステリーの種明かしはネタばれを基本方針とする(笑)僕でもさすがにエチケットに反するので具体的な部分については伏せることにしているが、医療の実際を踏まえている点が興味深いと述べておいても良いでしょう。
さて、縮尺版かつミステリーでは言うことが限定され甚だ困る中で大いに気になるのは、展開上余り重要とも思われないソフトボールの場面をそっくり残していること。もっと無駄な場面が20分もあるのだろうか。問題山積のこのバージョンですらそれなりに面白く見られる作品なので、その辺りは完全版にてぜひ確認しておきたい。
配役では、竹内結子の力の抜けたコメディエンヌぶりがなかなか秀逸。
僕も、手術場面には心臓が止まるかと思いました。
2008年日本映画 監督・中村義洋
ネタバレあり
地上波の2時間枠の場合正味90~95分なので長めの初見作品は間違っても観ないが、118分の本作は結果的に観てしまった。TV局絡みの作品はWOWOWより先に出ることが多いので本当に困る。地上波放映版ということでご了解願います。また、WOWOWと違って地上波デジタルの映画はハイビジョン放送であってもソフトがハイビジョンでないケースが多く、本作もそうである。
海堂尊の同名医療ミステリーを「アヒルと鴨のコインロッカー」が評判になった中村義洋が映像化したミステリーで、第2弾「ジェネラル・ルージュの凱旋」の3月7日公開に合わせた放映らしい。
拡張型心筋症に対するバチスタ手術に関して抜群の成功率を誇る東城大学病院の桐生医師(吉川晃司)をリーダーとするグループ通称“チーム・バチスタ”が26回連続の成功の後に3回連続して失敗する。桐生が原因を知るべく同病院の神経内科に調査を依頼、内部事情により若い女医・田口公子(竹内結子)が派遣され、桐生以下7名のメンバーたちから個別に聞き取り調査をするが何ら成果は得られない。それもそのはずで、彼女は外科について素人並の知識しかないし、人物を動物に喩えて悦に入っているような始末。
という前半はミステリー以前の展開で、探偵役・田口女史のおとぼけぶりが好調、本格ミステリーになる中盤以降思わぬ効果を発揮することになる。即ち、厚生労働者の役人・白鳥圭輔(阿部寛)が登場、調査を一からやり直すことになり、事故ではなく殺人である可能性が濃厚になるのだが、ここから探偵役が二人になって夫婦探偵もののヴァリエーション的な気分が醸し出され、面白くなっていくのである。
但し、CMによる中断でリズムと流れが途絶えてしまうのが残念。一般的なドラマの場合は中断による影響を余り感じない場合もあるのに対し、ミステリーやサスペンスで中断は断じて宜しくない。本作の場合特に終盤におけるCMの連発は興醒めさせられた。
ミステリーとしては二段構えで、一段目に関して田口女史も解決にそれなりに貢献するが、二段目がいよいよ本番である。最初の問題発覚により観客の心理を一旦弛緩させた直後に二段目を繰り出すという構成は良い。
ミステリーの種明かしはネタばれを基本方針とする(笑)僕でもさすがにエチケットに反するので具体的な部分については伏せることにしているが、医療の実際を踏まえている点が興味深いと述べておいても良いでしょう。
さて、縮尺版かつミステリーでは言うことが限定され甚だ困る中で大いに気になるのは、展開上余り重要とも思われないソフトボールの場面をそっくり残していること。もっと無駄な場面が20分もあるのだろうか。問題山積のこのバージョンですらそれなりに面白く見られる作品なので、その辺りは完全版にてぜひ確認しておきたい。
配役では、竹内結子の力の抜けたコメディエンヌぶりがなかなか秀逸。
僕も、手術場面には心臓が止まるかと思いました。
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