映画評「ハンティング・パーティ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2007年アメリカ映画 監督リチャード・シェパード
ネタバレあり
ボスニアの戦争犯罪人ラドヴァン・カラジッチを追うジャーナリスト五人組の実話を基に作られたリチャード・シェパード脚本・監督作品。
2000年、元戦場カメラマンのサイモン・ハワードが、TV局副社長の息子ジェシー・アイゼンバーグと共に戦争終結5年後のボスニアに取材出かけ、戦争終了前ボスニアからのレポートが原因で首になった戦場レポーター、リチャード・ギアと再会、500万ドルの報奨金を貰って借金を返そうとする彼の口車に乗せられて、“フォックス”という仇名を付けられた戦争犯罪人リュボミル・ケレケスを山中に追う冒険に協力する羽目になる。
というお話で、彼らをCIA工作員と思い込んだ“フォックス”の部下に殺されると思った瞬間に男に電話が掛って中断し、その後本物のCIAが駆け付けるといった、甚だご都合主義的な展開のオンパレードで、興醒めさせられる。最後に「嘘っぽい部分こそ真実だ」という言い訳めいたメッセージが流れるのはそれをカバーするというわけでもないのだろうが、狙いと作り方にちぐはぐさがあるので素直に納得できない。
即ち、彼らが本国に送り返されそうになるシークェンス辺りから、CIAを含む国際諸機関が戦争犯罪人を本気で捕まえようとしていない皮肉が滲み出て来るのだが、その一方で主人公が借金返しの為に取材を完全に忘れ、その借金返しも無視して最後に捕まえた“フォックス”をムスリム人街に放り出すことでムスリム人の恋人を殺された私怨を晴らすというジャーナリストとも言えない人種として描かれているので、どっちもどっちという中途半端な印象に終る。
これでは国際組織への皮肉は完全に死んでしまうわけで、設計ミスと言わなければならない。それを考えると、現状の状況的に滲み出るコミカルさの代わりに、旧友をも利用しようという主人公の性格に重点を置き、後日談の扱い同様にブラック・コメディーの味付けで最初から最後まで徹底できれば、かなり狙い通りの結果を出せたような気がする。
2007年アメリカ映画 監督リチャード・シェパード
ネタバレあり
ボスニアの戦争犯罪人ラドヴァン・カラジッチを追うジャーナリスト五人組の実話を基に作られたリチャード・シェパード脚本・監督作品。
2000年、元戦場カメラマンのサイモン・ハワードが、TV局副社長の息子ジェシー・アイゼンバーグと共に戦争終結5年後のボスニアに取材出かけ、戦争終了前ボスニアからのレポートが原因で首になった戦場レポーター、リチャード・ギアと再会、500万ドルの報奨金を貰って借金を返そうとする彼の口車に乗せられて、“フォックス”という仇名を付けられた戦争犯罪人リュボミル・ケレケスを山中に追う冒険に協力する羽目になる。
というお話で、彼らをCIA工作員と思い込んだ“フォックス”の部下に殺されると思った瞬間に男に電話が掛って中断し、その後本物のCIAが駆け付けるといった、甚だご都合主義的な展開のオンパレードで、興醒めさせられる。最後に「嘘っぽい部分こそ真実だ」という言い訳めいたメッセージが流れるのはそれをカバーするというわけでもないのだろうが、狙いと作り方にちぐはぐさがあるので素直に納得できない。
即ち、彼らが本国に送り返されそうになるシークェンス辺りから、CIAを含む国際諸機関が戦争犯罪人を本気で捕まえようとしていない皮肉が滲み出て来るのだが、その一方で主人公が借金返しの為に取材を完全に忘れ、その借金返しも無視して最後に捕まえた“フォックス”をムスリム人街に放り出すことでムスリム人の恋人を殺された私怨を晴らすというジャーナリストとも言えない人種として描かれているので、どっちもどっちという中途半端な印象に終る。
これでは国際組織への皮肉は完全に死んでしまうわけで、設計ミスと言わなければならない。それを考えると、現状の状況的に滲み出るコミカルさの代わりに、旧友をも利用しようという主人公の性格に重点を置き、後日談の扱い同様にブラック・コメディーの味付けで最初から最後まで徹底できれば、かなり狙い通りの結果を出せたような気がする。
この記事へのコメント
他のブログでは中の上から上の下くらいの評価が多いですけど、素材だけを表面的に評価しているような気がしますね。
>結局は踏み込むほどの力量も意識もなかったということですかねぇ
そう思いますね。
材料に甘えちゃった、という印象は否めません。
>ブラック・コメディー
本来はそういう類いの作品なんでしょうね。
誰かのせいで、途中で脚本が変わってしまい、訳のわからない内容になってしまったような気がします。
お体お大事に・・・。
ところでこの作品・・・、
半分くらいが実話で、残りはブラックコメディ???みたいな作りを、
タイトルの「~パーティ」から読み取らないと、
見間違えちゃう作品ですね。