映画評「カンフー・ダンク!」

☆☆(4点/10点満点中)
2008年台湾=香港=中国映画 監督チュー・イェンピン
ネタバレあり

「少林サッカー」のヒットで、カンフーとボール競技を結びつけるアイデアが定着した。本作は「少林少女」に似ている部分があるが、製作順から言えば本作の方が先らしいので、「少林少女」のほうがアイデアを拝借した可能性がある。

捨て子だった乳児がカンフー学校の師父に預けられて成長、ジェイ・チョウ君になり、物入れ名人なのを見抜いたホームレス中年エリック・ツァンの知恵で、バスケット・ボールをしながら両親を探す少年として第一大学のバスケット・チームに加わることになる。弱小だったこの大学チームは彼が加わったことにより連戦連勝、遂に悪名高いチームと雌雄を決することになるが、大金が賭けられていた為にとんでもないインチキがまかり通る。

出来栄えから言えば☆★をつけた「少林少女」より2ランク近く上、即ち☆☆★(水準)を進呈してもいいが、実際には僕の考える水準には達していず、☆☆とせざるを得ない。もっと面白くなる可能性のあった作品なのに段取りが悪い為に水準未満に留まった形。

まず、ジェイ・チョウ君の特長は遠方から空き缶を缶入れの小さな穴に入れ、コインをツァンの口に投げ込み、ダーツは100%の命中率、という抜群のコントロール。この前提にも拘わらず、彼がいざ試合に出場すると抜群のコントロールを見せるのは最初のうちだけでそのうちダンク・シュートが見せ場になってしまう。これでは見せ方に一貫性がない。しかもクライマックスではまたそのコントロールの良さを大いに利用した展開になっているので益々首を傾げたくなる。

また、酔いどれキャプテンの見積もりではジェイ・チョウ君が参加してもベスト8すら難しい弱小チームという設定らしいのに一向にそれらしく見えないのも変で、それ以前にスーパーな選手が三人もいながらベスト8の可能性もない弱小チームという設定自体がおかしい。結局弱小ぶりをきちんと見せていないので、ジェイ君が加わって勝ち進んでも痛快さが出て来ない。

さらに選手の引き抜き合戦や試合のインチキぶり、選手の様子を考えると、大学チームではなくてプロ・チームにしたほうが首を傾げずに観ることが出来る。いくら何でも大学チームに在りながら翌日敵チームに寝返って出場なんてことが出来る筈もない(プロでもこれは無理)。【ナンセンスは常識をベースにして初めて成立する】という基本をを忘れた珍脚本と言うべし。それともかの国ではそんな芸当ができるのかな。

もう一点、少年に大富豪の父親が現れてから幕切れまでが気を持たせすぎて戴けない。半分くらいの長さでてきぱきと処理したほうが却って爽やかな人情味が出てきたと思われるので、ここも残念。

特殊効果は上出来の部類だが、ワイヤーを使ったと思われる部分はスローのみにしたほうがよろしかった。リアル・スピードで見せられるとどうしても動きの不自然さが気になってしまうのである。

リバウンドを制する者が肥満を制す。違いましたっけ?

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