映画評「マンマ・ミーア!」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2008年アメリカ映画 監督フィリダ・ロイド
ネタバレあり
1972年「木枯らしの少女」という欧州らしい爽やかなポップスで中学生だった僕に強い印象を残したビョルン&ベニーが夫々の細君を加えて作ったグループがABBAで、僕らの高校時代から大学時代にかけて爆発的に売れ、古典ロック派の僕もビートルズ、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンといた面々の合間に聞いたりした。「マネー・マネー・マネー」とか「ギミー・ギミー・ギミー」といった具合に歌詞をリズミカルに重ねディスコ音楽として一世を風靡したわけだが、メロディーにも秀でたものがあり、「ザ・ウィナー(The Winner Takes It All)」辺りは実に聞かせる。
そうしたABBAのお馴染みの歌曲をずらっと連ねて構成された舞台ミュージカル(作:キャサリン・ジョンスン)を舞台でも演出を担当したフィリダ・ロイドが映像化したミュージカルの話題作。
ギリシャの小島でホテルを女手一つで営むメリル・ストリープの娘アマンダ・セーフライドが、自分が生まれる直前まで母親が付き合っていた男性三人ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカーシュゴードに母親の名義で極秘に結婚式の招待状を送る。自分の娘かも知れない少女の結婚式とは知らずにのこのこやって来た三人にメリル・ママは驚き、彼らも父親を見極めエスコートをして貰いたいという少女の目論見に気付き、色々とややこしいことになる。
というお話は、“ややこしい”部分も含めてミュージカルらしく誠に他愛ないので、難しいことを考えずのんびりと画面を眺め曲を聴いているのが一番。敢えて言えば折角三人に揃えた三組のうち“娘三人組”が余り活躍しない(勿論花嫁本人は別)のが物足りない、といったところ。
「サウンド・オブ・ミュージック」ばりに空撮シーンを取り入れて大々的に映画化の利点を利用しようとした意気込みが感じられるが、ミュージカルらしさから言えばもっと美術やセットに凝れる室内場面を多くした方が良かったかもしれない。
曲については大体知っているので楽しく、文句なし。但し、矢継ぎ早にナンバーが繰り出されるので一つ一つが印象に残りにくいのが弱点になっている。歌唱力については厳密に言えば問題が多いものの、主要配役陣のネーム・ヴァリューでカヴァー・・・ですかな。
楽しみにしている「アクロス・ザ・ユニバース」がなかなか出て来ん、マンマ・ミーア!
2008年アメリカ映画 監督フィリダ・ロイド
ネタバレあり
1972年「木枯らしの少女」という欧州らしい爽やかなポップスで中学生だった僕に強い印象を残したビョルン&ベニーが夫々の細君を加えて作ったグループがABBAで、僕らの高校時代から大学時代にかけて爆発的に売れ、古典ロック派の僕もビートルズ、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンといた面々の合間に聞いたりした。「マネー・マネー・マネー」とか「ギミー・ギミー・ギミー」といった具合に歌詞をリズミカルに重ねディスコ音楽として一世を風靡したわけだが、メロディーにも秀でたものがあり、「ザ・ウィナー(The Winner Takes It All)」辺りは実に聞かせる。
そうしたABBAのお馴染みの歌曲をずらっと連ねて構成された舞台ミュージカル(作:キャサリン・ジョンスン)を舞台でも演出を担当したフィリダ・ロイドが映像化したミュージカルの話題作。
ギリシャの小島でホテルを女手一つで営むメリル・ストリープの娘アマンダ・セーフライドが、自分が生まれる直前まで母親が付き合っていた男性三人ピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカーシュゴードに母親の名義で極秘に結婚式の招待状を送る。自分の娘かも知れない少女の結婚式とは知らずにのこのこやって来た三人にメリル・ママは驚き、彼らも父親を見極めエスコートをして貰いたいという少女の目論見に気付き、色々とややこしいことになる。
というお話は、“ややこしい”部分も含めてミュージカルらしく誠に他愛ないので、難しいことを考えずのんびりと画面を眺め曲を聴いているのが一番。敢えて言えば折角三人に揃えた三組のうち“娘三人組”が余り活躍しない(勿論花嫁本人は別)のが物足りない、といったところ。
「サウンド・オブ・ミュージック」ばりに空撮シーンを取り入れて大々的に映画化の利点を利用しようとした意気込みが感じられるが、ミュージカルらしさから言えばもっと美術やセットに凝れる室内場面を多くした方が良かったかもしれない。
曲については大体知っているので楽しく、文句なし。但し、矢継ぎ早にナンバーが繰り出されるので一つ一つが印象に残りにくいのが弱点になっている。歌唱力については厳密に言えば問題が多いものの、主要配役陣のネーム・ヴァリューでカヴァー・・・ですかな。
楽しみにしている「アクロス・ザ・ユニバース」がなかなか出て来ん、マンマ・ミーア!
この記事へのコメント
ケッタクソにブーたれてる本作拙記事
TBさせていただきました~(- -)^^
本年も申し訳ございません。(ぺこり)
プロフェッサーもおっしゃる通り
ミュージカルならもっと若い人の
こう、パシッとした踊り、溌剌とした
群舞など観たかったかなぁ~~とか。(^ ^)
メリル中心の
中高年アバミュージッククリップみたいと
言われても仕方ないような・・・(^ ^);
>パシッとした踊り
折角、娘三人組を用意したのに生かされていなかったですね。勿体ない。
そして、ミュージカルらしい美術やセットが欲しいと思ってしまうのは、僕がMGM全盛期のミュージカルを腐るほど観ているからでしょうね。
>アバミュージッククリップ
曲をよく知っているので、何となく楽しめてしまうのですが、映画として冷静に判断するとそんな雰囲気もありますです。^^;
ナンバーを減らしてもっと一つのナンバーごとに強く印象付けた方が、結果的には迫力のあるミュージカルになったと思います。
ということで!
この映画は、昨年のマイ・ベストなのです。
曲が楽しくて、何度も何度も映画館で歌って踊れた、みんなで一緒に笑った、泣いた、という体験が、ものすごく大きいです。
去年の私の一大ムーブメントでしたね。
そうなってくると、映画の作りがどうの、というのは些細なことになってきちゃいます。
元007の歌がビミョーなのも、聴いてるうちに、それなりに聞こえてきますし。
メリルの歌がすごいのは驚き。「ウィナー」なんて泣けてきます。
WOWOWの初放送時も、結局ほとんどの部分を見ていました。
今年も宜しくお願い致します。
>昨年のマイ・ベスト
繰り返してご覧になられたようですね。
18回でしたっけ?
>みんなで一緒に
映画館で映画を観る楽しさの最たるものでしょう。
20代の頃「E・T」を客のまばらになった頃に観た時に、親友に「あの映画はみんなで一緒に楽しまなければ嘘だよ」と叱られました。(笑)
>元007の歌がビミョー
その通りでした。^^;
>「ウィナー」
僕もあの曲は元々好きなんだなあ。
映画の中でも一番ドラマティックで心に染みたような。
娘の結婚を控えていたから余計に感情移入したからでしょうかしらね。
>楽しみにしている「アクロス・ザ・ユニバース」がなかなか出て来ん、マンマ・ミーア!
私は、それよりも「アクロス・ザ・ユニバース」の方が、劇場に観にいって途中からこれだったらビートルズのCD聴いているだけの方が良かった!って思った。若者のラブストーリーで、まぁ、中年頑張るマンマミーアよりも映像的にはキレがいいかもしれないけど…楽しみにしてられるんですか?
やっと今日の記事でTBできるのがあったわ。 こんなんでよかったなら受け取ってくださいませ。
>娘の結婚を控えていたから余計に感情移入した
そういうのは絶対ありますね。
僕が「東京物語」が好きなのも家を出て行った婿養子だった祖父を思い出させるから・・・というのと似たようなものかもしれません。
>「アクロス・ザ・ユニバース」
そりゃ、ABBAよりビートルズを聴きたい人種ですからねえ。^^
結局AMAZONに「モノBOX」の輸入盤を発注してしまいました。14日か15日の配達ですと。国内盤より1万円以上安いので、お買い得。