映画評「ザ・ムーン」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2007年イギリス映画 監督デーヴィッド・シントン
ネタバレあり

僕は小学生の時代にアポロ11号の月面着陸とアームストロング船長の月面歩行に興奮した世代。とは言っても根っからの文系の僕はそちらへの学問的興味は限定的で、ひたすら小説を読んだり映画鑑賞の日々を送ることになるが、あれほどTV画面に釘付けになったのは1972年の浅間山荘事件と2001年の全米同時テロくらいなものである。

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本作は、1960年頃に始まるソ連との宇宙開発競争の一環で始まったアポロ計画の経緯と、くだんのアポロ11号の発射から帰還に至るまでの出来事を宇宙飛行士二人(有名なアームストロング船長は利用されることを嫌って隠棲しているという)バズ・オルドリン、マイケル・コリンズの証言を中心に、アラン・ビーンやエドガー・ミッチェルといった17号までの飛行士の証言を併せて紹介したドキュメンタリーで、例によって証言者の顔を映している部分は退屈だが、それでも当人の若い時の映像を加えて二画面で映すのは工夫として評価できる。

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実際に撮られたフィルムは夢を持っている人間なら相当興奮できるもので、WOWOWで観た僕が言うのも何であるが、でかいスクリーンで観るのがふさわしい。

アームストロングと共に月面に降り立ったオルドリン(下画像)は当時から宗教がかった発言で有名だった人で、相変わらず宗教がらみの話を出してきて抹香臭くてかなわないところがある。が、宇宙にでも行けば誰でもそうした気分になるのではないか、と理解できないでもない。

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反面、最後に月着陸捏造説に対して「どうして9回もだます必要があるのか」といった発言で証言者が反発するのは観ていて爽快。最近NASAが発表した写真が捏造説をほぼ一蹴した形と理解して良いのだろう(それさえもでっちあげと反論できないこともない)。
 映画とは全く関係ないが、科学に全く疎い僕でも「光源が一つ(太陽)なのに影の方向が一定でない」という捏造説の論拠には噴飯した。日常生活で物をよく観察していれば絶対出て来ない低次元の疑問だから。

「カプリコン1」を観た頃は捏造説を知りませんでした。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2010年02月07日 08:17
むかし、湯川秀樹博士が、「原子核や分子をつきつめていくと、さらにそれが小さく分かれ、そのひとつを調べていくと、さらに分かれるのがわかったとき、神の存在を感じた。」というようなことをおっしゃてました。
人知の及ばないものにたいして畏敬の念を感じるということでしょうか。
実際に、月から地球を見てみたいですね。

捏造説は、頭悪すぎで反論する気にもなりません。
オカピー
2010年02月08日 00:57
ねこのひげさん、こんばんは。

>湯川秀樹博士
ふーむ、小宇宙にも大宇宙と共通するものがあるんでしょうね。
僕みたいな凡人には想像もつかないんですけど。

>月から地球を見てみたい
月をイメージしていると、月から観る地球は相当大きく感じるでしょうね。
観てみたいなあ。

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  • 『ザ・ムーン』

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