映画評「HACHI 約束の犬」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督ラッセ・ハルストレム
ネタバレあり
ハリウッドが「ハチ公物語」をリメイクすると聞いた時は冗談かと思ったが、監督がスウェーデン出身のラッセ・ハルストレムと知って安心した。脚本が一定以上のレベルならきちんとしたものを確実に見せてくれるご贔屓監督だ。
邦題の【約束】は恐らく“出会うのを運命づけられた”の意味で、HACHIが主人公を発見したといった趣旨の劇中の台詞から発想されたと思われる。仏教以外の宗教にかぶれたようなタイトルですがね。
日本のお寺で拾われたアキタケンの子犬がアメリカに送られ、列車から降りて来た音楽教授のリチャード・ギアと巡り会う。夫人ジョーン・アレンの反対にも拘らず一家のペットになった子犬は首輪にあった日本語からHACHIと名付けられると、愛する主人を駅で待ち始める。やがて主人が急死した後も待ち続け、遂に10年後いつも待っていた場所で息絶える。
発端以外はかなり原版に忠実なリメイクで、奇をてらったり最近の邦画のように殊さら感情を強調することなくさりげなく作られているので、こちらも素直に観ることができる。
印象に残ったのは、前の犬に死なれてから犬を飼わないことにしていた妻が夫の可愛がりぶりに気持ちを変えて飼うことを許す場面。犬を譲ってもらおうと電話をしてきた相手への「飼い主ができました」という発言による表現が奥床しい。ジョーンの演技もしっとりしてぐっと来る。
続いて、HACHIが主人の病変に気付いて主人を引き留めようとくるくる回った挙句にあれほど無視し続けたボール取りをしてみせる場面も感覚よろしく胸に迫る。
犬の切なげな表情が大変よろしく、“演技”はしていなくても演技賞を進呈したくなります。
マイ・ライフ・ウィズ・ア・ドッグ!
2009年アメリカ映画 監督ラッセ・ハルストレム
ネタバレあり
ハリウッドが「ハチ公物語」をリメイクすると聞いた時は冗談かと思ったが、監督がスウェーデン出身のラッセ・ハルストレムと知って安心した。脚本が一定以上のレベルならきちんとしたものを確実に見せてくれるご贔屓監督だ。
邦題の【約束】は恐らく“出会うのを運命づけられた”の意味で、HACHIが主人公を発見したといった趣旨の劇中の台詞から発想されたと思われる。仏教以外の宗教にかぶれたようなタイトルですがね。
日本のお寺で拾われたアキタケンの子犬がアメリカに送られ、列車から降りて来た音楽教授のリチャード・ギアと巡り会う。夫人ジョーン・アレンの反対にも拘らず一家のペットになった子犬は首輪にあった日本語からHACHIと名付けられると、愛する主人を駅で待ち始める。やがて主人が急死した後も待ち続け、遂に10年後いつも待っていた場所で息絶える。
発端以外はかなり原版に忠実なリメイクで、奇をてらったり最近の邦画のように殊さら感情を強調することなくさりげなく作られているので、こちらも素直に観ることができる。
印象に残ったのは、前の犬に死なれてから犬を飼わないことにしていた妻が夫の可愛がりぶりに気持ちを変えて飼うことを許す場面。犬を譲ってもらおうと電話をしてきた相手への「飼い主ができました」という発言による表現が奥床しい。ジョーンの演技もしっとりしてぐっと来る。
続いて、HACHIが主人の病変に気付いて主人を引き留めようとくるくる回った挙句にあれほど無視し続けたボール取りをしてみせる場面も感覚よろしく胸に迫る。
犬の切なげな表情が大変よろしく、“演技”はしていなくても演技賞を進呈したくなります。
マイ・ライフ・ウィズ・ア・ドッグ!
この記事へのコメント
>ハルストレムと知って安心した。
もう9割9分安心モードで観られる
最近じゃ希少価値の監督さんですよね。
動物と子供ものはナントカですが
老いた姿で待つハチ公クンには
もう落涙が止まらず思わず
身をよじりました。
↑(また思い出し泣き~~~)
ハルストレムは凄く透明感のある絵で見せるし、押しつけがましさもなくて本当に感覚の良い監督さんですよね。
昔の欧州出身の監督みたいにハリウッド・システムに潰されないだけでも大したもの。時代も変わったんでしょうけど。
>動物と子供もの
いやあ本当に。
特に子供には弱くて、「二十四の瞳」で高峰秀子先生が
初めて生徒に逢う場面に泣けてくる始末。
何にもしてないのに。
困ったもんだ。^^;
>ハチ公君
何匹のハチ公君がいるのか知りませんが、
あの切なげな表情に涙を誘われますね。
一途な姿には、動物・人間を問わず、ぼかあ弱いです。
私はラッキーが亡くなって次いで昨年にベルが亡くなってからは、駄作でも何でも何しろ犬の表情見てるだけで涙出てくるのがわかるから観ない。
一番最後の写真なんかみていると、もうベルと重なってしまっていけません。
今でもふっと仕草とか思い出すんだから~。
ハルストレムはやはり大したものですわ。
技巧的に見えない技巧と言っても良いかなあ。さらりと見せることに長けている。
ペットを買うのも良いけれど、死なれた後暫く尾を引くのが嫌ですね。
我が家は犬を公式に飼ったことはないです。
猫は何匹見送っただろうか。