映画評「釣りキチ三平」
☆☆★(5点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・滝田洋二郎
ネタバレあり
矢口高雄の有名コミックを「おくりびと」の滝田洋二郎が映画化したファミリー映画。
東北地方、アユの友釣り大会で優勝した13歳の三平三平(須賀健太)が三人の参加者にインチキ呼ばわりされた為1時間で何匹捕れるか競い合い、竹竿作りの名手である祖父一平(渡瀬恒彦)の監視の下に快勝する。
というのが二段構えの最初のお話で、ここで三平の天才ぶりが紹介される。釣りのことは全く解らないが(解らないから)彼の口から説明される釣りに関する蘊蓄はなかなか面白い。上々の出だしである。
少年に興味を覚えて彼の家に泊まることになったプロの釣り師・鮎川(塚本高史)が祖父に夜泣谷の巨大イワナの話を語るところから後段の物語が始まる。即ち、
折しも将来を案じて少年を東京に連れ出しにやって来た現実主義の姉・愛子(香椎由宇)と巨大イワナを捕まえられなかったら東京に行くと賭けをし、彼女を含めた一行が山奥にある夜泣谷へ向う。しかし、とんぼを利用した手法も奏功せず、賭けが彼女に傾いた時奇跡が起こる。
後段になってからは、彼女が現実主義者になる原因たる父親の遭難など家族にまつわる挿話にかなりの尺が取られて展開のスピードが落ちるが、モタモタした感じは余りしない。元来田舎を舞台にスローライフをテーマにしたようなお話だし、家族が集まれば家族の話になって行くのは当たり前だからである。
その意味で後半は家族愛や夢を見る楽しさに収斂し、特に釣りの面白味を感じさせる内容になっていないのは残念で、大いに楽しめる作品とは言えない。その代わり、変に背伸びしたり無理無理にお涙頂戴に持っていかずにファミリー映画として素直な作り方になっているのは好もしい。
終盤三平が巨大イワナに乗ったりするマンガっぽい(笑)描写や魚がCG臭いという印象もリアリズムに基づいて作ることを目標にした作品ではない以上、特に気にする必要もないと思われる。
因みに、三平三平はそそっかしい僕の入力ミスではなく、“みひらさんぺい”と読む。
滝田だけに鯉のように出世した洋二郎さん。
2009年日本映画 監督・滝田洋二郎
ネタバレあり
矢口高雄の有名コミックを「おくりびと」の滝田洋二郎が映画化したファミリー映画。
東北地方、アユの友釣り大会で優勝した13歳の三平三平(須賀健太)が三人の参加者にインチキ呼ばわりされた為1時間で何匹捕れるか競い合い、竹竿作りの名手である祖父一平(渡瀬恒彦)の監視の下に快勝する。
というのが二段構えの最初のお話で、ここで三平の天才ぶりが紹介される。釣りのことは全く解らないが(解らないから)彼の口から説明される釣りに関する蘊蓄はなかなか面白い。上々の出だしである。
少年に興味を覚えて彼の家に泊まることになったプロの釣り師・鮎川(塚本高史)が祖父に夜泣谷の巨大イワナの話を語るところから後段の物語が始まる。即ち、
折しも将来を案じて少年を東京に連れ出しにやって来た現実主義の姉・愛子(香椎由宇)と巨大イワナを捕まえられなかったら東京に行くと賭けをし、彼女を含めた一行が山奥にある夜泣谷へ向う。しかし、とんぼを利用した手法も奏功せず、賭けが彼女に傾いた時奇跡が起こる。
後段になってからは、彼女が現実主義者になる原因たる父親の遭難など家族にまつわる挿話にかなりの尺が取られて展開のスピードが落ちるが、モタモタした感じは余りしない。元来田舎を舞台にスローライフをテーマにしたようなお話だし、家族が集まれば家族の話になって行くのは当たり前だからである。
その意味で後半は家族愛や夢を見る楽しさに収斂し、特に釣りの面白味を感じさせる内容になっていないのは残念で、大いに楽しめる作品とは言えない。その代わり、変に背伸びしたり無理無理にお涙頂戴に持っていかずにファミリー映画として素直な作り方になっているのは好もしい。
終盤三平が巨大イワナに乗ったりするマンガっぽい(笑)描写や魚がCG臭いという印象もリアリズムに基づいて作ることを目標にした作品ではない以上、特に気にする必要もないと思われる。
因みに、三平三平はそそっかしい僕の入力ミスではなく、“みひらさんぺい”と読む。
滝田だけに鯉のように出世した洋二郎さん。
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