映画評「インストーラー」

☆☆(4点/10点満点中)
2007年フランス映画 監督ジュリアン・ルクレリク
ネタバレあり

フランス製SFサスペンス。

母マルト・ケラーと娘メラニー・ティエリーが会話中の自動車が横から衝突される。

場面変って、凶悪犯アラン・フィグラツを追跡しているユーロポール(インターポールの欧州版)の刑事アルベール・デュポンテルが妻でもある相棒の女性刑事を殺された上に逃走されてしまう。
 続いて、病院で形成手術を受けたらしいメラニーを医師であるマルトと看護婦の姉が面倒を見ている場面に変り、以降この二つのグループの行動が交互に描かれていくが、具体的にお話が絡み合うことなく進行する為に勿体ぶった印象ばかりが強く一向に面白くなって行かない。

ムードがジャン=ピエール・メルヴィルのフィルム・ノワールに似て冷徹なのは収獲と言える一方で、困るのはまだるっこいところまで似ていることである。

ユーロポールの追っているフィグラツが軍隊の発明した記憶を出し入れできる装置を奪い、それをこの病院に売り付け、それに監視局なる組織が絡んでいることが判明してからやっと興味の湧く展開になるが、開巻から1時間も経ってからでは遅きに失した感が強い。

しかも、監視局がどういう存在なのか全く解らず、その目的が抽象的な言葉だけで終ってしまうのだから娯楽映画としては甚だ物足りない。不完全ながら記憶の出し入れができたり、ホログラムで遠隔手術ができたりするSF的趣向はなかなか楽しめる。

こんな風に遠隔手術ができると良いがなあというのが病気の父を抱えた僕の実感です。

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  • 09-67「インストーラー」(フランス)

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