映画評「トランスポーター3 アンリミテッド」
☆☆★(5点/10点満点中)
2008年フランス=アメリカ映画 監督オリヴィエ・メガトン
ネタバレあり
リュック・ベッソン製作・脚本による人気シリーズ第3弾。
物凄い運転テクニックを持つ運び屋ジェースン・ステーサムが悪党一味に襲撃されて昏睡中に変なブレスレットを嵌められ、同じブレスレットを嵌められたウクライナ女性ナターリャ・ルダゴヴァを横に乗せて赤い袋に収納された荷物を運ぶことを強要される。ブレスレットは特殊爆弾で愛車から20m以上離れると爆発する仕組みになっているのだ。一味の目的は女性の父親たる外務大臣を脅迫して危険な産業廃棄物をフランスに持ち込むことである。
以降、何とかブレスレットを外そうと機械に強いドイツ人の知人を当てにすると一味の武闘グループが現われたり、女性を奪還しに現われた別のグループとの間で激しいカー・チェースを繰り広げたり、アクションの見せ場は多い。
20年近く前に作られた「ウェドロック」では囚人間だったアイデアを車と人間という関係に変えたもので、格別新味があるわけではないが、悪党ロバート・ネッパーが「首だ」と言って部下に車を奪わせ、それを主人公が自転車で追いかける趣向など色々と手に汗を握らせてくれる。
しかし、惜しいことに、アクション描写が近年のアクション映画の例に洩れずダメなのである。
特に格闘場面は小刻みにショットを切りすぎきちんとした映像情報を与えてくれないので僕らオールド・ファンには欲求不満になる。格好は良いかもしれないが、例えばこんな風に格闘技を中継されたらファンは怒るであろう。番組のイントロで見せるのならともかく、試合本番でこんな見せ方が許されるはずがない。映画も本来似たようなものである。
一番肝心のカー・アクションはそれに比べれば大分マシで、ロー・アングルで撮るなど撮影段階で工夫が見られる。橋から車ごと列車の屋根に飛び乗るアクションは大したスペクタクルだが合成が見え見えなのが残念。
また、ヒロインを演じたナターリャ嬢が顔面総そばかすで甚だ興を殺ぐ。
メガトン級の出来映えとは言えませんでした。
2008年フランス=アメリカ映画 監督オリヴィエ・メガトン
ネタバレあり
リュック・ベッソン製作・脚本による人気シリーズ第3弾。
物凄い運転テクニックを持つ運び屋ジェースン・ステーサムが悪党一味に襲撃されて昏睡中に変なブレスレットを嵌められ、同じブレスレットを嵌められたウクライナ女性ナターリャ・ルダゴヴァを横に乗せて赤い袋に収納された荷物を運ぶことを強要される。ブレスレットは特殊爆弾で愛車から20m以上離れると爆発する仕組みになっているのだ。一味の目的は女性の父親たる外務大臣を脅迫して危険な産業廃棄物をフランスに持ち込むことである。
以降、何とかブレスレットを外そうと機械に強いドイツ人の知人を当てにすると一味の武闘グループが現われたり、女性を奪還しに現われた別のグループとの間で激しいカー・チェースを繰り広げたり、アクションの見せ場は多い。
20年近く前に作られた「ウェドロック」では囚人間だったアイデアを車と人間という関係に変えたもので、格別新味があるわけではないが、悪党ロバート・ネッパーが「首だ」と言って部下に車を奪わせ、それを主人公が自転車で追いかける趣向など色々と手に汗を握らせてくれる。
しかし、惜しいことに、アクション描写が近年のアクション映画の例に洩れずダメなのである。
特に格闘場面は小刻みにショットを切りすぎきちんとした映像情報を与えてくれないので僕らオールド・ファンには欲求不満になる。格好は良いかもしれないが、例えばこんな風に格闘技を中継されたらファンは怒るであろう。番組のイントロで見せるのならともかく、試合本番でこんな見せ方が許されるはずがない。映画も本来似たようなものである。
一番肝心のカー・アクションはそれに比べれば大分マシで、ロー・アングルで撮るなど撮影段階で工夫が見られる。橋から車ごと列車の屋根に飛び乗るアクションは大したスペクタクルだが合成が見え見えなのが残念。
また、ヒロインを演じたナターリャ嬢が顔面総そばかすで甚だ興を殺ぐ。
メガトン級の出来映えとは言えませんでした。
この記事へのコメント
>小刻みにショットを切りすぎ
本当に困ったスタイルですね。
所詮、人真似ですから、監督の演出力が低いということを自ら暴露しているようなものだと思います。
そうなんですよ。
真似でも良いことの真似ならともかく、誰が始めたか僕は把握していませんが、何をやっているか解らないような細切れ+アップの構成はとても映画の見せ方とは言えないですから、勘弁してもらいたいです。
CMやPVでやる分には、映像が情報である必要はないですから、一向に構いませんが。
私なんか夏バテ状態でぼーっとした気分でなんも考えずそこそこスピードがあってで、この映画時間潰しにもってこいだったわ。ムキにならずCMやビデオクリップみたいにぼーっと見れる映画も要るんだって、この夏はつくづく思ったわぁ。でもP様は、やっぱり映画作品として性分としてムキになってしまうんだな(笑) 映画を愛する映画少年なんだなぁ。ほんとそう思います!
ところでその後父君のご容態は?
仰る意味はよく解りますが・・・
いや、娯楽映画だからこそ、ストレスがないように解りやすく見せ、最小限の映像で最大限の情報を観客に与えるという理屈に意味があると思うわけでして。^^
商業映画に芸術映画なんてものはない(あるのは文学的映画≠文芸映画)と思いますが、芸術映画なら僕はそういう文句を言わんです。ピカソについて実物と落差がありすぎるというようなものですから。^^
>父
心臓についてはもう大丈夫らしいですが、上手く動けない原因である頸椎・脊椎を手術するには腹にできた動脈瘤が破裂する危険性があり、動脈瘤を処理するには体力回復が必要なのに動けない為に回復できないという内向きの循環に入っているのですよ。
しかし、脊椎の先生もそれでは埒が明かないので命の危険性はあるが手術を敢行してみましょうかという提案をされ、先週僕たちも一応承諾したところです。
13日にまた病院でその後の進展具合(心臓が麻酔に堪えられるか等)を話し合うことになっています。
生まれてから歯医者を含め病院に一度も行ったことがなかった頑健な父も年には勝てずと解り、今年の四月はショックでした。