映画評「悪夢探偵2」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・塚本晋也
ネタバレあり

まだ解明されていないところのある夢(悪夢)に着目したところは良いが今一つ未消化という感が強かった「悪夢探偵」の続編。

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他人の夢の中に入って問題を解決する悪夢探偵こと影沼京一(松田龍平)は、いじめた同級生・菊川夕子(韓英恵)の出て来る悪夢に苦しめられる高校生・雪絵(三浦由依)を冷たく追い払うが、同じようにいじめた同級生二人が彼女の悪夢に呼応して次々死んだ頃、夕子があらゆることを怖がる亡き母(市川実和子)が直面していた状況に似ていることに気付き、雪絵の夢に入ることにする。

というアウトラインは第一作同様に娯楽優先で、雪絵の悪夢ではクラシックと言っても良い手法でゾッとさせてくれる。突然のでかい音や“振り向いたら顔”といったこけおどし演出でないのが大変有難い。

その一方で、本作の狙いは悪夢探偵の原点を幼少期の経験に求めることらしく、些か観念的で解りにくいところがある。以下に述べる終盤のシークエンスは正にその典型なので、少し解釈を加えてプロット的に採録してみる。

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京一は他人の夢に入れるだけでなく他人の考えていることが読め、霊の類も関知してしまうのだが、この能力は言うまでもなく何でも怖がる母親から遺伝したものである。
 彼は幼児期に自分を付き倒した母が自分を憎んでいたのかと苦悩し、トラウマになっている。夢の中で母を彷彿とする夕子に接近して抱きしめ恐怖を取り除くと、やがて襖の向こうに父親と一緒に笑いこけている母を見出す。母は何を食べたいか訊き、ハンバーグを作ってくれる。しつこいまでにその情景を確認する京一。やがて夢は消えるが、幼年時代の悪夢も消えるかもしれない。母親は彼の能力を哀れに思っていただけなのだ。

夢に入られた雪絵は主人公と同じく人の心が読める能力を身に付けるものの、冷淡に扱われるよりは良いと母の心中(しんちゅう)の憎まれ口をも前向きに受け止める。そんな彼女は悪夢探偵の心境を代弁する立場ということになるのだろう。

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かくして、母と子の関係を基調に彼の想念が描かれる上記シークエンスには思わずじ~んとさせられた。昔から子を思う母親には大変弱い僕であります。

昨今の邦画の例に洩れず、台詞が聴きとりにくいのはマイナス。

最近は字幕の出る邦画があるんだってね。映画館でアニメでもないのに洋画の吹替えがあるのにもびっくりするけれど。

この記事へのコメント

2010年08月16日 02:45
こんにちは。
この作品は、個人的な「悪夢(?)体験」もあり、僕は好きな作品です。
ラスト近くの、母の作るハンバーグの幻影のシーンは、僕も主人公のように嗚咽してしまいました。
オカピー
2010年08月16日 18:13
kimion20002000さん、こんにちは。

色々神秘的な体験をしていらっしゃいますkimionさんは、こういう人間の内部に入っていくような作品に理屈を超えた部分で感応出来るようですね。

>母の作るハンバーグの幻影のシーン
僕は、嗚咽までは行きませんでしたが、何度か目から涙をぬぐいました。
素晴らしい場面でしたね。
2011年02月13日 23:45
ホラーはあまり見ないせいもあるでしょうが、久々に怖かったです。
他人の考えが聞こえたり、怖いものが見えるなんて、いやだ、いやだ…。
小声で聞こえないのも、いやだ…。(苦笑)
オカピー
2011年02月14日 14:35
ボーさん、こんにちは。

「呪怨」も最初のうちは怖かったですが、余りに霊を出し過ぎてお笑いみたいになってきてしまいましたよ。
米国人が東洋的な恐怖にびっくりしてリメイクするのは結構ですが、散文的になって余り怖くないのはご愁傷さまという感じです。

>小声で聞こえないのも、いやだ…。(苦笑)
松田龍平の映画は多いんですよ。
「悪夢探偵」の後に出演した「伝染歌」なんてもっと聞こえなかった。いやだ、いやだ。(笑)

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