映画評「カムイ外伝」
☆☆★(5点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・崔洋一
ネタバレあり
白土三平のコミックを基にした「カムイ外伝」は四十数年前小学生の時好きなTVアニメだった。主人公の抜忍(ぬけにん)カムイのニヒリズムと、厭世観の向うに揺曳する叙情性に胸を打たれたのだ。絵も(読んだことはない)原作より好きだった。水原弘が歌った主題歌は、今でも山道を歩く時などふと思い出して♪忍が~通る~けもの道~♪と歌ったりする。
そういう事情があるので数日前に松山ケンイチがカムイと知って「イメージが違うわい」とがっかりしたものの、ベテラン崔洋一の監督作品なので見ないわけには行かない。
自由を求めて抜忍になったカムイが追手をかわして旅を続け、或る時藩主が可愛がる馬の脚を切り落として逃げた漁師半兵衛(小林薫)を助けるが、恩を仇で返される形で船から落とされた後島に漂着、結局半兵衛の家で養生をすることになる。
妻のお鹿(小雪)はやはり抜忍で、少年時代に闘ったことのあるカムイを追忍(おいにん=追手)ではないかと警戒する一方、娘サヤカ(大後寿々花)は彼に恋心を抱き一対となっている貝の片方を贈る。
捕縛された半兵衛を処刑から救出した帰り彼らは漁を邪魔する人食い鮫を退治する徒党と知り合い、村に招き入れる。しかし、その中に追忍が紛れ込んでいた為に村は大虐殺の憂き目に遭ってしまう。
小学生時代に味わった胸を締めつけられるような感覚を本作に求めようとは思わない。小学生の時に読んでこれ以上のものはないと思った「アルセーヌ・ルパン」シリーズでさえ、中学生になって読み返すと思ったほど感激できなかった経験をしているからだ。まして、原作で味わったものと同じような感激を映像化作品に求めるのは筋違いであるし、作者にもいい迷惑である。
とは言え、ワイヤーやCGを始めとするVFXによるアクションがぎこちない為にコミカルに感じられてしまうのは論外で、アクションの大半がスローなのは知恵がなさすぎて興醒める。飛び交う刀剣など速いスピードで見せれば本物らしく見えるものを「マトリックス」のアクションのように見せたいが為にわざわざゆっくり見せて却って絵に見えてしまうのは馬鹿らしいと思いますがなあ。
お話そのものはまずまず観られるレベルだが、画面で大いに気分を壊される作品と言うべし。
そのうち「サスケ」も実写化されるのかなあ。
2009年日本映画 監督・崔洋一
ネタバレあり
白土三平のコミックを基にした「カムイ外伝」は四十数年前小学生の時好きなTVアニメだった。主人公の抜忍(ぬけにん)カムイのニヒリズムと、厭世観の向うに揺曳する叙情性に胸を打たれたのだ。絵も(読んだことはない)原作より好きだった。水原弘が歌った主題歌は、今でも山道を歩く時などふと思い出して♪忍が~通る~けもの道~♪と歌ったりする。
そういう事情があるので数日前に松山ケンイチがカムイと知って「イメージが違うわい」とがっかりしたものの、ベテラン崔洋一の監督作品なので見ないわけには行かない。
自由を求めて抜忍になったカムイが追手をかわして旅を続け、或る時藩主が可愛がる馬の脚を切り落として逃げた漁師半兵衛(小林薫)を助けるが、恩を仇で返される形で船から落とされた後島に漂着、結局半兵衛の家で養生をすることになる。
妻のお鹿(小雪)はやはり抜忍で、少年時代に闘ったことのあるカムイを追忍(おいにん=追手)ではないかと警戒する一方、娘サヤカ(大後寿々花)は彼に恋心を抱き一対となっている貝の片方を贈る。
捕縛された半兵衛を処刑から救出した帰り彼らは漁を邪魔する人食い鮫を退治する徒党と知り合い、村に招き入れる。しかし、その中に追忍が紛れ込んでいた為に村は大虐殺の憂き目に遭ってしまう。
小学生時代に味わった胸を締めつけられるような感覚を本作に求めようとは思わない。小学生の時に読んでこれ以上のものはないと思った「アルセーヌ・ルパン」シリーズでさえ、中学生になって読み返すと思ったほど感激できなかった経験をしているからだ。まして、原作で味わったものと同じような感激を映像化作品に求めるのは筋違いであるし、作者にもいい迷惑である。
とは言え、ワイヤーやCGを始めとするVFXによるアクションがぎこちない為にコミカルに感じられてしまうのは論外で、アクションの大半がスローなのは知恵がなさすぎて興醒める。飛び交う刀剣など速いスピードで見せれば本物らしく見えるものを「マトリックス」のアクションのように見せたいが為にわざわざゆっくり見せて却って絵に見えてしまうのは馬鹿らしいと思いますがなあ。
お話そのものはまずまず観られるレベルだが、画面で大いに気分を壊される作品と言うべし。
そのうち「サスケ」も実写化されるのかなあ。
この記事へのコメント
この映画は未見ですが、原作漫画「カムイ外伝」は子供の時、兄の書棚から見つけて、ハマって読みました!
ちょうど父親の影響でテレビでマカロニ・ウェスタンの映画をやたら観ていた頃で、「カムイって日本版マカロニ・ウェスタンじゃん!」と思いました。
(なんだ、それ?)
映画を観ないでコメントするのも恐縮ですが、キャスティングを見ただけで「なんか違うだろ」的な匂いが・・・ 汗
個人的には「カムイ外伝」のあの独特の哀感は「今」の日本映画では、ぴったりハマる監督がいない気がします。
溝口映画みたいな映像の世界観だったら、合う気もしますが。
むしろ今の監督だったら、ジョニー・トーやアンドリュー・ラウが香港で撮った方が、カムイらしいカムイが出来上がりそうな気がします。
・・・って映画、観ていないのにケナスのはNGですね!反省。 苦笑
「サスケ」もきっと実写になるだろうな。手塚の「どろろ」も実写で興醒めしたし(笑)。でも、差別表現がいろいろあるから、なかなかしり込みする連中も多いんだけどね。
>観ていないのに
あははは。
まあそういうことでしょうけど、僕も現時点で観ていない「大奥」にケチを付けています。
女性が将軍でも良いでしょうが、本来大奥に女性がたくさんいたのは世継ぎ問題の為なので、男性がいくらいても将軍が一人では意味がないはず。
・・・なんて具合にね。
>日本版マカロニ・ウェスタン
逆に言えば、マカロニ・ウェスタンが劇画的ということですよね。^^
>キャスティング
何だか僕が観る前から気に入らなかった松山ケンイチは3対2くらいで好評らしく、寧ろ小雪のほうが評判悪いですね。僕は、小雪は非現実的で面白いと思うんですが。
ケンイチ君はやはりイメージではなかった。^^;
>溝口映画
モノトーンの世界ということでしょうか。
動くものなら僕はTVアニメが良いです。今度再放映があったら録っておきたいな。
>「サスケ」
やはりなりますか(笑)。
CGで何でもできると思っている映画人が多いから仕方がないですかね。
>差別表現
差別がベースになっているような作品でもありますからね。
僕なんか西部劇でインディアンが「先住民」となるのは抵抗があります。古いのではなく最新のアメリカ西部劇が"Indian"と表現しているのに、どうしてインディアンがほぼいない日本でできないのでしょうかね?
他はともかく、インディアン、エスキモー、ジプシーに関しては過剰な管理ではないかと思います。
>松山ケンイチがカムイと知って「イメージが違うわい」とがっかりしたものの
この時点で私なんかあっさりとパス。やはり役者の醸し出すイメージって大事。映画を生かすも殺すも最後は絵となる役者次第ってところもあるし~。カムイ外伝を実写化するのはねぇ…。
どうなんでしょうねぇ。映画もみずにこんなコメント聞き流してやってくださいな。
「少年サンデー」みたいですね。
僕は専らTVアニメシリーズでして、カムイのニヒリズムも孤高が大好きでした。
ルパンを夢中で読んでいたのはその頃かも知れません。
未来に夢を馳せていた幼き頃。
>松山ケンイチ
当たり前ですが、声が中田浩二じゃない!(笑)
>カムイ外伝を実写化するのはねぇ…。
暴挙でしょ?(笑)
そのうち「サスケ」もなるでしょうよ。
こちらはサスケの母への思慕が僕の心を打ちました。
実写にはして欲しくない・・・
「火の鳥」も好きだったけど、こちらも実写もされたけど、これはまぁ、カムイほどの思いいれもないもので…。
シュエットさんと「カムイ」との結び付きは夢にだに思わなかったなあ^^
僕は「カムイ」も「サスケ」もTVアニメなんですけど、結果的にはシュエットさん同様「カムイ」の虚無・孤高の方が強い印象を受けましたね。
貧しい家の子供なので漫画本も買わなかったし、買ってもらいもしなかったので、少年時代から漫画を読む習慣のないまま現在に至ります。
姉が高校の頃に購読していた少女コミックを中学の頃ちょっと盗み読んでいたくらいです。