映画評「アバター」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督ジェームズ・キャメロン
ネタバレあり
「タイタニック」で世界配収記録を打ち立てたジェームズ・キャメロンが配収記録を更新した昨年(公開は一昨年末)の話題作とは言わずもがな。
地球の環境がひどく破壊された22世紀、人類が鉱物資源を求めて侵出したパンドラなる衛星に、下半身不随の海兵隊員ジェイク・サリー(サム・ワーシントン)が派遣される。意識転送装置を使って、土着のナヴィという人間に似た生命体と和平交渉をするなどの目的で開発されたナヴィと人類のDNAを掛け合わせたアヴァター(化身)に意識を送る為の被験者としてである。
これによりパンドラの森林地帯に入り、ナヴィの王族一家に信用して貰って溶け込んでいくうちに、武闘派の斥候としての役目をうっちゃりグループに反旗を翻すと、愛し合うようになった王族の姫ネイティリ(ゾーイ・サルダナ・・・と言っても絵になっているので誰だか解らない)を始め、正体を知って離反していったナヴィ族の信頼を取り戻して各部族の力を結集、最新兵器を繰り出してくる人類と本格戦争を始めることになる。
というお話はWOWOWにおける町山智浩氏の解説を引用するまでもなく明らかにディズニー・アニメにもなったポカホンタスの伝説をベースにしていて、それにベトナム戦争の要素を加味し、アマゾンなどで進む開発問題にも思いを馳せたという風に理解できる。
一言で言えば、“文明をもった人間は罪深い生き物であることよ”という反省に立って作られているわけで、為に宗教的言及も見出せる。森林への崇拝ということでアニミズムであるが、この映画の宗教観はどうもそう単純なものではないらしく、先の町山氏によればジェイク・サリーはキリスト、ネイティリは聖母マリアということになる。復活して王になるという意味合いでの引用なのだろうが、独自の宗教観があるような気がしないでもない。また、意識の転送という発想は仮想現実もののヴァリエーションである。
お話の展開は序盤些かまだるっこい感があるものの、ナヴィ族に共感を覚えさせるだけの描写の積み重ねがあり、終盤の戦闘場面ではちゃんと力が入る。
それを支える映像も見事に美麗で、本作の売りである3Dでなくても十分鑑賞の価値あり。
お話の新味不足も、映像の華美さにより“アバターもえくぼ”というわけ。
2009年アメリカ映画 監督ジェームズ・キャメロン
ネタバレあり
「タイタニック」で世界配収記録を打ち立てたジェームズ・キャメロンが配収記録を更新した昨年(公開は一昨年末)の話題作とは言わずもがな。
地球の環境がひどく破壊された22世紀、人類が鉱物資源を求めて侵出したパンドラなる衛星に、下半身不随の海兵隊員ジェイク・サリー(サム・ワーシントン)が派遣される。意識転送装置を使って、土着のナヴィという人間に似た生命体と和平交渉をするなどの目的で開発されたナヴィと人類のDNAを掛け合わせたアヴァター(化身)に意識を送る為の被験者としてである。
これによりパンドラの森林地帯に入り、ナヴィの王族一家に信用して貰って溶け込んでいくうちに、武闘派の斥候としての役目をうっちゃりグループに反旗を翻すと、愛し合うようになった王族の姫ネイティリ(ゾーイ・サルダナ・・・と言っても絵になっているので誰だか解らない)を始め、正体を知って離反していったナヴィ族の信頼を取り戻して各部族の力を結集、最新兵器を繰り出してくる人類と本格戦争を始めることになる。
というお話はWOWOWにおける町山智浩氏の解説を引用するまでもなく明らかにディズニー・アニメにもなったポカホンタスの伝説をベースにしていて、それにベトナム戦争の要素を加味し、アマゾンなどで進む開発問題にも思いを馳せたという風に理解できる。
一言で言えば、“文明をもった人間は罪深い生き物であることよ”という反省に立って作られているわけで、為に宗教的言及も見出せる。森林への崇拝ということでアニミズムであるが、この映画の宗教観はどうもそう単純なものではないらしく、先の町山氏によればジェイク・サリーはキリスト、ネイティリは聖母マリアということになる。復活して王になるという意味合いでの引用なのだろうが、独自の宗教観があるような気がしないでもない。また、意識の転送という発想は仮想現実もののヴァリエーションである。
お話の展開は序盤些かまだるっこい感があるものの、ナヴィ族に共感を覚えさせるだけの描写の積み重ねがあり、終盤の戦闘場面ではちゃんと力が入る。
それを支える映像も見事に美麗で、本作の売りである3Dでなくても十分鑑賞の価値あり。
お話の新味不足も、映像の華美さにより“アバターもえくぼ”というわけ。
この記事へのコメント
躍動感にあふれ観ていて楽しく映画館から
心地よく送り出してくれた感が満載の
キャメロン節映画だったと思います。
先日の「トロン・レガシー」を観た帰り
やはり「アバター」は凄かった!と再確認
することしきりでした。
拙記事は3D版鑑賞記もあったのですが
最初に観た2D版記事を持参させて頂きました。
数年前襲ってくる竜と戦う、題名も忘れた映画では
観ていても全然力が入らずに退屈でしたが、
さすがにキャメロン親爺で、見事に見せ切りましたね。
人間には想像力があるのだから
無理に3Dで観なくても良いだろうと思いますが、
3Dはやはり凄いんでしょうなあ。
TVが3Dになりつつあります。
そのうち裸眼でも3Dが観られるのが普通になるでしょうが、
たとえそうなっても通常の2Dと切り替えができないのでは
困ってしまいますよね。
「太陽がいっぱい」や「エデンの東」を疑似3Dで見せられてもね・・・(笑)。
次回作は『HIROSIMA』を3Dで作ると言っていたのはどうなったんでしょうかね?
死んだ人との約束をやぶるとろくなことにはならないと思いますが・・・
なににしろ、今後の3D含む大作は、この作品の存在をどこかで意識しながら、制作されることになると思います。
その意味では、やはりエポックな作品だと認めざるを得ないでしょうね。
3まであるそうですよ。
またまたヒットするのでしょうなあ。
>『HIROSIMA』
何だか原作に問題があるようで、ペンディングになっているようです。
そうでしょうねえ。
ヒューマン・キャプチャーなんかも一気に進化した感じです。
特殊メイクの映画が僕は結構好きですが、CGやヒューマン・キャプチャーが発達すると、メイクアップ・アーティストはいずれ失業してしまいますね。