映画評「手を挙げろ!」

★(1点/10点満点中)
1981年ポーランド映画 監督イエジー・スコリモフスキー
ネタバレあり

イエジー・スコリモフスキー未公開映画シリーズ第4弾。

本作は1967年に作られながら当局の検閲に引っ掛かり映画はお蔵入り、本人が亡命を余儀なくされた曰くつきの作品で、14年後に俳優をして食いつないでいる様子などを収めたドキュメンタリー映像を頭に付けて再編集しているが、これを付けたことで益々解りにくくなっている。誠に悩ましい監督でございますなあ。

5人の男女(スコリモフスキー、ヨアンナ・シュチェルビツ、タデウシュ・ウォムニッキら)が同窓会に集まり、貨物列車の中で大騒ぎした挙句、ふざけて睡眠中の一人を石膏で固め、現在の自分について説明し現状の不満をぶちまけるうちに大学を揃って放校になった苦い過去を思い出す。

党の美術担当として四つ目のスターリンの看板を作ってしまったのである。これで彼らはお咎めを受けるのだが、皮肉にもスターリンの使い方がいけないとして映画監督としてのスコリモフスキーもお咎めを受け亡命する羽目になった、ということである。

戦前戦中派の父親の世代と違って戦後派の彼らは確固とした目標がなく青春彷徨せざるを得ない立場の苛立ちを描いている、というのが旧作に対する僕なりの解釈で、本作もその延長にあるようだが、貨物列車の中でも騒動は一向に面白からず画面的にも旧作群に及ばない。晦渋なので集中できず、集中できないと益々解らなくなるという悪循環に陥り、大衆映画ファンたる僕としては大いに困惑させられた。前の三本は商業映画としてはともかく一種の前衛映画としてならお薦めしても良いと思うが、本作は篤志家中の篤志家にしかお薦めできない。

言われなくても“お手上げ”ですよ。

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