映画評「噂のモーガン夫妻」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督マーク・ローレンス
ネタバレあり
最近アメリカのコメディーは下ネタ方向や粘着質な笑いに走るものが多く、本作のようなアメリカン・コメディーの良い伝統を感じさせる作品は非常に限られているので、たまに観られると大変嬉しい。
本作は所謂スクリューボール・コメディーと呼ばれるタイプで、脚本を書き監督もしたマーク・ローレンスが、スクリューボール・コメディーの古典「新婚道中記」と「スミス夫妻」を勉強した跡が伺われるお話である。
ニューヨークでも高名な弁護士ヒュー・グラントは、浮気をしてしまったことから、これまた有名な不動産業者の妻サラー・ジェシカ・パーカーと別居する羽目になるが、久しぶりに一緒に食事をした帰りに殺人事件を目撃、犯人マイケル・ケリーに狙われた為証人保護プログラムの庇護下に入り、ワイオミングの田舎町で暫く一緒に過ごす羽目になる。
という発端は昨年観た日本未公開映画のサスペンス映画「キルショット」と同工異曲で、犯人が電話を利用して居場所を掴んでいく経緯も似たようなものだが、勿論本作の眼目はライトなお笑い。携帯電話やインターネットが手放せないニューヨーカーが熊が出没する辺鄙な田舎で電話やパソコンはあるけれど暗号でがんじがらめになるというシチュエーションの面白さに加えて、英国出身のグラントらしい個性を生かした皮肉っぽい台詞の数々が見どころ、否、聞きどころである。尤も聞いたそばから忘れてしまいまする(笑)。
犯人が近辺に迫って来るサスペンスは暫くアクセント程度の扱いでさほど強烈ではないが、男が町に入って来てからのカットバックがなかなか好調でそれなりにヒヤヒヤさせられる。このサスペンスを別にすると、終盤の展開は結婚コメディーとして定石的過ぎて面白味が薄いのが残念。
ところで、田舎へ移る頃からの既成曲選曲が面白くニヤニヤ。キャンド・ヒート「ゴーイング・アップ・ザ・カントリー」、バディ・ホリー「トルー・ラヴ・ウェイズ」、ハンク・ウィリアムズ「ホワイ・ドント・ユー・ラヴ・ミー」と続いて、砂埃ぽいと言うか、いかにものんびり気分になる。ジョージ・ハリスンが1930年代のクラシックをカバーした「ビトウィーン・ザ・デビル・アンド・ザ・ディープ・シー」、ポール・マッカートニーの「ダンス・トゥナイト」、スティーヴィー・ワンダーがカバーしたビートルズ・ナンバー「恋を抱きしめよう」も聞ける。選曲した方はビートルズのご贔屓らしい。
ヒュー・グラントは段々ケイリー・グラント化して、将来「南南西に進路を取らない」なんて映画に出るかもね。偶然にもグラントという名字まで同じだ。
2009年アメリカ映画 監督マーク・ローレンス
ネタバレあり
最近アメリカのコメディーは下ネタ方向や粘着質な笑いに走るものが多く、本作のようなアメリカン・コメディーの良い伝統を感じさせる作品は非常に限られているので、たまに観られると大変嬉しい。
本作は所謂スクリューボール・コメディーと呼ばれるタイプで、脚本を書き監督もしたマーク・ローレンスが、スクリューボール・コメディーの古典「新婚道中記」と「スミス夫妻」を勉強した跡が伺われるお話である。
ニューヨークでも高名な弁護士ヒュー・グラントは、浮気をしてしまったことから、これまた有名な不動産業者の妻サラー・ジェシカ・パーカーと別居する羽目になるが、久しぶりに一緒に食事をした帰りに殺人事件を目撃、犯人マイケル・ケリーに狙われた為証人保護プログラムの庇護下に入り、ワイオミングの田舎町で暫く一緒に過ごす羽目になる。
という発端は昨年観た日本未公開映画のサスペンス映画「キルショット」と同工異曲で、犯人が電話を利用して居場所を掴んでいく経緯も似たようなものだが、勿論本作の眼目はライトなお笑い。携帯電話やインターネットが手放せないニューヨーカーが熊が出没する辺鄙な田舎で電話やパソコンはあるけれど暗号でがんじがらめになるというシチュエーションの面白さに加えて、英国出身のグラントらしい個性を生かした皮肉っぽい台詞の数々が見どころ、否、聞きどころである。尤も聞いたそばから忘れてしまいまする(笑)。
犯人が近辺に迫って来るサスペンスは暫くアクセント程度の扱いでさほど強烈ではないが、男が町に入って来てからのカットバックがなかなか好調でそれなりにヒヤヒヤさせられる。このサスペンスを別にすると、終盤の展開は結婚コメディーとして定石的過ぎて面白味が薄いのが残念。
ところで、田舎へ移る頃からの既成曲選曲が面白くニヤニヤ。キャンド・ヒート「ゴーイング・アップ・ザ・カントリー」、バディ・ホリー「トルー・ラヴ・ウェイズ」、ハンク・ウィリアムズ「ホワイ・ドント・ユー・ラヴ・ミー」と続いて、砂埃ぽいと言うか、いかにものんびり気分になる。ジョージ・ハリスンが1930年代のクラシックをカバーした「ビトウィーン・ザ・デビル・アンド・ザ・ディープ・シー」、ポール・マッカートニーの「ダンス・トゥナイト」、スティーヴィー・ワンダーがカバーしたビートルズ・ナンバー「恋を抱きしめよう」も聞ける。選曲した方はビートルズのご贔屓らしい。
ヒュー・グラントは段々ケイリー・グラント化して、将来「南南西に進路を取らない」なんて映画に出るかもね。偶然にもグラントという名字まで同じだ。
この記事へのコメント
ひょこひょこヒュー・グラントと
一緒にしないでおくんなまし~~~~!
「南南西に進路を取らない」なんて方向違いの
映画など魔が差しても、出なくてよろし。(笑)
後からTB持参させていただきますが
本作系はまるでダメ苦手な私でございました。
黙って立ち去ろうかと思いましたが
私の!(まだ言ってる・笑)ケイリー・
グラント様のお名前が出ましたので
いても立ってもいられず参りました由。(^ ^);
≪驚いた≫マーク貰っちゃいました。^^
結婚コメディーとしては大したことないですけど、ヒューの方のグラントが繰り出す台詞が面白くて、三分の二くらいまではかなり楽しめました。のんびりしたBGMも楽しかったでありますよ。^^
>ケイリー・グラント
おおっ、そんなにお好きでございましたか!(笑)
しかし、ケイリーさんも実は英国出身ですし・・・