ふる~い名盤CD輸入盤聴きまくりの記2月下旬号

映画に関しては一家言ある僕も、音楽はただの横好き。大した論評も出来ない癖にレビューもどきをしておりますが、映画と違って採点は半分がところ遊び感覚なので宜しく。音質に関してはあるメーカーのオーディオ部門に在籍していたこともあり、そこそこ専門的な表現ができますので、多少信頼できるかもです。

ジャケットについてのコメントも大募集中。どなたか毎号のジャケット大賞決めちゃってください(笑)。

今回は再購入が多いのが特徴。例によってジャンルはバラバラです。

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..Argus / WISHBONE ASH
1972年発表(2002年MCA盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価8点
大学時代ピンク・フロイド同好の友人に紹介されたレコード。狭義のプログレッシヴ・ロックには入らず寧ろハード・ロックと分類されるウィッシュボーン・アッシュですが、他作は知らず、本作は古代の戦場にテーマを求めて叙情的な曲が多く、ピンク・フロイドの「狂気」が好きだった彼が薦めたのが理解できます。
 このグループの特徴とされるツイン・ギターは透明で爽やかな音色で、ご贔屓アル・スチュワート「イヤー・オブ・ザ・キャット」を思い起こさせ、あの傑作がそうだったように、頭の中で昔へタイム・スリップする感じがあります。

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..Mr. Tambourine Man / THE BYRDS
1965年発表(2008年Columbia Europe盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価7点
1960年代の3Bの中で日本では余り人気のない印象のあるバーズですが、ローリング・ストーン誌の評価はビーチ・ボーイズを超え、ビートルズに伍する扱いとなっています。ポピュラー音楽史的には、ビートルズとボブ・ディランの間を埋めるフォーク・ロックの嚆矢となった名盤というのが定評ですね。ディランのタイトル曲やAll I really Want to Doだけでなく、ジーン・クラークが殆どものしたオリジナル曲も名曲揃い。
 バーズの特徴をなすロジャー(ジミー)・マッギンのきらびやかな12弦ギターは、一曲目「ミスター・タンブリン・マン」のイントロからすこぶる印象的です。
 音質について一言。四半世紀程前に3200円も出して買ったのに音がくすんでいた日本盤に比べて、今度買った5CDボックス(約400円/枚)は音が数段良い。12弦ギターは圧倒的にきらびやかになり、ボーカル(コーラス)が前面に浮き上がる感じになって腰を抜かしました。ダブって購入してもお釣りが返ってきましたよ。

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..Turn! Turn! Turn! / THE BYRDS
1966年発表(2008年Columbia Europe盤)
内容評価☆☆☆☆★音質評価7点
バーズの2NDアルバム。前作と同じように、ボブ・ディランの二曲(Lay Down Your Weary TuneとThe Times They Are A-Changing)、ピート・シーガーの余りにも有名なタイトル曲、フォスターの「おおスザンナ」他に、オリジナルが5曲半(トラディショナルの改編1曲)という構成ですが、ロック史的価値はともかくこちらのほうが好きな曲が多く、アナログ盤で割合よく聴いた一枚。

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..I Never Loved a Man the Way I Love You / ARETHA FRANKLIN
1967年発表(2009年Rhino盤)
内容評価☆☆☆☆☆音質評価6.5点
1980年代初め即ちアナログ時代末期には60年代のオーティス・レディングやアレサ・フランクリンのオリジナル・アルバムがアメリカでも尽く廃盤になっていました。この度念願かなって名にし負うこの名盤を聴きましたが、アップテンポの曲にもスロー・バラードも自由自在のアレサの馬力に圧倒されます。自身の名唱でも知られるレディングのRespectやサム・クックのA Change Is Gonna Come以外も全て名曲・名演と言うべきでしょう。
 ナロー・レンジでも、音の抜けが良く伴奏を聴くのも楽しい。

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..Lady Soul / ARETHA FRANKLIN
1968年発表(2009年Rhino盤)
内容評価☆☆☆☆☆音質評価6点
前のアルバムと並んでアレサの最高作と言われるアルバム。こちらはCD再購入。
 オープニングのChain of Fools, インプレッションズ(カーティス・メイフィールド)のPeople Get Ready, キャロル・キングが名盤「つづれおり」で自演することになる「ナチュラル・ウーマン」(You Make Me Feel Like) A Natural Woman, ヤング・ラスカルズのGroovin'など名曲ゴロゴロです。
 マスターの保存状態が悪くて若干ノイズがあり、音質も劣る分だけ前作の方を好んで聴いていますが、内容に遜色なし。これを聴いていないR&Bファンはまずいないでしょうけど、お薦め。

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..Soft Machine (Volume One) / SOFT MACHINE
1968年発表(1995年Big Beat UK盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価7.5点
次第にジャズ・ロックに変り、3作目くらいからはメロディーが抽象的になっていくソフト・マシーンのデビュー・アルバム。この1STアルバムはまだサイケデリック・ロック然として耳に馴染むメロディーも多く、実験的なアルバムとしてはまずまず聴きやすい。

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..Volume Two / SOFT MACHINE
1969年発表(1995年Big Beat UK盤)
内容評価☆☆☆★音質評価7点
ソフト・マシーンの2NDアルバム。実験的ロックと実験的ジャズの中間的なサウンドで、まだロック色の方が若干強くジャズ・ロックとまでは言いきれない感じがします。いずれにしてもこの辺りの音楽をカンタベリー・サウンドと言うらしい。プログレッシブ・ロックよりプログレッシブな実験的音楽がお好きな方はどうぞ。

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..From the Album of the Same Name / PILOT
1974年発表(1998年Collectables盤)
内容評価☆☆☆☆★音質評価7.5点
「マジック」Magicのヒットで知られる英国(スコットランド)のポップ・グループ、パイロットの1STアルバム。僕が今回買ったのはアメリカ版で、Magicというタイトルが付けられていますが、ボーナス曲が付いている以外は英国オリジナルと同じ内容なので、そちらのタイトルでご紹介致しております。
 ビートルズのポップ面の影響を受けたグループで、ポール・マッカートニーもびっくりという爽やかな佳曲のオンパレード。Magicと遜色のない曲が次々と出てきますので、ポップス・ファンは必聴。
 音質はややハイ上がりですが、耳障りにならない程度で、内容に合っているでしょう。

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..The Cars / THE CARS
1978年発表(2010年Rhino盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価8.5点
1980年代「ベストヒットUSA」などのTV番組でミュージック・クリップがよく紹介されていた記憶のあるカーズは、アメリカのニューウェーブ系バンド。アルバムを聴くまでは至らなかったものの、クリップが面白く関心はありました。「錯乱のドライブ」と邦題が付けられたこの1STアルバムをこうして聴いてみると、苦手意識のあったトーキング・ヘッズと似たところもあり、テクノが大流行しMTV全盛を迎える時代の音楽ということがよく解りますね。ロックンロールなニューウェーブ系がお好きな人にお薦め。

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..Candy-O / THE CARS
1979年発表(2010年Rhino盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価9点
カーズの2NDアルバムの邦題は「キャンディ・オーに捧ぐ」。どちらかと言えば、僕がカーズの名前を初めて記憶に留めたLet's Goを収めたこの2NDのほうがデビュー作より好みでしょうか。いずれにしても、まだカーズらしいひょうきんな感じは余りしません。
 カーズのアルバムは全て高音質ですが、本作のダイナミック・レンジの大きさにはたまげましたなあ。ワイド・レンジ感も抜群で、しかも質感が滑らか。この音を聴くだけでも幸せになる。

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..Saxophone Colossus / SONNY ROLLINS
1956年発表(2010年Universal盤)
内容評価☆☆☆☆☆音質評価8.5点
言わずと知れた名盤中の名盤。「ジャズに名曲なし、名演のみ」とよく言われますが、本作を聴くと、凡演と名演の区別も難しい素人には、ジャズでも耳に馴染みやすい曲の方が良いなあと思いますね。
 St. Thomasなどの自作曲、ドイツ映画「三文オペラ」からのMoritat(通常英語でMack the Knife若しくはドイツ語でMackie Messerとして知られる名曲)といったカバー曲、いずれも印象に残り易くかつ一体感があり、僕のようなジャズの素人にも文句なく楽しめます。
 録音は特徴的で、アナログ時代に聴いた印象と殆ど変わらず、音が分厚く、ロリンズのサックスは押し出しが強く粒立ち良好。56年の録音ですからナロー・レンジですが、強い中域がうるさくなり過ぎずにエネルギー感となっているのが良いですね。低域は音像が甘いものの、量感はたっぷり、ダイナミック・レンジはこの時代の録音としては大きい方でしょう。厳密に言えば6点くらいでも、この録音はお気に入り。よって音質評価は上の如し。

この記事へのコメント

2011年03月03日 01:34
PILOTのこのアルバム、我が家にCDありますよ!
うちの相方が私と同世代なのに懐古趣味で、60年代、70年代の音楽に妙に詳しいんですよ。PILOTも相方の所有CDです。
オカピーさんと映画の趣味も丸かぶりな、黒澤・トリュフォー・ヒッチコック好き・・・なだけあるでしょう? 笑

The Carsは5作目に入っている”Drive”が、ちょうど私が洋楽デビューな頃にヒットしていまして、大好きな曲でした。
オカピー
2011年03月03日 18:37
RAYさん、こんばんは。<(_ _)>

>うちの相方
へえ~、パイロットは僕にしてもアルバムを通して聴くのは初めてだったくらいで、今となっては知る人の少ないバンドですけど、何だか嬉しくなっちゃうなあ^^
彼らがデビューした頃はまだ赤ちゃんでしたか(笑)

>The Carsは5作目
いずれ紹介しますが、今4作目を聴いている最中なので、大分先になりそうです。同じアーティストを続けて聴いているとどれがどれだか解らなくなってきますね。書く時に何度か聴かないといけないみたい。
お待ちくださ~い<(_ _)>

ところで、RAYさんをジャケット大賞委員長に勝手に指名させて戴きました(笑)ので、お暇とお時間(同じか)が許す限り毎号どれが気に入ったかお喋りしてもらえませんか?
僕はウィッシュボーン・アッシュの「百眼の巨人アーガス」、若しくはバーズの「ミスター・タンブリン・マン」かなあ。
2011年03月04日 01:31
>RAYさんをジャケット大賞委員長に勝手に指名させて戴きました(笑)ので、

ご指名ありがとうございます!
実際、私はダウンロードが主流の昨今に逆行するかのような、「CD買う派」しかもネットで買うのも苦手で、ほぼ毎週、タワレコに通い詰めているくらいなのですが、CDを買い続けている理由の一つが、CDジャケ絵を面出しして見せて並べるのが好きだからです。

で、本題です。
今回のジャケはわたし的には”Mr. Tambourine Man”一点買いで大賞ですよ!
この「いかにも60年代」的なアングルといい、レトロな雰囲気といい、ポール・スミスのお店でディスプレイされそうなジャケ写がカッコいいです。
オカピー
2011年03月05日 00:06
RAYさん、こんばんは。

こちらの勝手な要請を快諾戴き有難うございます。<(_ _)>
全く知らない作品でも少しは楽しめるかと思います。

>「CD買う派」
僕もダウンロードはする気はないですね。
ジャケットを含めて一作品です・・・少なくとも僕らの世代では。

僕が東京にいた頃はまだタワー・レコードがない時代で、埼玉に越してから出来ましたが、現在住んでいる群馬では大したレコード店はないので、ネットでの購入は避けられません。

>”Mr. Tambourine Man”一点買い
やはりそうですか。^^)v
僕は、このジャケットはビートルズの"Rubber Soul"の車のボンネットに映り込んで歪んだ写真の影響を受けて作られたものと思います。
サイケデリック時代への本格的突入直前という感じがしますね。

次回以降も宜しくお願い致します。<(_ _)>
オカピー
2011年03月07日 22:45
訂正です。

ビートルズの「ラバーソウル」は66年ですから、バーズの「ミスター・タンブリン・マン」の方が先ですよね。
ああ、恥ずかしい。^^;

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