映画評「僕らのワンダフルデイズ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・星田良子
ネタバレあり

題名に出て来る“僕ら”というのは、文字通り僕らと同じ世代の親父たちのことである。

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当年53歳になるサラリーマン竹中直人が主治医の会議中の話を盗み聞いて胆のうがんで余命半年と知り、高校時代のバンド仲間を集めて中年バンドのコンテストに参加して最後の花を咲かせようとする。

というお話だが、早々に妻・浅田美代子や娘・貫地谷しほりの描写からそれが彼の思い込みであると観客に教え、暫くはそのズレぶりで笑わせ、後半までお話を繋ごうという寸法。
 しかし、残念ながらメンバーの一人・宅麻伸(ギター)が物憂げに登場した瞬間に後半の展開が詳細まで読めて、お話を繋ぐ前に面白味が激減してしまう。折に触れて述べて来たように、先が読めることは必ずしも問題ではないのだが、作者が敢えて隠そうとした小細工が見え見えでは興醒めと言うしかないのである。もう少し上手く誤魔化してくれないといけない。

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かくして宅麻の最期が近づく中色々と発生した障害をクリアして何とかコンテストに参加するが、本番前に会場から消えたメンバー段田安則の母を捜索する為に演奏できなくなりかける。
 次々と問題が降りかかる連続TVドラマのような展開の中にあっても、この最後の騒動は際立ってわざとらしく全く感心できない。

また、最後に宅麻伸の本当の奥さん賀来千香子を特別出演させるなら、アメリカにいる同級生のピンチヒッターとして起用したドラマー(稲垣潤一)の元夫人である女優役ではなく、“僕ら”のマドンナであった良子(りょうこ)さん役にすれば良かったのにと思う。作為の目立つお話なのだからそのくらいやった方が景気が良くなる。

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映画の出来栄えには色々文句を付けてきましたが、同じ世代だけ2年前に入院も経験した我が身に照らして、思春期時代から現在まで思いが駆け巡り、終盤は目頭が熱くしておりました。そう言えば腕前もないのにバンドを組もうとしたこともあったっけ。

映画に関係ないつぶやき・・・計画停電で予定が立てにくい。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年03月17日 19:23
こちらも・・・・
まったく停電になるかもと思って早めに食事などを済ませておいたのに、中止だとは・・・・
いたしかたないですけどね。
耐えがたきを耐え忍びがたきを忍び・・・・の心境ですね。(~_~;)
オカピー
2011年03月18日 00:24
ねこのひげさん、こんばんは。

>中止
突然やられるより突然やらなくなるほうがずっと良いのでしょうけど、それでも多少腹が立ちますね。

>耐えがたきを耐え忍びがたきを忍び
戦争を生き抜いてきた老母なんかは達観したものです。父親が昨年命をかけた大手術をした時、我々子供たちは控室でドキドキしていたのに、母親はグーグー眠っていました。兄弟口を合わせて「さすがに違う!」^^

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