映画評「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年アメリカ映画 監督マーティン・スコセッシ
ネタバレあり

伝記ドキュメンタリー「ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム」を作った実績のある音楽好きマーティン・スコセッシがローリング・ストーンズの2006年のステージ模様を収めた“記録映画”である。本来同じ意味だが、主観の入りようのないタイプはドキュメンタリーというより記録映画といった方が気分が出る。

ビートルズに比べると僕の彼らへの興味は限定的だが、それでも1989年発表の「スティール・ホイールズ」までのアルバムはレコード、CD、テープのいずれかの形で聴いているので本作で紹介される曲は大体知っている。やはり知らないより知っていた方がこの手の作品は楽しめる。
 代表的なところで、「悪魔を憐れむ歌」「サティスファクション」「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「サム・ガールズ」「スタート・ミー・アップ」「ブラウン・シュガー」「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」など。最後の曲がマリアンヌ・フェイスフルに提供されたことは有名。

また、タイトルになっているShine a Lightが象徴するように、この2月に買ったローリング・ストーンズのアルバム「メインストリートのならず者」に収められている曲が多い。有名な「ダイスをころがせ」Tumbling DiceやRocks OffやLoving Copなど。

Allcinemaにスコセッシは何を演出したのかという問いがあるが、言うまでもなく、撮影と編集である。とんでもないアングルのダイナミックなカメラワークは凡百のカメラマンでは生み出せない。

と言う一方で、この作品には明確なモチーフがある。彼らが60の坂を超えてバリバリにロックを続けている事実だ。だから、挿入される幾つもの古いインタビューの内容は「いつまでやるか」にほぼ限られ、それを基調に作品が構成されている。
 僕らにしてもどうも彼らの年齢と物凄いエネルギーに興味が行く。関心と感心ですな。あれだけ激しいパフォーマンスを見せるジャガーが若い時と殆ど変らない体型なのは不思議ではないが、ドラマーのチャーリー・ワッツにしてもきちんと管理された体型をしている。キース・リチャードとロン・ウッドのギタリスト二人は痩せ型なのでさすがに顔の皺が深い。

そのリチャードがどちらが上手いかと問われて「二人とも下手だが、二人でやれば無敵だ」と答えて言うコメントはさすがにロッカーでござる。

1991年にビル・ワイマンが抜けて現在正式メンバーのベース・ギタリストがいないのがストーンズの弱点かもしれないが、黒人のダリル・ジョーンズがずっとサポートで務めていて、本作でもきちんと紹介されている。

ストーンズのファンなら文句なく、一般の洋楽ファンではかなり、ただの映画ファンでも多少は楽しめる、と思います。

映画評と書きましたが、ちと・・・

この記事へのコメント

2011年04月20日 00:13
いろいろ大変でしたね。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。

少しずつ、自分のペースで、今までの日常に戻っていけたら良いですね。
そのように祈念しております。

TBさせて頂きましたが、今はコメントのお返事ですとか、諸々、お気になさらないで下さい。ゆっくりと元気になって下さいませ。
オカピー
2011年04月21日 11:23
RAYさん、こんばんは。

自分の時間を優先したり、(母が昨年4月から本年3月まで隣保班の担当をしていたので)近所の付き合いを嫌がって、適当な時期に母を病院に連れて行かなったのだと思います。情けなすぎて悔し涙が出てきます。

かと言っていつまでもそれに拘っては母も悲しむでしょうから、頑張るつもりですが、なかなか難しいものがあります。
人生の中の失敗でもこれほど大きな失敗はないですから。

お気遣いに本当に感謝しております。
皆さまのお声にお応えする為にも、なるべく早く元気を取り戻さないとね。
モカ
2019年06月18日 14:40
何となくブルース繋がりでこっちから行きます。公開時に観て、昨夜ダビング物件にて2回目視聴。特に感想もないんですが・・・ 
視聴中の私と夫の会話記録でもご笑納くださいませ。
モ「なんでこの人ら禿げてへんねやろ? 絶対植毛してるよな~経費で」
  (これ、ここ20年くらい、ストーンズ見るたびに言ってます)
夫「チャーリー・ワッツは前はもっと剥げてたで、後頭部が」
モ「こんな皺だらけの顔でアズティアーズゴーバイうたわれてもなぁ、気持ち悪」
夫「せやけどマリアンヌフェイスフル出てきても怖いで」
モ「ま、そうやな、ほんまはキースのほうが好きやったのにオールダムにミックと付き合えて言われてえらい目におおたわ、とかいうて喧嘩になるかもな~」
 「ストーンズってギネス記録狙ってんのかな?」
夫「ベンチャーズがまだやってるしあっちのほうが長いやろ」
モ「そっか・・・」「あっ、ボビーキーズいるやん。この時はまだ生きてたんや
  ボビー好き~!」
  「何しゃべってんねやろ、ギターの二人、後ろでヘラヘラと。ミック一人で
   頑張ってんのに。チャーリーワッツも死にそうやん」
夫「こんなとこでしゃべって聞こえるかな~」
M「あ、この子知ってる! アギレラや~ アギレラ、アギレラ」(自慢げに)
   これ、ジャックホワイト登場時もやりました。
   以降、夫口を閉ざす・・・アンコールも終わり
M「リサ・フィッシャー出てるのにギミーシェルターやらへんかったな」
夫 よろよろと立ちあがり
 「あかんなぁ~芸術性ないわ←これブルースフィーリングがないという意味です。
  やっぱ、ミック・テイラーのいた時がええわ」
 以上、ストーンズライブなら72年北米ライブの「レディース アンド ジェントルメン」を一家をあげてお勧めする次第でございます。
オカピー
2019年06月18日 20:40
モカさん、こんにちは。

趣味の合う夫婦は良いなあ。趣味が違うと地獄ですTT

>チャーリー・ワッツは前はもっと剥げてたで、後頭部が
僕もそう思いましたぞ。

>リサ・フィッシャー出てるのにギミーシェルターやらへんかったな
芸術性ないなあ(笑)

>「レディース アンド ジェントルメン」
図書館の目録を調べましたら、CDはありましたが、DVDはなかった。お金を貯めて買いますか(笑)
モカ
2019年06月18日 22:34
こんばんは。前のコメントを拝見したらご母堂が亡くなられたとのこと。
そのあとにこんなたわけたコメントを残していいものかとちょっと迷いました。
私もH27年に母を、H14年に父を亡くし兄弟も亡くしまして、私自身は子供や孫に恵まれてなんとか暮らしていますが、やっぱり寂しいもんですね。
レディース&ジェントルメン、ずっとブートが出回ってたみたいで、夫もどっかから
テープを貰ってきて、一時車でずっと聞いてたみたいです。
曲単位でならyoutubeで観られますよ。1972で北米のどこかの地名が書いてたら多分正解だと思います。図書館ってリクエストしたら買ってくれませんか?
オカピー
2019年06月19日 22:01
モカさん、こんにちは。

>母
大分前ではありますし、誹謗中傷以外のコメントは何でも歓迎です^^

>寂しい
そうですね。
18歳以降ずっと県外にいたのになんの天の配剤か、実家に戻ることになり、結局は両親の最期を見送ることになりました。
県外にいて兄弟より情報を聞くより最後の日々を長く一緒にいられたのは良かったと思います。後悔も色々ありますが、仕方がないですね。

>図書館ってリクエスト
本と違って音楽やビデオ関係は著作権の関係で少し難しいようですね。他の図書館も後で当たってみます。でもダメならYouTubeですね。
モカ
2019年06月20日 13:42
こんにちは。 昨夜 レディス&Gまた観てしまいました。
旦那、これは買いでっせ!(笑) やーほんとに。 癖になります。
前半から飛ばしてますけど、後半のALL DOWN THE LINEあたりからもう怒涛の展開で。
ミックジャガー、何かに憑依されてます。ロックの神様か、はたまた悪魔か・・・
あの、細かいことですが、「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」はカサブランカですよ。
loving copだったら可愛いポリ公になっちゃいます~cupでないとダブルミーニングになりませんがな~
とにかく、この72年の翌年日本に来ることになってたんですよね。チケット買いに行きましたよ。忘れもしません、ウドー音楽事務所。整理券の時点でアウトでした。
73年のヨーロッパツアーの映像もまだ出ていませんね。北米ツアーの上いく出来だったとか。
オカピー
2019年06月20日 22:12
モカさん、こんにちは。

>旦那、これは買いでっせ!(笑)
そこまで言われると^^
先ほどアマゾンへ行ってみたら、ブルーレイがDVDより安く売っていました。昔のLPくらいの価格。
しかし、今月はマイルス・デイヴィスの20枚セットを二つも買ってしまって懐がちと厳しい。貧乏人は辛いのだ。

>細かいことですが
>「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」
いや、全然細かくないみたいです、この間違いは。
しかし、母が死んだ直後で、“涙を流しながら”書いたものですから、あり得る間違いでしょうか。こっそり直しておきます。
何だかんだ「カサブランカ」を批判してきた僕も、かの作品の呪縛からは逃れられないのか。

>~cupでないとダブルミーニングになりませんがな~
もしかしたら、桑田佳祐流に厭らしい意味だった? いや、桑田佳祐がローリング・ストーンズ流を戴いた?

>整理券の時点でアウト
それは残念でした。
ライブ映像はまだまだあるようですね。多分WOWOWでも貴重なライプ映像(ストーンズというわけではないですが)をやっているのでしょうが、近年は妙に忙しいので(と言うと家人に勝手に忙しくしていると言われますが)、なかなか。
モカ
2019年06月21日 15:57
こんにちは。 73年ジャパンツアーはキースの不祥事で中止になりましたから、チケット取れてたら払い戻しの手間がかかってますよ。
as tears go by シングルレコードを探し出してきたら、「リトルバード」の裏面で「涙あふれて」になってました。
cupはダブルミーニングかどうか知りませんよ。勝手に解釈してるだけです。
ストーンズがあんまり太らないのは、戦中戦後の食糧事情が悪くて食べ物があんまりなかったからさ、って本人たちが言ってましたね。「チャリングクロス街84番地」にアン・バンクロフトから送られてくる缶詰に大喜びするシーンがありましたが、食料不足は日本だけではなかったことをあの映画でしりました。
50年代生まれのミック・テイラーが見る影もなく太ってしまったのは、深酒不摂生もあるんでしょうが食料事情が改善された時期に成長期が重なって脂肪細胞ができてしまったのかもですね。何かで読みましたが、ミックジャガーと休暇を一緒に過ごしたレニー・クラビッツによると、ミックはかなりストイックな生活をしているようです。(女関係以外)ランニングとか発声とかはちょっとさぼると取り戻せなくなるので休暇中でもトレーニングは欠かせないみたいです。
マイルスを40枚!!! 良い時代になりましたね。コーヒー1杯が50円くらいの時代にレコードが1枚2000円近くしてましたもん。隔世の感ありです。最近何かと話題の団塊世代の大卒初任給が3万くらいってきいてますよ。私の時代で10万ほど。すごいインフレ!
オカピー
2019年06月21日 22:33
モカさん、こんにちは。

>キースの不祥事で中止
そう言えば、そういうこともありましたっけ。結果的には幸運だったわけですね。

>戦中戦後の食糧事情が悪く
意味は違いますが、三つ子の魂百まで、ですね。

>マイルスを40枚
両方合わせて9000円くらい。一枚250円もしない。片方が高くて7000円近くしますが、後期(?)の「ビッチェズ・ブリュー」「イン・ア・サイレント・ウェイ」も入っているので仕方がありません。

>私の時代で10万
そう、凄かったんですよ。
モカさんとほぼ同期(1953年早生まれ)の兄貴は高校を出て勤め始めましたので、初任給3万円くらいだったと記憶します。数年で確かに10万円くらいになりましたね。
そんな時代だから国立大学授業料も2年ごとに倍々ゲームのようになっていました。数年先輩の学費が嘘のように安いのに驚きましたよ。僕らが96000円払ったのに先輩は12000円ですからね。国公立大学の授業料は入学した年によって決まるというのが面白いと思いました。

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