喪中映画評「運命のボタン」
☆☆★(5点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督リチャード・ケリー
ネタバレあり
現在喪中であります。喪失感以上に罪悪感に苦しめられております。為に理解もままならない状態で鑑賞したり、頭が整理できないまま書いたものは“喪中映画評”というタイトルとし、他の映画評とは区別することに致しました。そんな状態で映画評などと称するのも甚だ失礼とは存じますが、悪しからず。なるべく早く自分である程度納得できるものが書けるように努めます。
傑作「激突!」の脚本や印象深いファンタジー「ある日どこかで」や未来SF「アイ・アム・レジェンド」の原作者として映画ファンには知られるリチャード・マシスンの小説の映画化。TVシリーズの一編に続いて二度目の映像化らしい。
女性教師キャメロン・ディアスが頬に大きな火傷痕を残した老人フランク・ランジェラの訪問を受け、「先に届けた箱のボタンを押せば100万ドルを進呈するがその代りに“見知らぬ誰か”が死ぬことになる。夫以外の誰にも言わず、24時間以内に決心しなさい」と言われ、NASAの火星探査計画に携わる夫ジェームズ・マースデンとの押し問答の末「えいやっ」とボタンを押してしまう。
翌日ランジェラが現われ、本当に人が死んだことを判明、自分たちが「見知らぬ誰か」になる予感を覚えたマースデンはパーティーの最中に官憲である妻の父親に相談する。
この辺りまでミステリアスな以外は一般の範疇に入る政府絡みの陰謀サスペンスかと思って観ていたが、ランジェラがすぐにその事実に気付いて電話をかけて来る辺りからSFかオカルトの匂いがしてくる。
さらに夫婦が別々にある図書館に行き、そこがランジェラを始め“従業員”専用であると判明、従業員に追われる場面に至るとホラーもどきになり、最終的には「フォーガットン」を思い出させるところが出て来る。
が、同作と決定的に違うと思われるのは、火星やNASAが大きく絡んでいても“従業員”の雇い主が必ずしも宇宙人でなくても良いということ。空にいるのは生物学的な宇宙人というより、宇宙人=神と考え、神が欲にまみれ利他的になれない人類をテストしていると解釈したほうが、一種の宗教的寓話としてピンと来る。先日観た「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」でも扱われていたように稲妻を操るのはゼウスだから。ゼウスはキリスト教には関係ないのですけどね。冷戦時代が時代背景であるから、ボタンにはもう一つ風刺的な側面があると考えることもできる。
いずれにしても、妙に流行気味の終末論映画のヴァリエーションで、凝った割に余り面白いとは言えない出来。
後半ピンク・フロイドの「フィアレス」が車中の音楽として流れていたが、何故かクレジットには出て来ない。
2009年アメリカ映画 監督リチャード・ケリー
ネタバレあり
現在喪中であります。喪失感以上に罪悪感に苦しめられております。為に理解もままならない状態で鑑賞したり、頭が整理できないまま書いたものは“喪中映画評”というタイトルとし、他の映画評とは区別することに致しました。そんな状態で映画評などと称するのも甚だ失礼とは存じますが、悪しからず。なるべく早く自分である程度納得できるものが書けるように努めます。
傑作「激突!」の脚本や印象深いファンタジー「ある日どこかで」や未来SF「アイ・アム・レジェンド」の原作者として映画ファンには知られるリチャード・マシスンの小説の映画化。TVシリーズの一編に続いて二度目の映像化らしい。
女性教師キャメロン・ディアスが頬に大きな火傷痕を残した老人フランク・ランジェラの訪問を受け、「先に届けた箱のボタンを押せば100万ドルを進呈するがその代りに“見知らぬ誰か”が死ぬことになる。夫以外の誰にも言わず、24時間以内に決心しなさい」と言われ、NASAの火星探査計画に携わる夫ジェームズ・マースデンとの押し問答の末「えいやっ」とボタンを押してしまう。
翌日ランジェラが現われ、本当に人が死んだことを判明、自分たちが「見知らぬ誰か」になる予感を覚えたマースデンはパーティーの最中に官憲である妻の父親に相談する。
この辺りまでミステリアスな以外は一般の範疇に入る政府絡みの陰謀サスペンスかと思って観ていたが、ランジェラがすぐにその事実に気付いて電話をかけて来る辺りからSFかオカルトの匂いがしてくる。
さらに夫婦が別々にある図書館に行き、そこがランジェラを始め“従業員”専用であると判明、従業員に追われる場面に至るとホラーもどきになり、最終的には「フォーガットン」を思い出させるところが出て来る。
が、同作と決定的に違うと思われるのは、火星やNASAが大きく絡んでいても“従業員”の雇い主が必ずしも宇宙人でなくても良いということ。空にいるのは生物学的な宇宙人というより、宇宙人=神と考え、神が欲にまみれ利他的になれない人類をテストしていると解釈したほうが、一種の宗教的寓話としてピンと来る。先日観た「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」でも扱われていたように稲妻を操るのはゼウスだから。ゼウスはキリスト教には関係ないのですけどね。冷戦時代が時代背景であるから、ボタンにはもう一つ風刺的な側面があると考えることもできる。
いずれにしても、妙に流行気味の終末論映画のヴァリエーションで、凝った割に余り面白いとは言えない出来。
後半ピンク・フロイドの「フィアレス」が車中の音楽として流れていたが、何故かクレジットには出て来ない。
この記事へのコメント
そういえば、今夜(14日)のタモリさんの『世にも奇妙な物語』みたいなのが、海外ドラマシリーズでむかしありましたね・・・『世にも不思議な物語』だったかな?(検索してみたらDVDで出てました。こんど借りてきましょう。(^^ゞ)短編向きですかね?
『爆破ボタン』とかいうおもちゃをおもちゃ屋で見たことがありますが、黒い箱に赤いボタンがついてました。
押しても、なにも起こらないのです。ドカンとかいう音ぐらい鳴ればいいのに・・・と思いましたけどね。
オモチャと思っていたら・・・本当に・・・みたいなほうが面白い気がしますけどね。(~_~;)
>「世にも不思議な物語」
僕が知っている「世にも不思議なアメージング・ストーリー」と同じものでしょうか? ビデオレンタルで何本か借りてきたことがあります。
この作品のオリジナルは、「新トワイライト・ゾーン」で放映されたようです。
>『爆破ボタン』
へえ、知りませんでした。
しかし、音もしないのではつまりませんね。
どうしてもタイトルが思い出せなかったのでスッキリしました。
ありがとうございますm(__)m
どう致しまして。
あの二シリーズの中にはちょっと趣味の悪いものもありましたね^^;
>ちょっと長めの
こういう“奇妙な味”といったジャンルのお話は短い方がピシッと決まるわけですよね。お話のコンセプトの割に長すぎる気がします。