喪中映画評「誰がため」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年デンマーク=チェコ=ドイツ映画 監督オーレ・クリスチャン・マセン
ネタバレあり
現在喪中であります。喪失感以上に罪悪感に苦しめられております。為に理解もままならない状態で鑑賞したり、頭が整理できないまま書いたものは“喪中映画評”というタイトルとし、他の映画評とは区別することに致しました。そんな状態で映画評などと称するのも甚だ失礼とは存じますが、悪しからず。なるべく早く自分である程度納得できるものが書けるように努めます。
ナチス絡みの戦争映画は21世紀になって減るどころか益々増えているが、反面教師としてこれほど魅力的な素材はないということなのだろう。こちらはデンマークにおける実話。
反ナチ組織に属するフラメン(トゥーレ・リントハート)とシトロン(マッツ・ミケルセン)が、警察関係者の上役から指示を受けて、ナチス協力者を次々と暗殺していくが、ある大物ターゲットと接触した際の話しぶりからこれまで倒したきたのが本当に協力者だったのか怪しくなって苦悩を深め、しかもフラメンが疑惑を持ちながらも恋愛関係に陥った女性ケティ(スティーネ・スティーンゲーゼ)に裏切られ、ゲシュタポに隠れ家を急襲されてしまう。
デンマークではともかく、極東に住む僕らには秘話として十分通じるお話で、人物関係にやや把握しにくさがあるものの、きちんと緊張して観ていれば理解不能に陥るほどではないだろう。但し、この二人が特に英雄視される理由がこの映画から十分理解できるとは言えない。
レジスタンスやパルチザンと言うと山林に隠れてのゲリラ的な行動を思い浮かべがちだから、町を中心に活躍するのは新味、中でも酒場でゲシュタポの親玉(クリスチャン・ベルケル)と交錯する辺りに民族的にドイツ人に近いデンマークならではというか、他のレジスタンス映画に余り観られない面白味がある。
演出的には、カットやシーンが上手く繋がっていないところが多少見られ(4月以前ほど正確に把握していないことをご承知されたし)、何故か思い出したジャン=ピエール・メルヴィルのレジスタンスもの「影の軍隊」(1969年)の厳しさにはちょっと及ばない。
2008年デンマーク=チェコ=ドイツ映画 監督オーレ・クリスチャン・マセン
ネタバレあり
現在喪中であります。喪失感以上に罪悪感に苦しめられております。為に理解もままならない状態で鑑賞したり、頭が整理できないまま書いたものは“喪中映画評”というタイトルとし、他の映画評とは区別することに致しました。そんな状態で映画評などと称するのも甚だ失礼とは存じますが、悪しからず。なるべく早く自分である程度納得できるものが書けるように努めます。
ナチス絡みの戦争映画は21世紀になって減るどころか益々増えているが、反面教師としてこれほど魅力的な素材はないということなのだろう。こちらはデンマークにおける実話。
反ナチ組織に属するフラメン(トゥーレ・リントハート)とシトロン(マッツ・ミケルセン)が、警察関係者の上役から指示を受けて、ナチス協力者を次々と暗殺していくが、ある大物ターゲットと接触した際の話しぶりからこれまで倒したきたのが本当に協力者だったのか怪しくなって苦悩を深め、しかもフラメンが疑惑を持ちながらも恋愛関係に陥った女性ケティ(スティーネ・スティーンゲーゼ)に裏切られ、ゲシュタポに隠れ家を急襲されてしまう。
デンマークではともかく、極東に住む僕らには秘話として十分通じるお話で、人物関係にやや把握しにくさがあるものの、きちんと緊張して観ていれば理解不能に陥るほどではないだろう。但し、この二人が特に英雄視される理由がこの映画から十分理解できるとは言えない。
レジスタンスやパルチザンと言うと山林に隠れてのゲリラ的な行動を思い浮かべがちだから、町を中心に活躍するのは新味、中でも酒場でゲシュタポの親玉(クリスチャン・ベルケル)と交錯する辺りに民族的にドイツ人に近いデンマークならではというか、他のレジスタンス映画に余り観られない面白味がある。
演出的には、カットやシーンが上手く繋がっていないところが多少見られ(4月以前ほど正確に把握していないことをご承知されたし)、何故か思い出したジャン=ピエール・メルヴィルのレジスタンスもの「影の軍隊」(1969年)の厳しさにはちょっと及ばない。
この記事へのコメント
本作は私は劇場鑑賞しました。どない書いたらいいのか…悪くはなかったし、きちんと描いていると思うんだけど、ブログにあげてないから、あえて書きたい気も起こらなかったのでしょう。きっと。でオカピーさんは7点!…?ってお邪魔したら喪中とは!(笑)
>ジャン=ピエール・メルヴィルのレジスタンスもの「影の軍隊」(1969年)の厳しさにはちょっと及ばない。
私たちって、厳しき時代を生き抜いてきた監督たちによって厳しさのある映画を既にして観てきたから。
この頃思うんです。私たちが映画を観て知らない時代、知らない世界を教えてもらってきたように、今の若者達もこういう映画を観て、ナチスの存在を知り、第二次大戦があったことを知るんだろうなって。かつて観た映画と知らず較べているけれど、こうやって歴史も映像によって継がれていくんだなって思うこの頃です。
まだ余り集中できない頃に観たものなのでかなりいい加減なものですが、最近のレジスタンスものにしたら一応格好になっているかなと思ったので、7点。
映画がもっと映画らしかった時代のものと比べるともっと低くても良い感じですが、そうすると平均がどんどん下がっちゃうものですから(笑)。
四月に亡くなった母は東京空襲に遭遇しているし、父親も高崎の空襲は知っている。僕らは直接知らなくても両親から色々と聞いて多少は戦争の感覚を心に残しながら戦争映画を観るのでかなり実感を伴うものになっていますね。
今の若い人は映画によってしか知るしかないにしても知らないよりは良いでしょう。何かの映画で言っていたような気がしますが、戦争の本当の痛みを知っている人が全くいなくなった時また戦争が起きる。確かにそんな感じはありますね。