喪中映画評「シーサイドモーテル」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年日本映画 監督・守屋健太郎
ネタバレあり

現在喪中であります。喪失感以上に罪悪感に苦しめられております。為に理解もままならない状態で鑑賞したり、頭が整理できないまま書いたものは“喪中映画評”というタイトルとし、他の映画評とは区別することに致しました。そんな状態で映画評などと称するのも甚だ失礼とは存じますが、悪しからず。なるべく早く自分である程度納得できるものが書けるように努めます。

山奥にあるのにシーサイドモーテルというふざけた名前のおんぼろモーテルにやってきた男女の言わば騙し合いを描いた群像劇。

103号室に泊っていたいんちきクリームのセールスマン生田斗真は間違えて入って来たコールガール麻生久美子とが商売と愛をめぐって騙し合い、彼女が本来行くべきだった203号室に泊るスーパーの社長古田新太は妻の留守にコールガールを使って何とか回春しようとやってきたのだが、嫉妬深い妻・小島聖に外出される前に化粧を施されてかなりみっともない目に会う。
 その横の202号室では賭け金3000万円を踏み倒して恋人・成海璃子と逃げて来た山田孝之が、ヤクザの玉山鉄二と柄本時生に部屋を占領された挙句、プロの拷問屋・温水洋一に指を少しずつ切られていく。その下の102号室ではキャバクラ嬢・山崎真実を何とかものにしようと騙して連れて来た池田鉄洋の憐れな顛末。

この4組のエピソードが、登場人物がごく軽く絡み合う形で並行して進行していく準オムニバス構成で、最後の組は低調で余り面白くない。

203号室はなかなか賑やかだが、とぼけた感じの温水の拷問屋というミスマッチなキャスティングの妙に尽きるようで、彼と山田がつるんでいるくらいは直感的に推測できてしまう為落ちはつまらない。103号室の生田君は最初と最後を飾ってありえざる円環を構成するのが面白いと言えば面白い。

奇妙な味という意味で一番秀逸なのは203号室で、母を失った僕と同じように亡くなった妻に「ごめんよ」と言うのを聞いて涙が洩れた。結構重要な要素と判明する節水が上手く効いているエピソードでもある。

しかし、総じてこの手の趣向自体が既に新味がなくなっているので、観ている間は退屈しなくてもとりわけ面白いという感想は出しにくい。

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  • シーサイドモーテル

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    Excerpt: 予告で観て、 あまり好みではない感じではあったのですが、 豪快キャストなのが気になって 観てみました。 生田斗真、麻生久美子、山田孝之、成海璃子、 温水洋一、玉山鉄二、小島聖、古田新太等 豪華ですよね.. Weblog: 映画、言いたい放題! racked: 2011-05-20 18:37