喪中映画評「台北に舞う雪」

☆☆★(5点/10点満点中)
2009年中国=日本=台湾=香港映画 監督フォ・ジェンチー
ネタバレあり

現在喪中であります。喪失感以上に罪悪感に苦しめられております。為に理解もままならない状態で鑑賞したり、頭が整理できないまま書いたものは“喪中映画評”というタイトルとし、他の映画評とは区別することに致しました。そんな状態で映画評などと称するのも甚だ失礼とは存じますが、悪しからず。なるべく早く自分である程度納得できるものが書けるように努めます。

秀作「山の郵便配達」を作ったフォ・ジェンチーの最新作。

新人歌手メイ(トン・ヤオ)が声が出なくなったショックで台北から失踪、同じ北部の渓谷の街・チントンに辿り着く。街では少年の頃母に失踪され祖母の死で孤児になった青年モウ(チェン・ボーリン)が自分を育ててくれた街の人々の為に甲斐甲斐しく働いていて、やがてメイと知り合うことになる。
 青年は彼女の声を取り戻そうと元漢方医に診せたりするうち彼女を思慕するようになり、彼女も憎からず思うが、彼女の声を失う精神的原因ともなったプロデューサーのレイ(トニー・ヤン)が街の舞台に立った彼女を迎えにやって来る。引き留められないモウは彼女のいなくなったチントンを離れ、母親を探す旅に出る。メイは、台北で成功した後チントンを再訪する・・・。

お話の細工で見せるというよりはムードで見せる映画でありましょう。台北とチントンを対比させた前半はそれがそこそこ上手く機能しているが、終盤は過剰になり、最終的に現実か幻影か観客の理解に任せるような幕切れになっているのが残念。
 「台北に雪が降る時母親が帰って来る」という祖母の言葉に由来する母親出現の場面は幻想だと思うが、橋の上でメイとモウが会うのは現実なのだろう。二人の心模様やメイの成長を描くのが眼目であるにしても、ちょっと曖昧すぎる幕切れであるような気がする。

実は、個人的な事情で青年が街の人々を次々と訪問する場面が僕の胸に突き刺さった。詳細な事情は語れないが、僕が彼のように周囲の人々に接することができていたら、あるいは母のこの時期の死はなかったのではないかと内心思っている。無念でやりきれない。

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