ふる~いCD名盤聴きまくりの記2011年6月下旬号
お金を節約する為にBOXセットでの購入が多く、同じ顔ぶれが続く傾向にありますが、暫くお待ちください。初めてのアーティストを何とか二組ほど入れました。どうもすみません。
..Brave New World / THE STEVE MILLER BAND
1969年発表(1994年Capitol盤)
内容評価☆☆☆☆★音質評価7点
スティーヴ・ミラー・バンドの第3作は実にご機嫌。ブルース・ロックの出身に似合わず、メロディーはいつもキャッチーで彼の作る曲は大体僕の肌に合う。
その中でも本作に痺れたのは、ポール・レイモンの変名でポール・マッカートニーが最後の9曲目 My Dark Hour にベース、ドラム、ギター、バック・コーラスとして参加していて、もう一つのギターを弾きながら歌っているミラーがシャウトする時のポールのようなボーカルを聴かせること。ポールが歌っているのかと一瞬思ったりして。
そのせいか偶然なのか知りませんが、2曲目 Celebration Song ではビートルズの「愛のことば」The Word、7曲目の Space Cowboy では「レディ・マドンナ」Lady Madonna を模倣若しくは意識したようなベース・フレーズ(をリズム・ギターで弾いているの)が聴けるので益々嬉しくなってしまってこの高評価。
..Pasley, Sage, Rosemary and Thyme / SIMON & GARFUNKEL
1966年発表(2010年Sony Music盤)
内容評価☆☆☆☆★音質評価7点
サイモン&ガーファンクルの第3作は音楽的にはロック(フォーク・ロック)寄りの傾向を見せつつ、歌詞的には反戦フォーク的な面が強調された感があります。
僕は最初の「スカボロー・フェア/詠唱」Scarborough Fair/Canticle 一曲だけでもこのアルバムは“買い”なんですが、その曲の「詠唱」にこそ反戦的な面が強く表れています。「スカボロー・フェア」自体は英国の古い民謡で、ボブ・ディランも「北国の少女」Girl of the North Country でこの歌詞をの一部を引用していますね。
ディランと言えば、9曲目の「簡単で散漫な演説」A Simple Desultory Phillippic は明らかにディランを模倣した曲作りで、彼のロックへの傾倒の風刺にも、単純な追従のようにも聞こえます。全体のフォーク・ロック的な色彩を考えれば追従なのかな。
その他、「早く家へ帰りたい」Homeward Bound と「59番街橋の歌」The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) が良く知られた佳曲。個人的には、「雨に負けぬ花」Flowers Never Bend with the Rianfall もお気に入り。ニュースに乗せて流れる「きよしこの夜」が強烈な印象を残し、渋く終わります。
..Spirit in the Dark / ARETHA FRANKLIN
1970年発表(2009年Rhino盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価7.5点
今まで紹介したアレサ・フランクリンの名盤が比較的万人向けとするなら、本作は砂糖もミルクも入っていないブラック・コーヒーの如し。完成度はなかなか高いと思います。
しかるに、ちょっと甘党の僕には些か苦い感じが残るのですよ。気分の良い夜に聴くとグッと胸に迫りそうですが、心中複雑な状態にあるような時に聴くのはしんどそう。ハイライトは彼女自身が作ったタイトル曲でしょうか?
録音は低中高域のバランスが良くなり、大きすぎる傾向にあったバックコーラスが抑えられてアレサとの距離感が適度になり、かなり上品な音質になっています。
..Next Position Please / CHEAP TRICK
1980年発表(2008年Sony BMG盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価6点
チープ・トリック第8作(ライブ盤=名作の誉れ高い At Budokan を除く)。
第6作の All Shook Up に続いてこちらの音質もダイナミック・レンジが狭く全く芳しくありませんが、プロデューサーをトッド・ラングレンが担当して内容は格段に良くなっています。
例によってギターのリック・ニールセンが殆どの曲を書いていまして、愛のはかなさを歌ったバラード Y.O.Y.O.Y. などはメロディメイカーとしての素晴らしさを感じさせます。全体的にも初期よりややポップ度が増している感じで、ハードロッカーとしての面を期待するファンには多少物足りないかもしれません。その他、1曲目のストレートなロック・ナンバー I Can't Take It は珍しくボーカルのロビン・ザンダーが単独で書いているので、ファンは注目したいところ。
..The George Benson's Cookbook / GEORGE BENSON
1966年発表(2007年Columbia / Legacy Euro盤)
内容評価☆☆☆音質評価7.5点
ジョージ・ベンスンのバンド・リーダー第3作。ジャズに余り詳しくない僕には、1960年代前半の日本映画のキャバレーか何かの場面で演奏されているような平均的なモダン・ジャズに聞こえます。僕のような素人には却って聴きやすい感じがありますが、没個性的とは言えそう。
..Hunky Dory / DAVID BOWIE
1971年発表(1999年EMI盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価7点
唯一持っていた初期代表的名作「ジギー・スターダスト」の直前のデーヴィッド・ボウイー第5作。アマゾンでの評価が他作に比べて高いので買ってみました。音楽史的には、この盤辺りがグラム・ロックの胚胎期ということになるらしい。
個人的にはトータル・アルバムとして非常にまとまりがあり、かつ、素晴らしい曲が多い「ジギー・スターダスト」の方が好きですが、フォーク・ロック的な Song for Bob Dylan があるかと思えば、キャッチーでポップな Changes があり、「ジギー」の先行的作と見なせる美しいバラード Life on Mars? があるかと思えば、ダンスホール用の曲のような Kooks がある、といった具合に極めてバラエティに富んだ構成になっていて、各曲の水準も高い。ソングライターとしてのボウイーの才能を楽しむには最適な一枚とは言えるかもしれません。
..Green River / CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL
1969年発表(2009年Fantasy盤)
内容評価☆☆☆☆☆音質評価7.5点
CCRの第3作は邦題もそのまま「グリーン・リバー」、ファンの間でも評価の高いアルバム。
最後の9曲目 The Night Time Is the Right Time を除いて全てボーカル&ギターのジョン・フォガティが書いていますが、一番長い曲でも4:57とアート・ロック全盛期で長い曲が流行っていた時代の作品としてはコンパクトな曲ばかりで非常にタイトな出来映え。言わばフォガティの全盛時代で、ロック・ナンバーとしてはタイトル曲と Bad Moon Rising、バラードでは Wrote a Song for Everyone と Lodi が名曲と思います。
..Brave New World / THE STEVE MILLER BAND
1969年発表(1994年Capitol盤)
内容評価☆☆☆☆★音質評価7点
スティーヴ・ミラー・バンドの第3作は実にご機嫌。ブルース・ロックの出身に似合わず、メロディーはいつもキャッチーで彼の作る曲は大体僕の肌に合う。
その中でも本作に痺れたのは、ポール・レイモンの変名でポール・マッカートニーが最後の9曲目 My Dark Hour にベース、ドラム、ギター、バック・コーラスとして参加していて、もう一つのギターを弾きながら歌っているミラーがシャウトする時のポールのようなボーカルを聴かせること。ポールが歌っているのかと一瞬思ったりして。
そのせいか偶然なのか知りませんが、2曲目 Celebration Song ではビートルズの「愛のことば」The Word、7曲目の Space Cowboy では「レディ・マドンナ」Lady Madonna を模倣若しくは意識したようなベース・フレーズ(をリズム・ギターで弾いているの)が聴けるので益々嬉しくなってしまってこの高評価。
..Pasley, Sage, Rosemary and Thyme / SIMON & GARFUNKEL
1966年発表(2010年Sony Music盤)
内容評価☆☆☆☆★音質評価7点
サイモン&ガーファンクルの第3作は音楽的にはロック(フォーク・ロック)寄りの傾向を見せつつ、歌詞的には反戦フォーク的な面が強調された感があります。
僕は最初の「スカボロー・フェア/詠唱」Scarborough Fair/Canticle 一曲だけでもこのアルバムは“買い”なんですが、その曲の「詠唱」にこそ反戦的な面が強く表れています。「スカボロー・フェア」自体は英国の古い民謡で、ボブ・ディランも「北国の少女」Girl of the North Country でこの歌詞をの一部を引用していますね。
ディランと言えば、9曲目の「簡単で散漫な演説」A Simple Desultory Phillippic は明らかにディランを模倣した曲作りで、彼のロックへの傾倒の風刺にも、単純な追従のようにも聞こえます。全体のフォーク・ロック的な色彩を考えれば追従なのかな。
その他、「早く家へ帰りたい」Homeward Bound と「59番街橋の歌」The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy) が良く知られた佳曲。個人的には、「雨に負けぬ花」Flowers Never Bend with the Rianfall もお気に入り。ニュースに乗せて流れる「きよしこの夜」が強烈な印象を残し、渋く終わります。
..Spirit in the Dark / ARETHA FRANKLIN
1970年発表(2009年Rhino盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価7.5点
今まで紹介したアレサ・フランクリンの名盤が比較的万人向けとするなら、本作は砂糖もミルクも入っていないブラック・コーヒーの如し。完成度はなかなか高いと思います。
しかるに、ちょっと甘党の僕には些か苦い感じが残るのですよ。気分の良い夜に聴くとグッと胸に迫りそうですが、心中複雑な状態にあるような時に聴くのはしんどそう。ハイライトは彼女自身が作ったタイトル曲でしょうか?
録音は低中高域のバランスが良くなり、大きすぎる傾向にあったバックコーラスが抑えられてアレサとの距離感が適度になり、かなり上品な音質になっています。
..Next Position Please / CHEAP TRICK
1980年発表(2008年Sony BMG盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価6点
チープ・トリック第8作(ライブ盤=名作の誉れ高い At Budokan を除く)。
第6作の All Shook Up に続いてこちらの音質もダイナミック・レンジが狭く全く芳しくありませんが、プロデューサーをトッド・ラングレンが担当して内容は格段に良くなっています。
例によってギターのリック・ニールセンが殆どの曲を書いていまして、愛のはかなさを歌ったバラード Y.O.Y.O.Y. などはメロディメイカーとしての素晴らしさを感じさせます。全体的にも初期よりややポップ度が増している感じで、ハードロッカーとしての面を期待するファンには多少物足りないかもしれません。その他、1曲目のストレートなロック・ナンバー I Can't Take It は珍しくボーカルのロビン・ザンダーが単独で書いているので、ファンは注目したいところ。
..The George Benson's Cookbook / GEORGE BENSON
1966年発表(2007年Columbia / Legacy Euro盤)
内容評価☆☆☆音質評価7.5点
ジョージ・ベンスンのバンド・リーダー第3作。ジャズに余り詳しくない僕には、1960年代前半の日本映画のキャバレーか何かの場面で演奏されているような平均的なモダン・ジャズに聞こえます。僕のような素人には却って聴きやすい感じがありますが、没個性的とは言えそう。
..Hunky Dory / DAVID BOWIE
1971年発表(1999年EMI盤)
内容評価☆☆☆☆音質評価7点
唯一持っていた初期代表的名作「ジギー・スターダスト」の直前のデーヴィッド・ボウイー第5作。アマゾンでの評価が他作に比べて高いので買ってみました。音楽史的には、この盤辺りがグラム・ロックの胚胎期ということになるらしい。
個人的にはトータル・アルバムとして非常にまとまりがあり、かつ、素晴らしい曲が多い「ジギー・スターダスト」の方が好きですが、フォーク・ロック的な Song for Bob Dylan があるかと思えば、キャッチーでポップな Changes があり、「ジギー」の先行的作と見なせる美しいバラード Life on Mars? があるかと思えば、ダンスホール用の曲のような Kooks がある、といった具合に極めてバラエティに富んだ構成になっていて、各曲の水準も高い。ソングライターとしてのボウイーの才能を楽しむには最適な一枚とは言えるかもしれません。
..Green River / CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL
1969年発表(2009年Fantasy盤)
内容評価☆☆☆☆☆音質評価7.5点
CCRの第3作は邦題もそのまま「グリーン・リバー」、ファンの間でも評価の高いアルバム。
最後の9曲目 The Night Time Is the Right Time を除いて全てボーカル&ギターのジョン・フォガティが書いていますが、一番長い曲でも4:57とアート・ロック全盛期で長い曲が流行っていた時代の作品としてはコンパクトな曲ばかりで非常にタイトな出来映え。言わばフォガティの全盛時代で、ロック・ナンバーとしてはタイトル曲と Bad Moon Rising、バラードでは Wrote a Song for Everyone と Lodi が名曲と思います。
この記事へのコメント
昔々、哀しいことがあると、キーボードでこの曲を弾いていました。
しかしながら、今回のメインディッシュはDavid Bowie!
この女装のジャケ写がまずは本日のジャケ写大賞に決定。
で、音の方ですが・・・世代的には当然のことながら、全然、Bowie世代ではないのですが、意外とBowieはがっつり聴いてきました!
特に好きなアルバムはベルリン三部作と呼ばれる、一連のちょっと陰鬱でヨーロッパの香り溢れる三作と、その直後の”Scarey Monsters”ですが、でもこの”Hunky Dory”もハズせません!
この人の作品は、アルバム毎に明確な物語が設定されていて、ある意味、とても「映画的」なミュージシャンかなって思います。
>スカボロー・フェア
これはS&Gの殊勲とは言えないのかもしれないけれど、素晴らしい曲ですね。呪文みたいな、かぐや姫の無理難題みたいな詩も素敵です。
その昔、ビジネス・フレンドと綴りが正確に書けるか、なんて話をしたこともありました。
>David Bowie
ベルリン3部作というのは、彼の曲が映画によく使われていた頃ですね。ナスターシャ・キンスキーの「キャット・ウーマン」にも使われていなかったですか?
>「映画的」なミュージシャンかな
僕はアルバムを通して聞いたのは3枚しかないので、断言はできませんが、「ジギー・スターダスト」なんてのは典型ですね。
ベルリン三部作の中からも購入するつもり。