映画評「すべて彼女のために」

☆☆★(5点/10点満点中)
2008年フランス映画 監督フレッド・カヴァイエ
ネタバレあり

一時フランス製サスペンスはアメリカ映画と比べると冗長でまわりくどくていけない作品が多かったが、リュック・ベッソンが良くも悪くもフランスの犯罪映画を変えたと思っている。本作は良い方の例で、しかもアメリカナイズされていないのがさらに良い。

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有能で美しいキャリア・ウーマン、ダイアン・クルーガーが上司殺しの冤罪で20年の禁固刑が言い渡される。
 この作品は彼女が不運にも関わることになってしまった犯罪については最小限の描写に留め、裁判に至ってはワン・ショットすらない。その為にご都合主義的な冤罪設定となっていることは否めないし、平凡な国語教師である夫ヴァンサン・ランドンが、自殺未遂をして入院中の妻を医療関係者に化けさせて脱獄させる程の強い意志を覚えることを観客に納得させる描写の量としては少ないかもしれないが、全体としては軽量級の作品として展開のスピードが早まり、そうした不満を感じにくくする効果として大目に見たい気にはなる。

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中盤は主人公が偽パスポート作成などの闇ルートへの接近して危ない目に会い、脱獄後は幼い息子を連れていかに警察の目をかいくぐるかというサスペンスとなり、フランス製にしては無駄が少なく珍しいほどドキドキさせられる。しかし、強力とまでは行かず、☆はこの程度に留めたい。

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早くもハリウッドでリメイクされたそうですが・・・

この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年06月27日 04:52
最近リメイク多いですよね。
宇宙船艦ヤマトのリメイクも話が進んでいるとか?
アメリカでヤマト?
古代進が金髪で青い目なのか?
宇宙戦艦の名前をジョン・F・ケネディーにしたらヤマトではないぞ?
で???だらけです。
オカピー
2011年06月27日 15:54
ねこのひげさん、こんにちは。

アメリカ映画界若しくはハリウッドは、単にネタ不足だけではなく、変な商業至上主義の化け物みたいなものが巣食っているような気がしますね。
いい加減にしろと言いたいくらいリメイクは多いです。シリーズも一種のリメイクですから、とんでもない数のリメイクが作られていると思います。そうでなくても似たようなお話が多いのに。^^;

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