映画評「ユキとニナ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2009年フランス=日本映画 監督・諏訪敦彦/イポリット・ジラルド
ネタバレあり
即興演出と称して台詞を役者に任せ、固定カメラによる撮影を撮影監督を任せて「不完全なふたり」を作った諏訪敦彦氏を一種の芸術家として誉めるのは良いとして、映画監督として誉める理由が僕には見当たらない。アメリカの職業監督の大半は脚本家の書いた脚本(ハリウッドでの脚本はカット割りまで指示されることが多いそうだ)のままに進め、編集を編集者若しくは製作会社に任せるからこちらの力量も正確に計るのは難しいところもあるが、それでも諏訪手法よりは映画監督らしい仕事をしていると思う。
と、前口上はこれくらいにして、これはフランスで評価の高い諏訪監督が役者として知られ本作にも出演しているイポリット・ジラルドと共同で作ったドラマである。
フランス人の父親(ジラルド)と日本人の母親(清水つゆ)が不仲になった為に母親から日本に行くよと言われた9歳の娘ユキ(ノエ・サンピ)は、日本に行くのが嫌で、親友のニナ(アリエル・ムーテル)と家出してとある森に行く。
というところまでは普通のドラマであるが、ここから作者の一人合点的な描写が混じって来る。
森でニナを置いてけぼりにして森を彷徨するユキが森から出ると日本人の友人二人から遊ぼうと誘われ、近くの老婦人の家で遊ぶ。最後のシークエンスから判断して、森から出た日本で出会う少女の一人は彼女の母親なのだろう。再び森へ戻ったユキは自分を探す父親と会う。
その後の日本での描写を考慮すれば、森での経験を通して彼女が精神的に成長して日本へ行く決心をする、と解釈できるが、ちょっと気取りすぎの感あり。
「不完全なふたり」よりは映画らしくなっているし共感を呼ぶところも多いが、途中の一人合点的な部分を考慮すると、余り多く☆を進呈する気になれない。
しかし、ノエ・サンピとアリエル・ムーテルの演技はお見事。
2009年フランス=日本映画 監督・諏訪敦彦/イポリット・ジラルド
ネタバレあり
即興演出と称して台詞を役者に任せ、固定カメラによる撮影を撮影監督を任せて「不完全なふたり」を作った諏訪敦彦氏を一種の芸術家として誉めるのは良いとして、映画監督として誉める理由が僕には見当たらない。アメリカの職業監督の大半は脚本家の書いた脚本(ハリウッドでの脚本はカット割りまで指示されることが多いそうだ)のままに進め、編集を編集者若しくは製作会社に任せるからこちらの力量も正確に計るのは難しいところもあるが、それでも諏訪手法よりは映画監督らしい仕事をしていると思う。
と、前口上はこれくらいにして、これはフランスで評価の高い諏訪監督が役者として知られ本作にも出演しているイポリット・ジラルドと共同で作ったドラマである。
フランス人の父親(ジラルド)と日本人の母親(清水つゆ)が不仲になった為に母親から日本に行くよと言われた9歳の娘ユキ(ノエ・サンピ)は、日本に行くのが嫌で、親友のニナ(アリエル・ムーテル)と家出してとある森に行く。
というところまでは普通のドラマであるが、ここから作者の一人合点的な描写が混じって来る。
森でニナを置いてけぼりにして森を彷徨するユキが森から出ると日本人の友人二人から遊ぼうと誘われ、近くの老婦人の家で遊ぶ。最後のシークエンスから判断して、森から出た日本で出会う少女の一人は彼女の母親なのだろう。再び森へ戻ったユキは自分を探す父親と会う。
その後の日本での描写を考慮すれば、森での経験を通して彼女が精神的に成長して日本へ行く決心をする、と解釈できるが、ちょっと気取りすぎの感あり。
「不完全なふたり」よりは映画らしくなっているし共感を呼ぶところも多いが、途中の一人合点的な部分を考慮すると、余り多く☆を進呈する気になれない。
しかし、ノエ・サンピとアリエル・ムーテルの演技はお見事。
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