映画評「ダブル・ミッション」

☆☆★(5点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督ブライアン・レヴァント
ネタバレあり

眼鏡をかけた冴えない中国人ジャッキー・チェンは、隣のシングルマザー、アンバー・ヴァレッタと懇ろになっているが、実は中国からCIAに出向中のスパイで、現在取り組んでいるロシアの陰謀組織をつぶす仕事を最後に引退、アンバーと結婚しようと考えており、首尾良く組織の親玉マグナス・シェーヴィングを逮捕する。
 これで敵は彼を一向に買っていない彼女の3人の子供たちだけになったと思いきや、親玉は子分の活躍で護送中に脱走。しかも子供の一人がパソコンを通して敵の秘密情報を入手、かくして、チェンは子供たちの懐柔策に奔走する一方で、石油を食いつくすバクテリアを作り出した組織からの攻撃をかわすことになる。

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確かに恋人と結ばれることと本業の二つを一緒にこなす羽目になるから「ダブル・ミッション」には違いないが、実際には本業と恋人と結ばれることが同一の軌道に乗っている単純な構成で、お話のレベルとしては1980年代の香港アクション・コメディーの水準ながら、ファミリー映画的に案外要領良く作られている。

それが、チェンを起用しながらCGやスローを使うといった彼の実力を生かさない、これまでハリウッドが取って来た戦術を回避するという好結果をも生んでいる。勿論50代も後半に入ったチェンにかつてのようなアクションを期待するのはもはや無理だが、CGやスローを使うチェンを観るくらいならまだまだ軽々と屋根に上ってしまう彼の実技を観る方が僕らアナログ時代の映画ファンは気分が良い。

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また、ジョニー・リヴァースのヒット曲「シークレット・エージェント・マン」で始まり、敵組織をロシア人にするなどショーン・コネリー時代の007のようなスパイ映画の印象をもたらそうとしているのも何となく微笑ましい。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年06月30日 18:48
ダブルで思い出しましたが、ジャッキー・チェンとジャット・リーのダブルキャストの『ドラゴン・キングダム』はけっこう好きです。
女性陣も好みでしたし・・・(^^ゞ
矛盾したところがありましたが、二人の対決が見もので、さすがでした。
ご多分に漏れず、これもパート2が企画されているそうで・・・す・・(+_+)
オカピー
2011年06月30日 21:33
ねこのひげさん、こんばんは。

>『ドラゴン・キングダム』
お話は楽しめたのですが、残念だったのは、二人の対決にスローを使ってしまったこと。昔のようなわけにはいかないにしても、あの二人の早さは凄いのに勿体なあという気がしたんですよね。
ジェっキー・チェンの映画を作る香港の監督は今でも基本的にスローやCGを使わないですよね。

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