映画評「FLOWERS フラワーズ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年日本映画 監督・小泉徳宏
ネタバレあり

ジム・ジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」がそうであったように、題名のフラワーズ(花)は女性のメタファーである。

現在、一人の老婦人の葬式に孫の鈴木京香と広末涼子がやってくる。音楽家の姉は独身、妹の涼子嬢は結婚して子供がいる。二人がここにいるのは、昭和11(1936)年親の決めた結婚が嫌で当日逃げ出す花嫁・蒼井優がある選択をしたからである。

というところから始まるセミ・オムニバスで、昭和30年代から40年代にかけて優嬢の長女・竹内結子は大学教授の婚約者を交通事故で失い、次女・田中麗奈は当時流行り始めた男勝りの出版社OL(キャリア・ウーマンなどという言葉は影も形もなかった)で、余り冴えない会社員・河本準一からプロポーズされ、仕事か結婚かという選択の狭間で悩み、三女・仲間由紀恵は二番目の娘を産んだことで死んでしまう。彼女の二人の娘が京香嬢と涼子嬢である。

テーマは女性が色々な選択をした結果家系が成り立って行くのであるという女性賛美のようなもので、男と女の立場を夫々の時代に反映させているところが面白い。
 戦前は勿論妻は夫の後ろから楚々とついて行くのが美徳とされていた時代であり、昭和30年代くらいは男女平等の意識だけは高くなっても内容が全く伴っていず、現在は涼子嬢が叔父さんに「そういうのはセクハラよ」という言葉が示すように内容が意識に大分迫っている時代である、という風に感じさせる描写を多く取り入れているのである。

僕らオールド・ファンからすれば、各々の時代に合わせて、戦前の小津風のタッチ、昭和30年代のようなスクリーン・プロセスの使い方が見事に再現され思わず嬉しくなる。

かくして全体のトーンの統一や見応えという意味では余り満足できないが、一通りテーマらしきものや一貫した基調は感じられるし、ちょっとしたお遊び気分で観るとかなり楽しめる作品と思われる。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 『FLOWERS フラワーズ』

    Excerpt: □作品オフィシャルイサイト 「FLOWERS フラワーズ」□監督 小泉徳宏 □脚本 藤本周、三浦有為子□キャスト 蒼井 優、鈴木京香、広末涼子、仲間由紀恵、竹内結子、田中麗奈、大沢たかお、井ノ原快.. Weblog: 京の昼寝~♪ racked: 2011-06-07 12:47
  • 『Flowers -フラワーズ-』 ('10初鑑賞83・劇場)

    Excerpt: ☆☆☆☆- (10段階評価で 8) 6月12日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター9にて 13:25の回を鑑賞。 Weblog: みはいる・BのB racked: 2011-06-07 20:27
  • 『FLOWERS フラワーズ』

    Excerpt: ----これって6人もの女優が共演している映画だよね。 なにかで原稿書かなくちゃいけないときに、 短い中には収めにくいって言ってなかった? 「うん。だって1936年に始まり、1964年、1969年、1.. Weblog: ラムの大通り racked: 2011-06-07 21:37
  • FLOWERS フラワーズ

    Excerpt: 日本映画界が誇る女優が一挙終結。蒼井優、鈴木京香、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、広末涼子の6人が、昭和初期から平成までの3世代の女性を演じ、それぞれの時代で自分らしく、女性らしく生きる様子を描いた人.. Weblog: LOVE Cinemas 調布 racked: 2011-06-07 22:33
  • 10-162「FLOWERS フラワーズ」(日本)

    Excerpt: 私にもできるかな?  昭和11年、春。親同士が決めた、会ったこともない相手との結婚に悩み続ける凜。女学校を出て、進歩的な考えを持つ彼女は、ついに迷いを抱えたまま婚礼当日を迎えてしまう。  昭和30年代.. Weblog: CINECHANが観た映画について racked: 2011-06-12 17:12
  • ■映画『FLOWERS-フラワーズ-』

    Excerpt: 蒼井優の娘が竹内結子と田中麗奈と仲間由紀恵で、仲間由紀恵の娘が鈴木京香と広末涼子で…という、今をときめく美人女優6人が演じる、うつくしい日本女性の三代記『FLOWERS-フラワーズ-』。 時代の流れ.. Weblog: Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ> racked: 2011-07-02 16:37