映画評「大いなる決闘」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1976年アメリカ映画 監督アンドリュー・V・マクラグレン
ネタバレあり

ハリウッドに革新を起したアメリカン・ニューシネマのスタイルが定着し、逆にニューシネマのエッセンスを残した昔風の内容のアメリカ映画がぼちぼち発生し始めた頃の本格西部劇である。

20世紀初頭、7人の囚人が脱獄。リーダー格ジェームズ・コバーンには既に引退した保安官チャールトン・ヘストンに復讐するという目的がある。ヘストンは引退してもコバーンの脱獄に胸騒ぎを起し、大金を輸送することを言いふらしておびき寄せて倒そうとするが、そんなことは百も承知の賢いコバーンは留守宅を狙って娘バーバラ・ハーシーを誘拐、自分たちが陣取る岩山へ元保安官が来るように仕向ける。ヘストンは娘の恋人でただ一人協力することになった頼りなさげな若者クリス・ミッチャムを連れて追跡する。

お話は至って単純ながら実に面白い。キーとなるのは、コバーンが復讐を満喫する為にすぐには殺さないであろう、というヘストンの読みである。案の定コバーンは彼に何発も撃ち込みながらわざわざ近づいて行く。ナイフで留めを指そうと寄った時に一発の銃声がする。コバーンが倒れるとヘストンが銃を抜いている。これは双葉十三郎先生が指摘しているように、俯瞰で撮っているからこそ効果を発揮する実に映画的なショット。映画はこうでなくでjは。

また、一見頼りなさげな若者ミッチャムが最終的に勇気と知恵を発揮するというのも、定石的ながら面白く観られる要因となっている。

女性への暴行シーンがあり全く昔風の西部劇というわけではないが、気分はジョン・ウェイン時代の西部劇そのものである。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック