映画評「丹下左膳」

☆☆(4点/10点満点中)
1952年日本映画 監督・松田定次
ネタバレあり

林不忘の「丹下左膳」にも幾つかお話があるかと思うが、僕が観るのはいつも“こけざるの壺”のお話ばかりである。そうなるとどうしても山中貞雄の傑作「丹下左膳餘話 百万両の壺」(1935年)と比較することになるので、他の作品は分が悪い。

お話は勿論大同小異だが、人物の出入りと壺の移動が必要以上に多すぎ、わずらわしい。

監督が松田定次なので東映かと思えば松竹。しかし、変なズームアップの多用・繰り返しは変わらず、人物の切り返しで4回も連続する箇所では全く意味を見出せないのでさすがにうんざりさせられ、山中版に比べると相当泥臭く感じられる。

左膳は阪東妻三郎で悪くはないが、山中版の大河内伝次郎に及ばない感じがする。内妻は淡島千景。ちょび安はかつら五郎で、美空ひばりの少年版みたいな扱い。

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