映画評「やさしい嘘と贈り物」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年アメリカ映画 監督ニコラス・ファクラー
ネタバレあり
スーパーを共同経営する孤独な老人マーティン・ランドーが同年輩の老婦人エレン・バースティンから声を掛けられ、共同経営者のアダム・スコットや従業員たちにアドバイスを受けながら、クリスマスを一緒に祝い結婚を申し込むまでに順調に恋を育んでいく。
というお話だが、彼女が消えてしまったことに老人がパニックを起こしたことから、微笑ましい“老いらくの恋”の物語は急展開を告げる。
一見唐突に見えるが、伏線はきちんと敷かれている。最初の日彼が帰ると彼女が部屋の中にいる。ひとりぼっちの老人の割に部屋がきちんとしている、等々。これらをきちんと踏まえて行けば、どんでん返しを目指したトリッキーな作劇ではないことが理解できるはずである。
つまり、老人は数日間の記憶くらいは維持できる認知症を患っており、エレンは実際の妻であり、スコットは父親から経営を引き継いだ息子であり、彼の恋人と思われたエリザベス・バンクスは娘と判明、邦題通り彼らは皆で示し合せて老人に嘘を付いていたのである。
彼らの目的自体は些か曖昧であるが、恐らくは老人が自分がひとりぼっちと思い込んでいるのを見て家族で相談して実行に移したのであろう。結果的に自分の現状を確認して失望することになっても、彼にとって家族の“やさしい嘘”こそ最高の贈り物だったと理解するのが、大人のメルヘンである本作に最もふさわしいと思われる。尤も、僕は“老いらくの恋”の部分での素朴なタッチが大いに気に入っていたのではあるけれど。
「スパイ大作戦」しか思い浮かばないランドーは枯れました。エレン・バースティンは「エクソシスト」から注目、基本的には変わっていない。昔から達者な女優でした。
監督は若手ニコラス・ファクラー。
これが仏教で言う【嘘も方便】です。
2008年アメリカ映画 監督ニコラス・ファクラー
ネタバレあり
スーパーを共同経営する孤独な老人マーティン・ランドーが同年輩の老婦人エレン・バースティンから声を掛けられ、共同経営者のアダム・スコットや従業員たちにアドバイスを受けながら、クリスマスを一緒に祝い結婚を申し込むまでに順調に恋を育んでいく。
というお話だが、彼女が消えてしまったことに老人がパニックを起こしたことから、微笑ましい“老いらくの恋”の物語は急展開を告げる。
一見唐突に見えるが、伏線はきちんと敷かれている。最初の日彼が帰ると彼女が部屋の中にいる。ひとりぼっちの老人の割に部屋がきちんとしている、等々。これらをきちんと踏まえて行けば、どんでん返しを目指したトリッキーな作劇ではないことが理解できるはずである。
つまり、老人は数日間の記憶くらいは維持できる認知症を患っており、エレンは実際の妻であり、スコットは父親から経営を引き継いだ息子であり、彼の恋人と思われたエリザベス・バンクスは娘と判明、邦題通り彼らは皆で示し合せて老人に嘘を付いていたのである。
彼らの目的自体は些か曖昧であるが、恐らくは老人が自分がひとりぼっちと思い込んでいるのを見て家族で相談して実行に移したのであろう。結果的に自分の現状を確認して失望することになっても、彼にとって家族の“やさしい嘘”こそ最高の贈り物だったと理解するのが、大人のメルヘンである本作に最もふさわしいと思われる。尤も、僕は“老いらくの恋”の部分での素朴なタッチが大いに気に入っていたのではあるけれど。
「スパイ大作戦」しか思い浮かばないランドーは枯れました。エレン・バースティンは「エクソシスト」から注目、基本的には変わっていない。昔から達者な女優でした。
監督は若手ニコラス・ファクラー。
これが仏教で言う【嘘も方便】です。
この記事へのコメント
画像の通りの、クリスマス時季に観ると、気分ももっと盛り上がりそうですね。
>「スパイ大作戦」しか思い浮かばないランドー
フランク・ダラボンの「マジェスティック (2001)」はご覧になってないですか?
主人公ジム・キャリーの仮の父親役になってました。
あの時も既にお祖父ちゃんでしたが、こんなには白髪ではなかったような・・。
大人のメルヘンですが、変な力みがなくて感じの良いタッチでしたよ。
>「マジェスティック (2001)」
すっかり忘れておりました。
allcinemaでストーリーを確認しても思い出せず、IMDbと本館でチェックしたら☆☆☆★を付けており、それなりに誉めております^^;
その程度ですから、ランドーの出演など全く頭を過りませんでした。
ダラボンの映画は観ている最中や直後は面白かったあという印象を受けるのに、小手先の感じが否定できないんですよねえ。
IMDb投票で「ゴッドファーザー」を抜いて1位になった「ショーシャンクの空に」もそこまでとは思っておりません。もう一度観て確認したいのだけど、NHKにもWOWOWにもなかなか再登場しませんです。
この作品の脚本・監督は24歳の女性監督。
ちょっと驚いちゃいますね。
でも、やはり『スパイ大作戦』が一番に目の前にちらつきますけどね。(^^ゞ
有望株ですね。
次回作を期待したくなるというものです。
TVを除けばみ~んな観ているんですけど、すっかり忘れておりますなあ^^;
30代後半くらいから出演者に関する関心がかなり減ったということがありますかなあ。
「スパイ大作戦」は結構長く続いていましたしね。