映画評「川の底からこんにちは」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年日本映画 監督・石井裕也
ネタバレあり
この作品で主役に起用した満島ひかりと結婚した若手・石井裕也が自らの脚本を映像化したPFF(ぴあフィルムフェスティバル)スカラシップ作品。
上京して5年目になるOLひかり嬢は「しょうがない」が口癖で妥協する人生を歩み続け、4歳くらいの娘のいる離婚男性の上司・遠藤雅と付き合っているが、しじみ加工会社を経営している父親・志賀廣太郎が肝硬変で倒れると、会社をリタイアした彼の提案に従って、田舎に帰って会社を引き継ぐことにする。
しかし、会社の従業員であるおばさんたちに口撃に遭い、昔の因縁で幼馴染に遠藤を奪われるが、草だらけの畑に咲いた一輪の花に勇気を貰うなどして突然開き直る。大きな声を出し、新しい社歌を作るとおばさんたちの態度も急変、売り上げも倍増し、父親の遺骨をしじみのいる川に撒こうとしている時に遠藤がやり直す為に戻ってくる。
と書くだけでは良く伝わらないが、かなりコメディー・タッチであります。
開き直りが必要な今の僕は、ヒロインが突然開き直る場面にかなり勇気を貰った(しかし長続きしない)ものの、終盤でも彼女が声を張り上げているのが些か過剰な印象を覚える。彼女が初めて開き直る場面で彼女が大声を出すのは、初めて会社で挨拶をした時の「声が小さくて聞こえない」という怖いおばさんたちの文句に呼応するものだから良いのだが。
序盤は可笑しく何となく本当らしく聞こえた台詞も終盤ではわざとらしく感じられてくる。しかし、同じ文言「しょうがない」が前半では妥協の言葉だったのに、後半では開き直りの言葉に変わる、というアイデアは素晴らしい。「中の下だから頑張るしかない」は正に我々庶民に対する勇気の言葉だ。
2009年日本映画 監督・石井裕也
ネタバレあり
この作品で主役に起用した満島ひかりと結婚した若手・石井裕也が自らの脚本を映像化したPFF(ぴあフィルムフェスティバル)スカラシップ作品。
上京して5年目になるOLひかり嬢は「しょうがない」が口癖で妥協する人生を歩み続け、4歳くらいの娘のいる離婚男性の上司・遠藤雅と付き合っているが、しじみ加工会社を経営している父親・志賀廣太郎が肝硬変で倒れると、会社をリタイアした彼の提案に従って、田舎に帰って会社を引き継ぐことにする。
しかし、会社の従業員であるおばさんたちに口撃に遭い、昔の因縁で幼馴染に遠藤を奪われるが、草だらけの畑に咲いた一輪の花に勇気を貰うなどして突然開き直る。大きな声を出し、新しい社歌を作るとおばさんたちの態度も急変、売り上げも倍増し、父親の遺骨をしじみのいる川に撒こうとしている時に遠藤がやり直す為に戻ってくる。
と書くだけでは良く伝わらないが、かなりコメディー・タッチであります。
開き直りが必要な今の僕は、ヒロインが突然開き直る場面にかなり勇気を貰った(しかし長続きしない)ものの、終盤でも彼女が声を張り上げているのが些か過剰な印象を覚える。彼女が初めて開き直る場面で彼女が大声を出すのは、初めて会社で挨拶をした時の「声が小さくて聞こえない」という怖いおばさんたちの文句に呼応するものだから良いのだが。
序盤は可笑しく何となく本当らしく聞こえた台詞も終盤ではわざとらしく感じられてくる。しかし、同じ文言「しょうがない」が前半では妥協の言葉だったのに、後半では開き直りの言葉に変わる、というアイデアは素晴らしい。「中の下だから頑張るしかない」は正に我々庶民に対する勇気の言葉だ。
この記事へのコメント
やっぱり満ち足りた生活は妬ましくうらやましいと思うのが庶民でもあります。
サビシーッツ!!
トルストイ曰く、「幸せの形は似たようなものだが、不幸の形はそれぞれの家庭によって違う」
お金に関して言えば「生を維持できてささやかな趣味が多少できるくらいあれば良い」と常々思っていたのに、少々欲をかいたのがつまづきの始まり。
金銭感覚について僕を誉めていた母親があの世で今頃何と思っているやら。
>『我に艱難辛苦を与えたまえ!』
淀川長治さんも同じようなことを仰っていましたねえ。
世の中にはとんでもないことを仰る人たちがいらっしゃるもんです(笑)
今の僕なんか開き直ることも頑張ることもできない。困ったものです(泣)