映画評「エグザム」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年イギリス映画 監督スチュワート・ヘイゼルダイン
ネタバレあり

1週間前に観た「真昼の決闘」はリアルタイム進行の古典的傑作だが、これはもっと徹底したリアルタイムぶりで進行するシチュエーション・スリラーである。

ある有力企業の最終試験に男女4人ずつが勝ち抜き、80分間の試験を受けることになる。①試験監督若しくは警備員に話しかけること②自分の問題用紙を破損すること③部屋を出ること、この三つを禁止事項をを破ったら即失格というのがルールなのだが、答案用紙に何も文字が書いていないので全員が驚く、というのが始まり。

ライアーゲーム ザ・ファイナル・ステージ」をもっとぐっとシンプルにしたようなお話の構図で、最初のうちは色々アイデアをひねって、最初に失格になった受験生の答案用紙に様々な光を当てたり、体液をかけたりするが、結局何も見えて来ない。受験生同士が相談し合うのは何の支障もないので色々と話し合ううち、妙に企業について詳しい者がいるなどスパイ疑惑が浮かんだり、罠にかけてライバルを退室に導く者あり、次第に受験生は絞られていく。

同じタイプのスリラーでも「SAW」のような残忍さがないのは神経症の為に常に心臓が緊張している現在の僕には有難いが、それでもこの手の密室劇(厳密に言えば、いつでも退室できるので密室ではない)は何が飛び出すか解らないのでドキドキしながら観ていた。但し、一般の人にはある程度進めば凡その見当がついてドキドキ感が減っていくと思われる。

実は一種SF的なところもあり、実際には存在しない伝染病(?)が蔓延している世界であり、受験生が受けているのは製薬会社という設定が絡み合っていくので、現実に照らしすぎると余り面白くない作品かもしれない。

いずれにしても、現在病人と言って良い僕にはまともな評価が難しい。参考にしようと思って当方へいらした方には誠に申し訳ない次第であります。

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