映画評「プレデターズ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督ニムロッド・アンタル
ネタバレあり
世評に反してさほど面白いと思わなかったSFアクション「プレデター」がこんな形で今世紀まで続くイレギュラーなシリーズになったのは「エイリアン」様々ということになる。
エイドリアン・ブロディ、ダニー・トレホ、日本人ヤクザのルーイ・オザワ・チャンチェン、紅一点アリシー・ブラガ等々何らかの武器を携帯した強面の連中がどことも解らないジャングルに連れて来られる。途中で彼らがいるのが、保護色化(事実上の透明化)する能力のあるプレデターの住む惑星であることが判り、さらに彼らは戦いの分野で一流と目される自分たちが狩りの獲物になっていることに気付く。
というお話は、極めて非映画的で僕は余り感心しない。狩りをするのが地球人ならともかくエイリアンでは、“映画は人間を描く”という劇映画の原則を満たしているとは言いかねる。実際には狩られるのが人間だからそこに十分映画的になる余地はあるが、プレデターが襲う理由が狩りという遊びではゲームならともかく劇映画では弱い。
内実はシチュエーション・スリラーのヴァリエーション。ジャングルは閉所ではないものの、周囲をプレデターに囲まれている以上大差はない。こんな特技を持った相手に勝負するという発想がそもそも面白くないが、脚本家もそこは多少知恵を絞って、プレデターにも敵味方に分れる二種類があり、その間隙を付くことで人間側にも多少勝ち目がある寸法にしてござる。
尤もどちらかが人間側に付くわけではないので一気に形勢が良くなるわけではないし、観客にはどちらがどちらか解らず(但し、解っても大して意味がない)、残念ながらこのアイデアで面白さは大して増さない。前半のうちにどのくらいの敵がいるのか明らかにされないのも作劇として弱体。能力の割にプレデターが弱すぎる気もする。
もう一つ気に入らないのは、特に後半暗い場面が多いこと。確かに映画は映画館で観るものだが、それにしても昼間TVで観ていると何が何だか解らない場面が多いのには困った。この類の作品はそれが相場というか変な常識になっているので益々困る。
2010年アメリカ映画 監督ニムロッド・アンタル
ネタバレあり
世評に反してさほど面白いと思わなかったSFアクション「プレデター」がこんな形で今世紀まで続くイレギュラーなシリーズになったのは「エイリアン」様々ということになる。
エイドリアン・ブロディ、ダニー・トレホ、日本人ヤクザのルーイ・オザワ・チャンチェン、紅一点アリシー・ブラガ等々何らかの武器を携帯した強面の連中がどことも解らないジャングルに連れて来られる。途中で彼らがいるのが、保護色化(事実上の透明化)する能力のあるプレデターの住む惑星であることが判り、さらに彼らは戦いの分野で一流と目される自分たちが狩りの獲物になっていることに気付く。
というお話は、極めて非映画的で僕は余り感心しない。狩りをするのが地球人ならともかくエイリアンでは、“映画は人間を描く”という劇映画の原則を満たしているとは言いかねる。実際には狩られるのが人間だからそこに十分映画的になる余地はあるが、プレデターが襲う理由が狩りという遊びではゲームならともかく劇映画では弱い。
内実はシチュエーション・スリラーのヴァリエーション。ジャングルは閉所ではないものの、周囲をプレデターに囲まれている以上大差はない。こんな特技を持った相手に勝負するという発想がそもそも面白くないが、脚本家もそこは多少知恵を絞って、プレデターにも敵味方に分れる二種類があり、その間隙を付くことで人間側にも多少勝ち目がある寸法にしてござる。
尤もどちらかが人間側に付くわけではないので一気に形勢が良くなるわけではないし、観客にはどちらがどちらか解らず(但し、解っても大して意味がない)、残念ながらこのアイデアで面白さは大して増さない。前半のうちにどのくらいの敵がいるのか明らかにされないのも作劇として弱体。能力の割にプレデターが弱すぎる気もする。
もう一つ気に入らないのは、特に後半暗い場面が多いこと。確かに映画は映画館で観るものだが、それにしても昼間TVで観ていると何が何だか解らない場面が多いのには困った。この類の作品はそれが相場というか変な常識になっているので益々困る。
この記事へのコメント
「河童じゃあない?」とか「忍者?」とかいう声が聞こえました。
日本の甲冑からデザインされたと聞きました。
宮崎駿さんは、映画の悪役に日本などの東洋のイメージが使用されるのは、根底に人種差別が感じられて不愉快だと言ってましたけどね。
ねこのひげも、すごい映画とは思ってなかったので、こんなに何本も作られるとは思いませんでしたね。(~_~;)
シュワルツェネッガーの作品の中でも世評から言うとトップクラスなんですが、僕は「トータル・リコール」なんかのほうが面白かったです。
>根底に人種差別
僕は映画におけるそういう部分には鈍感な方ですが、やはりあると思いますね。日本人の変な描写は単なる無知ということで笑えば良いとしても、意図的に歪められたり悪いところを強調されては困ります。バブルがはじける前はエコノミック・アニマルなんて言われ、映画でもかなり揶揄されましたね。ある程度事実だから仕方がない部分がありましたが。
伝え聞くところによりますと、90年代に作られる予定だったのに何かの理由で潰れた企画(の復活)らしいです。
それが「エイリアン」との組合せで蘇り、新シリーズみたいな形でまた続編が作られるのかもしれません。映画のTV化はもう勘弁。多様化と言われながら、カルチャーごとには画一的になっていますね。