映画評「ミックマック」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2009年フランス映画 監督ジャン=ピエール・ジュネ
ネタバレあり
ジャン=ピエール・ジュネのいつも通りのタッチなので新味不足は否めないが、近年の安定した仕事ぶりは感心させられる。
父親を地雷で失い、自分も発砲事件に巻き込まれ脳に銃弾を残したまま九死に一生を得たバジル(ダニー・ブーン)が、職も住居も失ってうろうろするうち廃品回収の山の中で共同生活をする人々の輪に加わり、たまたま発見した弾丸や地雷を作っている会社に復讐することを決意、軟体女(ジュリー・フェリエ)、人間大砲(ドミニク・ピノン)、計算機と呼ばれる女性(マリー=ジュリー・ボー)など一緒に暮らす特異人間たちを仲間につけ、絶妙なコンビネーションで二つの会社の社長(アンドレ・デュソリエ、ニコラ・マリエ)を互いに闘わせた上で二人をぎゃふんと言わせる。
というお話で、一々具体的に挙げる気にはならないが七人の個性を上手く活かした作戦、互いに相手を疑わせて二人の社長を闘わせるというアイデアが面白い。意識したわけではないだろうが、黒澤明の「用心棒」をちょっと思い出させたりする。尤も「用心棒」自体がダシェル・ハメットのハードボイルド小説「血の収穫(赤い収穫)」の翻案みたいなもので、「用心棒」以降よく用いられるパターンになった、というのが実際。車を巨大磁石で持ち上げるのは「007は二度死ぬ」みたい。
社長たちを含めて誰も殺されないのは武器会社の社会的抹殺ひいては映画の反戦的狙いに合致、観ている僕らに変な刺激を与えないのが有難い。コメディーだから人が死なないのが一番でござる。
ジュネ作品の粘着性は彼独自の色彩設計と凝った舞台装置によるものだが、同時に感じられる浮遊感は移動・パン・ズームを積極的に使う撮影がもたらしていることを改めて確認。
2009年フランス映画 監督ジャン=ピエール・ジュネ
ネタバレあり
ジャン=ピエール・ジュネのいつも通りのタッチなので新味不足は否めないが、近年の安定した仕事ぶりは感心させられる。
父親を地雷で失い、自分も発砲事件に巻き込まれ脳に銃弾を残したまま九死に一生を得たバジル(ダニー・ブーン)が、職も住居も失ってうろうろするうち廃品回収の山の中で共同生活をする人々の輪に加わり、たまたま発見した弾丸や地雷を作っている会社に復讐することを決意、軟体女(ジュリー・フェリエ)、人間大砲(ドミニク・ピノン)、計算機と呼ばれる女性(マリー=ジュリー・ボー)など一緒に暮らす特異人間たちを仲間につけ、絶妙なコンビネーションで二つの会社の社長(アンドレ・デュソリエ、ニコラ・マリエ)を互いに闘わせた上で二人をぎゃふんと言わせる。
というお話で、一々具体的に挙げる気にはならないが七人の個性を上手く活かした作戦、互いに相手を疑わせて二人の社長を闘わせるというアイデアが面白い。意識したわけではないだろうが、黒澤明の「用心棒」をちょっと思い出させたりする。尤も「用心棒」自体がダシェル・ハメットのハードボイルド小説「血の収穫(赤い収穫)」の翻案みたいなもので、「用心棒」以降よく用いられるパターンになった、というのが実際。車を巨大磁石で持ち上げるのは「007は二度死ぬ」みたい。
社長たちを含めて誰も殺されないのは武器会社の社会的抹殺ひいては映画の反戦的狙いに合致、観ている僕らに変な刺激を与えないのが有難い。コメディーだから人が死なないのが一番でござる。
ジュネ作品の粘着性は彼独自の色彩設計と凝った舞台装置によるものだが、同時に感じられる浮遊感は移動・パン・ズームを積極的に使う撮影がもたらしていることを改めて確認。
この記事へのコメント