映画評「アンストッパブル」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督トニー・スコット
ネタバレあり
以前TV「アンビリバボー」で紹介された無人貨物列車暴走事件の映画化で、最近のアメリカ映画では珍しいほどストレートなサスペンス映画に仕上げられている。
ペンシルヴェニア州、運転士がしっかり手動ブレーキを掛けずに降りた39両編成の貨物列車がエンジンの掛ったまま発車、不運なことにエアプレーキは故障中。それを知った操車場長のロザリオ・ドースンが人員を配置させるが、加速する列車は彼らの先を行く。列車には大量の燃料が積んであり、市街地の大カーブを曲がれなければ脱線して町が甚大な被害を受けるのを避けられない。同じ路線を走っていた機関車の機関士デンゼル・ワシントンと車掌クリス・パインは退避線路に入って辛うじて衝突を避けるが、ワシントンは追いかけて暴走列車と連結して停めることを考える。
もたもたせずに最初からサスペンスに入って行くのが有難く、幾つかのサスペンス・シーンの後若いパインが暴走する列車同士を連結するのが最初の見せ場。この際に重傷を負った彼の代わりに今度はワシントンが暴走列車の貨車ごとにブレーキを掛けて行くという見せ場が続く。
結果的に重量級の列車は止まらないものの二人のタッグよろしく大カーブでの脱線は辛うじて避けられる。最後は多少加速を減じた暴走列車を車で追い掛け乗り込むサスペンス。
といった具合に惜しまずに次々と見せ場を繰り出しているのがよろしく、CGを殆ど使っていないスペクタクル場面は迫力満点。正味90分(上映時間99分)で収めているのは、脚本マーク・ボンバックと監督トニー・スコットの殊勲と言うべし。
と言っても幾つか気に入らない点はあって、ベテラン・ワシントンと若い車掌パインの個人事情は展開上大した意味がなく厳密に言えば観客をヒヤヒヤさせている最中にあんな会話は不要であるし、スコット氏は相変わらずカメラのスピードを変えたりふらふらさせたり無駄なカメラワークが目立つ。減点するほどではないが、それがなければもっと気分良く見られるという次第。
2010年アメリカ映画 監督トニー・スコット
ネタバレあり
以前TV「アンビリバボー」で紹介された無人貨物列車暴走事件の映画化で、最近のアメリカ映画では珍しいほどストレートなサスペンス映画に仕上げられている。
ペンシルヴェニア州、運転士がしっかり手動ブレーキを掛けずに降りた39両編成の貨物列車がエンジンの掛ったまま発車、不運なことにエアプレーキは故障中。それを知った操車場長のロザリオ・ドースンが人員を配置させるが、加速する列車は彼らの先を行く。列車には大量の燃料が積んであり、市街地の大カーブを曲がれなければ脱線して町が甚大な被害を受けるのを避けられない。同じ路線を走っていた機関車の機関士デンゼル・ワシントンと車掌クリス・パインは退避線路に入って辛うじて衝突を避けるが、ワシントンは追いかけて暴走列車と連結して停めることを考える。
もたもたせずに最初からサスペンスに入って行くのが有難く、幾つかのサスペンス・シーンの後若いパインが暴走する列車同士を連結するのが最初の見せ場。この際に重傷を負った彼の代わりに今度はワシントンが暴走列車の貨車ごとにブレーキを掛けて行くという見せ場が続く。
結果的に重量級の列車は止まらないものの二人のタッグよろしく大カーブでの脱線は辛うじて避けられる。最後は多少加速を減じた暴走列車を車で追い掛け乗り込むサスペンス。
といった具合に惜しまずに次々と見せ場を繰り出しているのがよろしく、CGを殆ど使っていないスペクタクル場面は迫力満点。正味90分(上映時間99分)で収めているのは、脚本マーク・ボンバックと監督トニー・スコットの殊勲と言うべし。
と言っても幾つか気に入らない点はあって、ベテラン・ワシントンと若い車掌パインの個人事情は展開上大した意味がなく厳密に言えば観客をヒヤヒヤさせている最中にあんな会話は不要であるし、スコット氏は相変わらずカメラのスピードを変えたりふらふらさせたり無駄なカメラワークが目立つ。減点するほどではないが、それがなければもっと気分良く見られるという次第。
この記事へのコメント
山奥のほうはいかがでしょうか?
年のせいでもありましょうが、私、
病気してから指先が特に冷えましてね。
どうかするとキー打つ時、手袋してますの。
ええ、やたらに打ちづらい~^^
本作、まさに直球、ノンストップの面白さ
楽しませていただきました。
暴走貨物列車があのようにがんがん行って
くれてるのに、何だかんだ理由づけが必要
なんでしょうね~人間ドラマ入れたくて。
それにしてもあのイラコラ場面になると
急に画面にブレーキがかかったように
ダレるからほんとにあの部分はヘタ。(笑)
偶然でしょうかしら
ちょうど1年前の本日の拙記事でしたわ。(^ ^)
直球の面白さといえば、先日観ました
「リアル・スティール」。
これはきっとプロフェッサーにも
気に入ってもらえると思います。
ぜひ観て下さいね。^^
山奥と言えども気温は札幌より高いですけど、風がもの凄いので体感では相当きついです。
暖房をケチっているので、パソコンの指先は冷えますねえ。手袋は良いアイデアですけど、確かに打ちにくそうですね^^;
>人間ドラマ
まあ、本作くらいなら我慢できます^^
しかし、90分、直球勝負・・・実に嬉しいですね。
☆は控え目ですけど、かなり喜んでおります^^
>「リアル・スティール」
相変わらず1年後ですけどねえ^^;
WOWOWさんは勿論やってくれるでしょう!
楽しみにしています^^
最近は、どっちを買おうか?と迷いながら買ってます。
壮大な作品には、ブルーレイがよいかと。
大作というのではなく、佳作で、90分という長さもちょうどよかったかと、延々、180何分とかの作品になるとくたびれるんですよね。
アメリカ映画というのはかならずといっていいほど、世代間とか家族、夫婦の問題を挟んできますね。
まあ、この程度ならいいですね。
スリルとサスペンスがありました。
ささやかな怠慢で事故というのは起きるものだと教えてくれる映画でありました。
イタリアの豪華客船の事故も、怠慢が原因のようで、何百億万ドルが海の藻屑です。
アメリカ映画は、こういうジャンル映画に関しては、ここ数年短くなっている傾向があるようで、個人的には非常に歓迎しているんです。
反面、日本映画は、TV局がからんできたせいで、無駄な場面や台詞が多い為、何ということのない青春ロマンスが130分といった長さになってうんざりさせらています。
本作に問題があるとしたら、やはりあの個人事情を絡めたことでしょうねえ。延々とやっていないから良いですが、それをやられたら特急が鈍行になっちゃう(笑)。
>ささやかな怠慢
日本人は几帳面で、こういうつまらないミスでの事故は殆ど考えられないですね。
>イタリアの豪華客船
今朝の新聞で知りました。
タイタニックは怠慢というよりは、傲慢から生まれた悲劇でしたね。
本作は、単純でスピーディーな展開がよかったです。
画も、カメラワークなど私は好きでしたね。ただ、デンゼルの運転席での同じアングルの顔の画がくどかったような気も若干・・・。撮りようがないですけどね、アレしか。
まあ、盛り上がりが弱い気もしますが、まあ、一気に見せたのがとにかく正解でしょう。
今回のスコット氏のカメラワークへの批判は、言葉のあやで、実は余り気にならなかったんですよ。文章全体のレトリックを考えた場合に、ちょっと入れておいた方がいいかな、と(笑)
あのかったるい会話は緩急をつける意味ではあっても良いのですが、後になって家族の描写が入ってくるのがアメリカ映画的。ああいうのがないと「ドラマ性がない」なんて見当違いの批判を繰り出す輩もいらっしゃいますが。