映画評「トイレット」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2010年日本=カナダ映画 監督・荻上直子
ネタバレあり
「かもめ食堂」で一気に有名監督の仲間入りをした荻上直子がカナダを舞台に描くホーム・ドラマ。例によってアキ・カウリスマキをコミカルにしたようなオフビートなタッチだが、最近カウリスマキを見ていないので、自信がなくなってきた(笑)。
母親が亡くなって、彼女が亡くなる前に引き取った日本人の“ばあちゃん”もたいまさこと共に、パニック障害で引きこもりになった長男デーヴィッド・レンドル、プラモデルおたくの次男アレックス・ハウス、やや高圧的な大学生の娘タチアナ・マズラニーが実家で久しぶりに同居することになるが、三人は、英語ができず(?)一言も言葉を発せず、トイレから出る度に溜息を洩らす謎めいた“ばあちゃん”との生活に当惑する。しかし、この“ばあちゃん”に懸命にお金の入用を説くと必要な分だけお金を出してくれたり、ミシンの使い方を習ったり、餃子を食べさせてもらったりするうちに、三人は“ばあちゃん”だけでなく、自分を知ることで互いとの絆と理解をも深めて行くことになる。
言葉が通じないはずの“ばあちゃん”とは意思疎通ができ、兄弟たちとは上手く行かない対照を見ていると、互いの理解は血縁や言葉によるものでなく、違う文化の理解もそう難しいものではない、というのがテーマのような気がしてくる。それがトイレに象徴されているわけで、しかも、“ばあちゃん”の為に買ってあげたのにその前に死なれてしまったトイレが、本来の日本式ではなく最新テクノロジーの日本製というのが面白い。少なくとも、便座が温かいトイレは外国にはないと聞いたことがある。
“ばあちゃん”の溜息を出す為の必然とは言え、廊下が出てくる度に小津安二郎を思い出す。やはり荻上女史はカウリスマキの敬愛する小津を同じように敬愛しているのだろうか?
2010年日本=カナダ映画 監督・荻上直子
ネタバレあり
「かもめ食堂」で一気に有名監督の仲間入りをした荻上直子がカナダを舞台に描くホーム・ドラマ。例によってアキ・カウリスマキをコミカルにしたようなオフビートなタッチだが、最近カウリスマキを見ていないので、自信がなくなってきた(笑)。
母親が亡くなって、彼女が亡くなる前に引き取った日本人の“ばあちゃん”もたいまさこと共に、パニック障害で引きこもりになった長男デーヴィッド・レンドル、プラモデルおたくの次男アレックス・ハウス、やや高圧的な大学生の娘タチアナ・マズラニーが実家で久しぶりに同居することになるが、三人は、英語ができず(?)一言も言葉を発せず、トイレから出る度に溜息を洩らす謎めいた“ばあちゃん”との生活に当惑する。しかし、この“ばあちゃん”に懸命にお金の入用を説くと必要な分だけお金を出してくれたり、ミシンの使い方を習ったり、餃子を食べさせてもらったりするうちに、三人は“ばあちゃん”だけでなく、自分を知ることで互いとの絆と理解をも深めて行くことになる。
言葉が通じないはずの“ばあちゃん”とは意思疎通ができ、兄弟たちとは上手く行かない対照を見ていると、互いの理解は血縁や言葉によるものでなく、違う文化の理解もそう難しいものではない、というのがテーマのような気がしてくる。それがトイレに象徴されているわけで、しかも、“ばあちゃん”の為に買ってあげたのにその前に死なれてしまったトイレが、本来の日本式ではなく最新テクノロジーの日本製というのが面白い。少なくとも、便座が温かいトイレは外国にはないと聞いたことがある。
“ばあちゃん”の溜息を出す為の必然とは言え、廊下が出てくる度に小津安二郎を思い出す。やはり荻上女史はカウリスマキの敬愛する小津を同じように敬愛しているのだろうか?
この記事へのコメント
なかなか軽妙な作品でしたね。
たしかにアメリカのトイレって、ざつなところも多いし。
数少ない、ジャパン優位ですな。
下の穴の底には、ウンコが干からびて固まってました。
ハリウッドから映画の宣伝に来た俳優の何人もが、日本のトイレを気に入って帰っているそうです。
先日も、映画宣伝に来た俳優が座ってみて大騒ぎしているのを、ニュース番組で流してましたよ。
荻上作品としては、「かもめ食堂」「めがね」ほど鮮やかに捌いた印象はないですが、トイレがモチーフになった作品は少ないですね。
>アメリカのトイレ
忘れちゃったなあ(笑)。
うちの親父は中国のトイレに驚いていましたねえ。大きい方も丸見えとか言っていたかな。
僕の場合は、ホテルだったのでまあそこそこのトイレでしたけど、しかし、僕の同僚が泊まった部屋は1階なのに窓ガラスが割れていたので、僕の部屋に泊まりに来ましたよ。
工場のトイレはちょっとヤバい感じはありましたが、何十年か前の日本もあんなもんだったでしょ。
>ハリウッド
僕はクイズ番組か何かで紹介されていた記憶があるんですよね。