映画評「グリーン・ホーネット」
☆☆★(5点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督ミシェル・ゴンドリー
ネタバレあり
日本ではブルース・リーが有名になってからその若き日の主演TVシリーズとして認知した人が多く、恐らく実物をリアルタイムで観た人はそれほどいないのではないかと思う。ジョージ・W・トレンドルが書いたラジオ脚本は1930年代というから相当古いが、このTV版の最新映画化を観ると、若干先行した「バットマン」TVシリーズと酷似、恐らく日本での認知度が低いのは1966年頃“二番煎じ”的に見られたからと想像される。
新聞社の二代目社長に就いたダメ息子ブリット・リード(セス・ローゲン)は憎き父親の彫像から頭を奪った事件の後、父親が雇っていた万能東洋人カトー(ジェイ・チョウ)の力を借りてチンピラをやっつけたことから一計を思いつく。自らをグリーン・ホーネットと名乗る悪党として悪名を上げ、寄ってくる町の悪漢たちを排斥しようと考えたのである。その最終目的はLAを牛耳るチュドノフスキー(クリストフ・ヴァルツ)で、カトーが作り上げた武器満載のスーパーカーを駆使してもなかなか容易にやっつけられない。
神妙なアメリカン・ヒーローばかりではつまらないとばかりにコミカルな展開、マスコミが名を高めるという発想は先日の「キック・アス」に似ている。
といった具合に近年観たあれやこれやに似て新味は余りなく、主人公の間抜けぶりが徐々に減りやがて人間的に成長してほぼまっとうなヒーローになるという展開も定石的でつまらない。
監督にミシェル・ゴンドリーという変化球投手を持ってきて、映像表現に多少工夫が観られるが、プラス材料になるほどにあらず。
僕の好みに合うアメリカの喜劇人はなかなか出て来ず、セス・ローゲンも観ていて暑苦しい。明らかに日本名のカトー(英語発音ではケイトー)が中国人という出鱈目はさておき、彼に扮するジェイ・チョウも役者として面白味がない。比較しても仕方がないが、意外と表情が豊かで可愛げのあったブルース・リーとは雲泥の差。
2010年アメリカ映画 監督ミシェル・ゴンドリー
ネタバレあり
日本ではブルース・リーが有名になってからその若き日の主演TVシリーズとして認知した人が多く、恐らく実物をリアルタイムで観た人はそれほどいないのではないかと思う。ジョージ・W・トレンドルが書いたラジオ脚本は1930年代というから相当古いが、このTV版の最新映画化を観ると、若干先行した「バットマン」TVシリーズと酷似、恐らく日本での認知度が低いのは1966年頃“二番煎じ”的に見られたからと想像される。
新聞社の二代目社長に就いたダメ息子ブリット・リード(セス・ローゲン)は憎き父親の彫像から頭を奪った事件の後、父親が雇っていた万能東洋人カトー(ジェイ・チョウ)の力を借りてチンピラをやっつけたことから一計を思いつく。自らをグリーン・ホーネットと名乗る悪党として悪名を上げ、寄ってくる町の悪漢たちを排斥しようと考えたのである。その最終目的はLAを牛耳るチュドノフスキー(クリストフ・ヴァルツ)で、カトーが作り上げた武器満載のスーパーカーを駆使してもなかなか容易にやっつけられない。
神妙なアメリカン・ヒーローばかりではつまらないとばかりにコミカルな展開、マスコミが名を高めるという発想は先日の「キック・アス」に似ている。
といった具合に近年観たあれやこれやに似て新味は余りなく、主人公の間抜けぶりが徐々に減りやがて人間的に成長してほぼまっとうなヒーローになるという展開も定石的でつまらない。
監督にミシェル・ゴンドリーという変化球投手を持ってきて、映像表現に多少工夫が観られるが、プラス材料になるほどにあらず。
僕の好みに合うアメリカの喜劇人はなかなか出て来ず、セス・ローゲンも観ていて暑苦しい。明らかに日本名のカトー(英語発音ではケイトー)が中国人という出鱈目はさておき、彼に扮するジェイ・チョウも役者として面白味がない。比較しても仕方がないが、意外と表情が豊かで可愛げのあったブルース・リーとは雲泥の差。
この記事へのコメント
最近は、アメコミの実写化が増えていて、『キャプテンアメリカ』も実写化されて、なんだろう?と思っていたら、全部のヒーローが総出演する映画が作られる予定だそうです。
なんだかな~?という感じです・・・・(-_-)
全く神妙でないところを除けば、基本的には殆どTV版「バットマン」でしたね。
>『キャプテンアメリカ』
1970年代の初めに作られた、バイクのスタントマン、イーブル・ニーブルの伝記映画の邦題が「キャプテン・アメリカ」でしたので、そのリメイクかと思いました。あくまで邦題なので関係ないのは解っていましたが(笑)。
>アメコミ
飽きました^^;
クリストファー・リーヴの「スーパーマン」が作られた頃はわくわくしましたけどねえ。
作られ過ぎて、相対的にこの手は価値が下がってしまいました。
>意外と表情が豊かで可愛げのあったブルース・リー
そこなんですよ!ジェームズ・ガーナー主演「かわいい女」でもブルース・リーの魅力が生かされていました。
>弦蔵氏は色気濃厚。
昭和の声優さん達の功績は大きいです。テレビで日本語版を見るしかない時代だったし。内海賢二さんや大宮悌二さんも然り。
>たった4枚しかオリジナル・アルバム(生前は3枚)を残していない
あの時代、才能があるミュージシャンが麻薬等で若くして亡くなりました。ビートルズの現役時代がもっと長かったら、危なかったのでは・・・?そう言う説を唱える人もいます。
>昭和の声優さん達の功績は大きいです。
そうですねえ。僕らが若い頃は映画館でなければ、吹き替えで映画を観るしかなかったわけで、自ずと声優が映画の魅力を左右しましたよねえ。
大学へ行ってからは映画館の方で観ることが増え、深夜映画で字幕が増えたこともあり、映画は原語に限ると思うようになりましたが、当時の声優の魅力は減じませんでしたね。
いつからか、映画館でも吹き替えの映画が見られ、僕らとは逆に、洋画は吹き替えでしか見ないという人が出て来たことですね。経営上はプラスかもしれませんが、本物の声を知らずに映画を観るのはダメと思います。吹き替えの上手い下手で洋画を評価する人さえいますから。いずれにしても、TVはともかく、映画館では第二手段に留めるべきでしょう。
>ビートルズの現役時代がもっと長かったら、危なかったのでは・・・?
そうかもしれませんねえ。
同時に、その意見はうなずけるところもありますが、大半のロックスターがまだ現役でやっているところを見ると、殆どのロックスターが思いのほか上手く麻薬と付き合ってきたような気もしますね。
https://www.youtube.com/watch?v=9uhrB5MEcEs
我らが地方局中京テレビで見た時は感動しました。昭和62年の思い出です。
>殆どのロックスターが思いのほか上手く麻薬と付き合ってきた
大英帝国が産んだ次男坊と言われたローリングストーンズはどうでしょうか?
>声優が映画の魅力を左右しましたよねえ。
イーストウッドならば山田康雄さん。ヘストンならば納谷悟朗さん。
>本物の声を知らずに映画を観るのはダメと思います。
英語に詳しい人が言ってました。「トム・ハンクスの発音はきれいだ。」
>大英帝国が産んだ次男坊と言われたローリングストーンズはどうでしょうか?
亡くなったブライアン・ジョーンズ以外は、それなりということなんでしょう。日本と英米では麻薬の認識が全然違いますから、日本人の感覚ではとやかく言えないように思います。映画を観ると、高校生が当たり前のように麻薬をやっていますから。
日本で、歌手や俳優が大麻で逮捕されると、全てが停止されてしまうのは、刑法にふれるとは言え、やりすぎの感ありです。
>英語に詳しい人が言ってました。「トム・ハンクスの発音はきれいだ。」
僕が、オバマ前大統領が、グレゴリー・ペックのような話し方をしていると思ったのも、原語で観ていたことのメリット。
>日本と英米では麻薬の認識が全然違いますから
知人が同じ事を言ってました。州によってOKだそうで。
>ブライアン・ジョーンズ
ビートルズのシングル盤B面の「ユー・ノウ・マイ・ネーム」でサックス担当がブライアン・ジョーンズ。
https://www.youtube.com/watch?v=iZndVv-jl-U
>変化球投手
変化球か?直球か?わかりませんが、「サタデーナイトフィーバー」の続編はスタローン監督。
https://www.youtube.com/watch?v=_wc6mMJJCuI
>ビートルズのシングル盤B面の「ユー・ノウ・マイ・ネーム」で
>サックス担当がブライアン・ジョーンズ。
そう言えば、そうでしたね。すっかり忘れていました。なかなか上手いですね。
>変化球か?直球か?わかりませんが、「サタデーナイトフィーバー」の
>続編はスタローン監督。
評判悪かったなあ。確かに大した作品ではなかったが、実力以下の扱いを受けた感が当時からありました。現在のIMDbを見ても散々たる評価。(特に公開当時は)スタローンが担当したことへの偏見があるかもしれません。