映画評「トロン:レガシー」
☆☆★(5点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督ジョセフ・コシンスキー
ネタバレあり
丁度30年前の1982年、アニメで大スランプに陥っていたディズニーが世界で初めてCGを本格導入して話題を呼んだSF映画「トロン」の28年ぶりの続編。毎度言うように、かようにスパンを置いて作られた続編はリメイクと言った方が正しい。
20年前、ゲームセンターを経営していたコンピューター技師の父親ジェフ・ブリッジスに失踪された少年が成長してギャレット・ヘドランドになり、ある時ほこりだらけになった父のゲームセンターに入って操作しているうちに、コンピューター・ゲームの世界に入り込んでしまい、この手のSF映画の定石通りコロッセウムでの闘技士のように、円盤状の武器を使って公衆の面前で闘う羽目になる。
というのが前半で、“公衆”と言っても勿論コンピューターの中の世界だから些か感触は違うが、結局死を賭して闘うという意味では同じ。
それを切り抜け若き日の父と再会するが、“それ”はクルーと呼ばれる20年前に父親が理想を投影したプログラムで、既にそうした考えが間違いであることに気付いた本物の父親からクルーと闘って欲しいと願いを託され、謎の女性(と言っても実際にはプログラムか何かなのだろう)オリヴィア・ワイルドと協力して立ち向かうことになる。
前作はコンピューター・グラフィックスという技術の話題ばかりが先行して中味が伴っていず、さほどヒットしたという記憶はないし、当時流行していたコンピューター・ゲームに全く興味のなかった完全文系の僕自身も個人的にそう面白いとは思わなかった。
そして28年後の続編はCG技術的には格段の進歩をし、その美麗なことは確かではあるものの、コンピューター内のお話とは言え擬人化されている以上通常の未来格闘技系SFと大差なく、オートバイやバギーもどきの乗り物、プログラムを監視するマシーンなどもCGの普及により数多作られた未来SFの洗礼を受けた眼には新味不足。そうしたジャンルの偏りもCGの引き起こした一つの弊害である。
昔の映像が残っているから作り易い面もあっただろうが、コンピューター技術を駆使して、33歳と61歳のジェフ・ブリッジスが共演しているように見えるのが結局一番興味深い見もので、ナタリー・コールが大昔に亡くなった父親ナット・キング・コールと「アンフォゲッタブル」で“デュエット”した時に使われたオーヴァーダビングに似た楽しみがある。
目がとろ~ん、とはなりませんでした。
2010年アメリカ映画 監督ジョセフ・コシンスキー
ネタバレあり
丁度30年前の1982年、アニメで大スランプに陥っていたディズニーが世界で初めてCGを本格導入して話題を呼んだSF映画「トロン」の28年ぶりの続編。毎度言うように、かようにスパンを置いて作られた続編はリメイクと言った方が正しい。
20年前、ゲームセンターを経営していたコンピューター技師の父親ジェフ・ブリッジスに失踪された少年が成長してギャレット・ヘドランドになり、ある時ほこりだらけになった父のゲームセンターに入って操作しているうちに、コンピューター・ゲームの世界に入り込んでしまい、この手のSF映画の定石通りコロッセウムでの闘技士のように、円盤状の武器を使って公衆の面前で闘う羽目になる。
というのが前半で、“公衆”と言っても勿論コンピューターの中の世界だから些か感触は違うが、結局死を賭して闘うという意味では同じ。
それを切り抜け若き日の父と再会するが、“それ”はクルーと呼ばれる20年前に父親が理想を投影したプログラムで、既にそうした考えが間違いであることに気付いた本物の父親からクルーと闘って欲しいと願いを託され、謎の女性(と言っても実際にはプログラムか何かなのだろう)オリヴィア・ワイルドと協力して立ち向かうことになる。
前作はコンピューター・グラフィックスという技術の話題ばかりが先行して中味が伴っていず、さほどヒットしたという記憶はないし、当時流行していたコンピューター・ゲームに全く興味のなかった完全文系の僕自身も個人的にそう面白いとは思わなかった。
そして28年後の続編はCG技術的には格段の進歩をし、その美麗なことは確かではあるものの、コンピューター内のお話とは言え擬人化されている以上通常の未来格闘技系SFと大差なく、オートバイやバギーもどきの乗り物、プログラムを監視するマシーンなどもCGの普及により数多作られた未来SFの洗礼を受けた眼には新味不足。そうしたジャンルの偏りもCGの引き起こした一つの弊害である。
昔の映像が残っているから作り易い面もあっただろうが、コンピューター技術を駆使して、33歳と61歳のジェフ・ブリッジスが共演しているように見えるのが結局一番興味深い見もので、ナタリー・コールが大昔に亡くなった父親ナット・キング・コールと「アンフォゲッタブル」で“デュエット”した時に使われたオーヴァーダビングに似た楽しみがある。
目がとろ~ん、とはなりませんでした。
この記事へのコメント
『トロンレガシー』で機体しましたが・・・ウ~ンでありましたね。
パソコンが普及されて小説のほうも、内宇宙がどうのこうのという話が多くなっておもしろくなくなりましたが、SF映画もデザスターか侵略ばかりで壮大さが無くなりましたね。
『愛と誠』もリメイクされるそうで・・・・勘弁願いたいな。
>仕事の関係
試写会とは宜しいですなあ。
岡本喜八「大誘拐RAINBOW KIDS」に出資した取引先の丸紅から案内は来ましたが、確か金を払って(割引券ではあったかな?)観た記憶があります。
しかも、営業担当がロシア語科の1年先輩だったというのに、丸紅のケチ!(笑)
>CGよりアニメ
そんなもんでしょう^^;
>侵略
元来侵略SFは嫌いではないですが、これだけ濫作されると食傷します。こういうのは10年に一度くらい観られると有難いのですが。
>『愛と誠』
あほかいな(笑)。
最初の映画化も相当陳腐な作品でしたなあ。