映画評「恋とニュースのつくり方」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督ロジャー・ミッシェル
ネタバレあり

恋愛映画の秀作「ノッティングヒルの恋人」を監督したロジャー・ミッシェルの新作。
 邦題からはまた例によって例の如きロマンスかと思わせるが、蓋を開けてみるとなかなか興味深いTV業界ものとなっている。日本とアメリカのTV局の在り方の違いがよく解らない前提で話をさせて貰うが、いずれにしてもアメリカのTV局の勉強が少し出来るのは少なからぬ得点源である。

地方局を首になった若い女性プロデューサー、レイチェル・マクアダムズがニューヨークはマンハッタンのTV局CBSならぬibsに雇われ、視聴率2%(1.5ポイント=3/4と言っていることより推察)の朝番組のチーフ・プロデューサーとして赴任する。首になったからと言って無能というわけにあらず、十人くらいのアシスタントの言ったことを一遍に聞いて続け様に答える聖徳太子ぶりを見せる。

この辺りのセンスから気に入ったが、俄然面白くなるのは視聴率を上げるべく、ピュリツァー賞を何度も受賞しているプライド高きジャーナリスト、ハリスン・フォードを男性メイン・キャスターに起用してからで、彼が自分がメインであると譲らないミス・コン出身の女性キャスター、ダイアン・キートンとの火花散らすエピソード群が大いに笑える。最後に“グッバイ”を言うのはどちらか争って二人が何度も言い続けるのが抜群の可笑しさで、個人的にはこれだけでも視聴率が上がりそうな気がする。

本編の中では、フォードは報道以外には関心がなく協調性とは無縁の存在、いつも画面にしかめ面を晒して視聴率低迷に貢献するのみ。彼女は開き直って朝番組らしく軽さを売りにすべく方向転換したり、一方で益々それが気に入らないフォードがやっと真価を発揮しても視聴率は大きく上がらない。しかし、三大ネットワークから声が掛かるという運に恵まれた彼女は悩んだ末に決めた面接の現場でフォードの思いがけぬ行動を目にする。

脚本はリチャード・カーティスではなくて「プラダを着た悪魔」を書いたアライン・ブロッシュ・マッケンナだが、この幕切れの味の良さは「ノッティングヒル」に通ずるものあってニコニコさせられる。ミッシェルが良い感覚の持ち主であることを証明した次第。

溌剌とした魅力を発揮しているレイチェル、及び、楽しく演じている感じのベテラン二人(フォードは演技で渋面を作っているけれどね)の貢献も大。

この記事へのコメント

2012年04月05日 09:43
ロジャー・ミッシェルは巧い。
「チェンジング・レーン」「Jの悲劇」や
「ヴィーナス」もよかった。
まずます正真正銘の頑固もんらしくなってきた
フォードのアクセント的使い方も面白かったし。
それをイジクるD・キートンも愉快愉快。^^

ところで、同じ英国でも、たしか
ミッシェルの出世作は
「ノッティング“ヒル”の恋人」ですよね。
オカピー
2012年04月05日 10:11
vivajijiさん、こんにちは。

うわっ、やっちまっただ^^;
早速訂正しましたです。情報有難うございました。
“てにをは”の間違いは日常茶飯事ですが、題名を間違えるとは・・・

それはともかく(笑)、ロジャー・ミッシェルはセンスありますね。
アメリカ喜劇本来の良さが久々に発揮された佳作と思いました。

>フォード、D・キートン
正に。
楽しかったです^^
ねこのひげ
2012年04月06日 05:29
俊英でした。
ハリスン・フォードとダイアン・キートンのやり取りがおもしろかったですね。

思い出したのは、むかし、ニュース番組で、はじめて女優さんが起用されたとき、男性キャスターが、完全無視していたことです。
白髪のベテランニュースキャスターで、コメントなんかも冷静で紳士的だったので、好印象を持っていた人だったので、ビックリしました。
いまは、当たり前に俳優や女優、アイドル、はてはお笑い芸人までがニュースを読む時代ですが、たぶん女優がニュースを読んだのはその人がはじめてだと思うんですが、こういう人でもこんな女性差別をする一面があるんだとビックリでしたね。
その女優はよく耐えているな~と感心しました。1年ぐらいやってたかな。

アメリカなんか、もっとひどいですからね。現実には、お笑いでは済まないですよね。
オカピー
2012年04月06日 10:55
ねこのひげさん、こんにちは。

実に面白く出来た映画ですが、何が何でも“新味”と“思想”を求めたがるアメリカでは余り好意をもって迎えられなかったようです。

>はじめて女優さん
星野知子さん?
あの時代(80年代末?)は帰宅が大体午後9時ごろだったので記憶がないです。若干時代が違いますが、槇原の完全試合は後一人のところから観ましたです(笑)。

>アメリカ
あそこは何でも競争が激しく厳しいですからね。
松井レベルの選手が、代理人が大きく出たせいなのでしょうが、働く場所がないなんて悲しいですよ。去年の総合成績から言えば、打率にしても2分程度しか違わないイチローより立派なんですけどね。今なら守備もできるはず。
日本に戻っても良いと思うんですが、それは本人も嫌なんでしょうなあ。

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