映画評「こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE~勝どき橋を封鎖せよ!~」
☆☆★(5点/10点満点中)
2011年日本映画 監督・川村泰裕
ネタバレあり
僕は子供の頃からコミックは殆ど読まず、アニメは小学6年生でほぼ卒業したのに対し、我が兄は読書と言えばコミックで深夜アニメも録画して観ている様子。
僕が秋元治の原作を知ったのはその兄貴が15年くらい前我が家へ遊びに来た時にTVアニメシリーズ(1996~2004年)を観せられながら説明を受けたからだが、余り興趣が湧かないのでその後アニメを観続けなかったのは言うまでもない。
本作は2009年に実写化されたシリーズ(全8回)の劇場版で、レギュラー陣は同じ顔ぶれらしい。
悪ガキだった両津勘吉(香取慎吾)が現署長の大原部長(伊武雅刀)に薦められて警官になったものの、少年時代の癖が抜けず小さな悪事を幾つも働いて町民から憎まれているような愛されているようなある日、旅回り一座の座長をしているシングルマザー沢村桃子(深田恭子)と再会し、良いムードになっている時、警察庁長官(夏八木勲)の娘が何者かに誘拐された為警察を挙げて捜査体制を敷くが、少女と桃子の娘が服の取り換えっこをしていた為に実際に誘拐されたのが桃子の娘と判明すると捜査陣の士気が下がる。
両津と後輩・中川圭一(速水こもみち)の亀有公園前派出所コンビがそうはさせじと動いた為一応そのままの体制が維持されるが、長官に恨みを持ち復讐のチャンスを狙う犯人が交渉に知り合いの両津を呼び寄せた為両津は命がけの人質及び犯人救出の大任を背負わされる。
「踊る大捜査線」シリーズ劇場版第2作をパロディー的に借用して後半はそれなりのスペクタクルになっているが、基本は小市民コメディーと言うべし。
ベースとなっているのは「勝どき橋はパカッと開くんだぜ」と言って「嘘付き」と言われたまま別れた旅芸人一座の少女・桃子と再会後の心の交流で、彼女が娘と一緒にそれを真実と確認する時決して高潔な人物とは言えない彼の人間的価値を本当の意味で知る、という流れがそこはかとない余情を生む。
彼の言わばアンチテーゼであり、別の“悪”という形で彩るのが、犯人を誤認逮捕して謝らないまま長官にまでなった男と彼を怨むのを一度は忘れたのにちょっとしたことで復讐心を蘇らせた犯人の生き様で、同じく葛飾区が舞台の「男はつらいよ」シリーズに似て本当の悪人は全く登場しない。
「忍者ハットリくん」や「西遊記」など香取慎吾君の主演したリメイク的映画作品の中では老若男女比較的誰にでも無難に観られる内容で、一番好印象を覚える。
但し、作品の性格上余りとやかく言う必要はないのかもしれないが、事件の発端である公園のシーンは気に入らない。長官の娘にはSPが付いているが一人だけである。その一人が公園で発見した怪しい人物を追って少女を置いてきぼりにした為別人とは言え一人の少女が犯人の人質になる。SPの仕事は警護であり、複数いれば別だが怪しい人物の捕捉ではない。警護すべき人間の安全を確保してから容疑者捕捉・排除に当るべきであり、不審な人物を見ただけで少女から離れるのは任務放棄に等しいわけで、ここから事件が始まるのはお話として強引。
SPのSとPの間(あいだ)に間(MA)を入れるとSMAPになる・・・何のこっちゃ。
2011年日本映画 監督・川村泰裕
ネタバレあり
僕は子供の頃からコミックは殆ど読まず、アニメは小学6年生でほぼ卒業したのに対し、我が兄は読書と言えばコミックで深夜アニメも録画して観ている様子。
僕が秋元治の原作を知ったのはその兄貴が15年くらい前我が家へ遊びに来た時にTVアニメシリーズ(1996~2004年)を観せられながら説明を受けたからだが、余り興趣が湧かないのでその後アニメを観続けなかったのは言うまでもない。
本作は2009年に実写化されたシリーズ(全8回)の劇場版で、レギュラー陣は同じ顔ぶれらしい。
悪ガキだった両津勘吉(香取慎吾)が現署長の大原部長(伊武雅刀)に薦められて警官になったものの、少年時代の癖が抜けず小さな悪事を幾つも働いて町民から憎まれているような愛されているようなある日、旅回り一座の座長をしているシングルマザー沢村桃子(深田恭子)と再会し、良いムードになっている時、警察庁長官(夏八木勲)の娘が何者かに誘拐された為警察を挙げて捜査体制を敷くが、少女と桃子の娘が服の取り換えっこをしていた為に実際に誘拐されたのが桃子の娘と判明すると捜査陣の士気が下がる。
両津と後輩・中川圭一(速水こもみち)の亀有公園前派出所コンビがそうはさせじと動いた為一応そのままの体制が維持されるが、長官に恨みを持ち復讐のチャンスを狙う犯人が交渉に知り合いの両津を呼び寄せた為両津は命がけの人質及び犯人救出の大任を背負わされる。
「踊る大捜査線」シリーズ劇場版第2作をパロディー的に借用して後半はそれなりのスペクタクルになっているが、基本は小市民コメディーと言うべし。
ベースとなっているのは「勝どき橋はパカッと開くんだぜ」と言って「嘘付き」と言われたまま別れた旅芸人一座の少女・桃子と再会後の心の交流で、彼女が娘と一緒にそれを真実と確認する時決して高潔な人物とは言えない彼の人間的価値を本当の意味で知る、という流れがそこはかとない余情を生む。
彼の言わばアンチテーゼであり、別の“悪”という形で彩るのが、犯人を誤認逮捕して謝らないまま長官にまでなった男と彼を怨むのを一度は忘れたのにちょっとしたことで復讐心を蘇らせた犯人の生き様で、同じく葛飾区が舞台の「男はつらいよ」シリーズに似て本当の悪人は全く登場しない。
「忍者ハットリくん」や「西遊記」など香取慎吾君の主演したリメイク的映画作品の中では老若男女比較的誰にでも無難に観られる内容で、一番好印象を覚える。
但し、作品の性格上余りとやかく言う必要はないのかもしれないが、事件の発端である公園のシーンは気に入らない。長官の娘にはSPが付いているが一人だけである。その一人が公園で発見した怪しい人物を追って少女を置いてきぼりにした為別人とは言え一人の少女が犯人の人質になる。SPの仕事は警護であり、複数いれば別だが怪しい人物の捕捉ではない。警護すべき人間の安全を確保してから容疑者捕捉・排除に当るべきであり、不審な人物を見ただけで少女から離れるのは任務放棄に等しいわけで、ここから事件が始まるのはお話として強引。
SPのSとPの間(あいだ)に間(MA)を入れるとSMAPになる・・・何のこっちゃ。
この記事へのコメント
漫画は秋元治さんが山止たつひこという山上たつひこをもじったペンネームでジャンプの新人賞に応募した作品が、そのまま連載となり、今日まで36年間続いているというギネス作品でありますな。
ねこのひげもほとんど読んだことはないけど、ポツポツ虫食い程度には読んでます。
香取くんは、両津役にあっていると思う。
まあ、まさに無難なSMAPな映画でありますよ。
サブカルチャーには弱いんでねえ^^;
東京新聞の某評者によれば、コミックやアニメがカルチャーに成る日も遠くない、とか。
>SMAP
歌手としては問題にしていないけれど、役者としてはそこそこではないですか。
中居君主演の「模倣犯」は相当ひどい評価でしたが、僕は寧ろあの年の邦画ベスト10に入れても良いくらいだと思いましたよ。
あれは原作への過剰なリスペクト要請とSMAP嫌いが連なって巻き起こしたバッシングで、明らかな過小評価でした。僕がそれを記事にしたら反論が来ましたが、当方の書いた日本語が理解できていないお粗末なレベルでした。まあ、こちらの文章にも責任があるのかもしれないけれど^^;