映画評「アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2009年カナダ映画 監督サーシャ・ガーヴァシ
ネタバレあり
僕が聴くハードロックはレッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、レインボー辺りまでだから、名前はそれなりに知っていてもヘヴィ・メタルと呼ばれる連中は一応守備外でござる。ドイツ系のスコーピオンズとかマイケル・シェンカーも少しは聴いたが、特に関心を持っていたという程ではない。
で、本作が取り上げるアンヴィルは1980年代の初めヘヴィ・メタルが音楽ジャンルとして確立した頃彗星の如く現れたスター候補で、本作でもモーターヘッドとかメタリカのメンバー、ロック雑誌編集者などが後世に残した影響力は小さくないとこぞって誉めている。
にも拘らず、彼らは映画(「ターミナル」の脚本で知られる監督がかつて彼らのローディだったというのが泣かせる)が取材し始める2005年頃普段は普通の仕事をこつこつとこなしながら音楽活動を続けるというしがない立場であることが解る。彼らを真似た後続が大スターになり、ご本家は鳴かず飛ばずといった状況にある。
どうしてそうなったのかは映画は追及しようとしない。敢えて推測すれば、本作の中で、初期に関わりがあり最新作のプロデューサーを務めたクリス・ツァンガリデスが言うように、彼ら、と言ってもリード・ギタリスト兼シンガーのスティーヴ・クドローとドラマーのロブ・ライナー(かの映画監督にあらず)の固定メンバー二人が、何でもかんでも自分たちでやろうとしたことが原因なのかもしれない。
藁にもすがるつもりで電話を掛けたツァンガリデスが気に入ってくれてイギリスで録音、良い音源が出来たので彼らはそれをEMIといった今までよりぐっと大きなレコード会社に売り込もうとするが結局それはならないまでも13枚目(その名もThis Is Thirteen)のオリジナル・アルバムとしてリリース、それを聴いた日本のプロモーターが幕張メッセのコンサートに招聘してくれる。昼間の一番手ということで観客数が不安視されるなか目を見張る数の客が押し寄せる。
友情が厚いからこそ時には激しくバッティングすることもある40年近い二人の関係が胸を熱くする。見た目はむさくるしいが、思わず涙が出て来るほどである。妻女や姉妹たち家族の理解があるのも良い。彼らが長くやって来られたも家族のおかげと言っても良く、僕自身が大学入学金を出して貰うなど姉には色々世話になっているので、個人的には、クドローの姉が資金提供する段でぐっと来た。
恐らく30年前の日本での演奏が伝説になっているのであろう、若いヘヴィメタ・ファンが大勢押し掛けていた。日本人というのはそういう律義なところがある。親しく付き合えば絶対良いことがある。国から半分嘘を教え込まれているとは言え、近隣諸国民はその辺のことを解ってくれないかな。
僕がよく利用しているアメリカの総合音楽サイトAllMusicも吃驚するくらい大きく扱っていますぜ。
2009年カナダ映画 監督サーシャ・ガーヴァシ
ネタバレあり
僕が聴くハードロックはレッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、レインボー辺りまでだから、名前はそれなりに知っていてもヘヴィ・メタルと呼ばれる連中は一応守備外でござる。ドイツ系のスコーピオンズとかマイケル・シェンカーも少しは聴いたが、特に関心を持っていたという程ではない。
で、本作が取り上げるアンヴィルは1980年代の初めヘヴィ・メタルが音楽ジャンルとして確立した頃彗星の如く現れたスター候補で、本作でもモーターヘッドとかメタリカのメンバー、ロック雑誌編集者などが後世に残した影響力は小さくないとこぞって誉めている。
にも拘らず、彼らは映画(「ターミナル」の脚本で知られる監督がかつて彼らのローディだったというのが泣かせる)が取材し始める2005年頃普段は普通の仕事をこつこつとこなしながら音楽活動を続けるというしがない立場であることが解る。彼らを真似た後続が大スターになり、ご本家は鳴かず飛ばずといった状況にある。
どうしてそうなったのかは映画は追及しようとしない。敢えて推測すれば、本作の中で、初期に関わりがあり最新作のプロデューサーを務めたクリス・ツァンガリデスが言うように、彼ら、と言ってもリード・ギタリスト兼シンガーのスティーヴ・クドローとドラマーのロブ・ライナー(かの映画監督にあらず)の固定メンバー二人が、何でもかんでも自分たちでやろうとしたことが原因なのかもしれない。
藁にもすがるつもりで電話を掛けたツァンガリデスが気に入ってくれてイギリスで録音、良い音源が出来たので彼らはそれをEMIといった今までよりぐっと大きなレコード会社に売り込もうとするが結局それはならないまでも13枚目(その名もThis Is Thirteen)のオリジナル・アルバムとしてリリース、それを聴いた日本のプロモーターが幕張メッセのコンサートに招聘してくれる。昼間の一番手ということで観客数が不安視されるなか目を見張る数の客が押し寄せる。
友情が厚いからこそ時には激しくバッティングすることもある40年近い二人の関係が胸を熱くする。見た目はむさくるしいが、思わず涙が出て来るほどである。妻女や姉妹たち家族の理解があるのも良い。彼らが長くやって来られたも家族のおかげと言っても良く、僕自身が大学入学金を出して貰うなど姉には色々世話になっているので、個人的には、クドローの姉が資金提供する段でぐっと来た。
恐らく30年前の日本での演奏が伝説になっているのであろう、若いヘヴィメタ・ファンが大勢押し掛けていた。日本人というのはそういう律義なところがある。親しく付き合えば絶対良いことがある。国から半分嘘を教え込まれているとは言え、近隣諸国民はその辺のことを解ってくれないかな。
僕がよく利用しているアメリカの総合音楽サイトAllMusicも吃驚するくらい大きく扱っていますぜ。
この記事へのコメント
西武球場でやったロックフェスティバルに出演してヘビーメタルバンドの中で売れなかったグループなんですよね。
40枚ぐらいだしたけど、鳴かず飛ばず・・・
しかし、よくドキュメンタリーで追いかけたものだと感心。
最後の日本での盛り上がりは、まるでフィクションでありますよね。
大衆レベルでは、迷惑がっているようですよ。周りを気にしながら答えていた中国人に言わせると、日本製品の方がいいし、信用できるので、はやく元通りになって欲しいと答えてました。
うーむ、ねこのひげさんがまさかご覧になっているとは(@_@;)
映画として見に行かれたのですか、それともヘヴィメタ・ファンだったりして?
もしご不都合でなかったら、音楽の趣味など一つお教え下さいませ<(_ _)>
日本にいらした中国人や韓国人は、「(日本人の)イメージが来日する前と違った」と必ず仰いますね。
ネットもある程度使えるので、中国にいても日本のことを昔より多少はよく知っているでしょう。暴動も官憲が絡んでいるという噂も相当あるし。
アイドルの唄から、演歌・・・ジャズ・・・クラシック・・・・AKB48も聞きます。聞くというより観ているのかな(笑)
良い物は良いという事で・・・
一時期、レゲエに凝っていて、新宿あたりのレコード屋で海賊版を漁ってました。
ボブ・マーリーはよいですな~
9月に『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジャンド』というドキュメンタリー映画をやっておりました。
>良い物は良い
僕も基本はその線ですね。
ジャンルは問わないながら、古いものばかり聞いていますが。
ジャンルを問わないから、時代で絞っているといったところです。
歌謡曲は昭和40年代が最高。良い曲が多かったなあ。
この時代は、歌謡曲もロックも演奏が非常に楽しいです。
>レゲエ
ボブ・マーリーは名盤「ライヴ!」のアナログ盤を持っていましたが、フォノ付きアンプが先年壊れたのでCDでまた買おうと思っています。
昨年の頭にはバーニング・スピアの"Marcus Garvey"を買いました。これを聴き始めた頃は元気だった母親が二ヵ月後に亡くなり、一緒に面会に行っていた父も亡くなり、このCDを聴くと少々辛くなってきます。