映画評「レイン・オブ・アサシン」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2010年中国=香港=台湾合作映画 監督スー・チャオピン、ジョン・ウー
ネタバレあり
大分前にハイビジョン録画したものの、どうも陰気臭そうなカタカナ邦題に魅力が感じられず暫く放っておいたところ、スケジュールが空いたので観てみたら、豈図らんや、武侠アクションであった。もっと前に観ておくんだったなあと思われるくらいお話は楽しい。荒唐無稽な面白さである。
allcinemaのストーリー曰く「約800年前にインドから中国に渡り、武術の奥義を究めたという達磨大師」とあるが、余りに書き方が悪い。達磨大師はほぼ6世紀の人だから、本作の舞台となっている明王朝(1368-1644年)初期から800年前と理解できる。だから、「約1500年前にインドから中国に渡り、武術の奥義を究めたという達磨大師」と書かないと読者が誤解する。配給側の不適切な情報をそのまま書き写しただけなのだろう。
簡単に言えば、手に入れた者が武道のトップに立つことができると言われる達磨大師の二分されたミイラを巡る争奪戦で、まず当時半分を所持していた宰相とその息子が暗殺組織“黒石”に暗殺される。
ミイラを横領したメンバーの美人ケリー・リンは“平凡な顔”に整形してミシェル・ヨーになり、ある寺院で修行を積んでやがて市井に出、少々抜けているが好青年のチョン・ウソンと結ばれる。
銀行での騒動で正体を掴まれた彼女は、かつての親分ワン・シュエチーや元同僚と再会、幸福な生活を維持する為に半分のミイラを返し、もう一つのミイラを探し当てることで協力することになるが、この”黒石”なる組織必ずしも一枚岩ならず、いとも簡単に仲間割れしてしまう。美人ハービー・スーとショーン・ユーが夫婦を暗殺しに現われると、とろいと思われたチョン青年が宰相の息子の正体を現し、もの凄い技術を披露する。
夫を愛するミシェルは彼を殺させまいと「ロミオとジュリエット」よろしく仮死させ、その間に最後の一人ワン親分と決闘を繰り広げる。
力を得る秘宝の争奪戦という、頗る(欧州)古典的な設定をベースにしながら、虫を使った整形とか仮死作戦とかおどろおどろした要素を加えたところがなかなか興味深いお話になった所以である。寺での修業もワンとの戦いやチョン青年の偽装に絡めて大きく生かされている。
ただ、少々荒っぽい筋立てであることも一方で認められ、美人ハービー・スーを牢屋から脱獄させる為に仮死作戦を使ったワンが、かつての部下たる女剣士が夫に使った仮死作戦を見破れないか等々、些か疑問を覚える部分が散見される。
画面的には、ワイヤー・アクションの必要を越えると思われる多用が気に入らないが、程良い細かさのカット割りはなかなか優秀。いずれにしてもお話に没入出来た為現金なもので、嫌いなワイヤーもさほど気にならなかった。
監督はジョン・ウーとスー・チャオピンとの共同。
ミシェル・ヨーが不美人(平凡な顔)かヨーと、設定に苦笑しました。
2010年中国=香港=台湾合作映画 監督スー・チャオピン、ジョン・ウー
ネタバレあり
大分前にハイビジョン録画したものの、どうも陰気臭そうなカタカナ邦題に魅力が感じられず暫く放っておいたところ、スケジュールが空いたので観てみたら、豈図らんや、武侠アクションであった。もっと前に観ておくんだったなあと思われるくらいお話は楽しい。荒唐無稽な面白さである。
allcinemaのストーリー曰く「約800年前にインドから中国に渡り、武術の奥義を究めたという達磨大師」とあるが、余りに書き方が悪い。達磨大師はほぼ6世紀の人だから、本作の舞台となっている明王朝(1368-1644年)初期から800年前と理解できる。だから、「約1500年前にインドから中国に渡り、武術の奥義を究めたという達磨大師」と書かないと読者が誤解する。配給側の不適切な情報をそのまま書き写しただけなのだろう。
簡単に言えば、手に入れた者が武道のトップに立つことができると言われる達磨大師の二分されたミイラを巡る争奪戦で、まず当時半分を所持していた宰相とその息子が暗殺組織“黒石”に暗殺される。
ミイラを横領したメンバーの美人ケリー・リンは“平凡な顔”に整形してミシェル・ヨーになり、ある寺院で修行を積んでやがて市井に出、少々抜けているが好青年のチョン・ウソンと結ばれる。
銀行での騒動で正体を掴まれた彼女は、かつての親分ワン・シュエチーや元同僚と再会、幸福な生活を維持する為に半分のミイラを返し、もう一つのミイラを探し当てることで協力することになるが、この”黒石”なる組織必ずしも一枚岩ならず、いとも簡単に仲間割れしてしまう。美人ハービー・スーとショーン・ユーが夫婦を暗殺しに現われると、とろいと思われたチョン青年が宰相の息子の正体を現し、もの凄い技術を披露する。
夫を愛するミシェルは彼を殺させまいと「ロミオとジュリエット」よろしく仮死させ、その間に最後の一人ワン親分と決闘を繰り広げる。
力を得る秘宝の争奪戦という、頗る(欧州)古典的な設定をベースにしながら、虫を使った整形とか仮死作戦とかおどろおどろした要素を加えたところがなかなか興味深いお話になった所以である。寺での修業もワンとの戦いやチョン青年の偽装に絡めて大きく生かされている。
ただ、少々荒っぽい筋立てであることも一方で認められ、美人ハービー・スーを牢屋から脱獄させる為に仮死作戦を使ったワンが、かつての部下たる女剣士が夫に使った仮死作戦を見破れないか等々、些か疑問を覚える部分が散見される。
画面的には、ワイヤー・アクションの必要を越えると思われる多用が気に入らないが、程良い細かさのカット割りはなかなか優秀。いずれにしてもお話に没入出来た為現金なもので、嫌いなワイヤーもさほど気にならなかった。
監督はジョン・ウーとスー・チャオピンとの共同。
ミシェル・ヨーが不美人(平凡な顔)かヨーと、設定に苦笑しました。
この記事へのコメント
ジョン・ウー監督は『レッドクリフ』もそうでしたが、英語のタイトルが好きなようで、欧米に売ることを意識しているんですかね?
衣装がワダ・エミさんで、今年のアカデミー賞でも、亡くなった石岡瑛子さんがノミネートされてますね。
他の映画でも、観終わった後のスタッフロールで、ずいぶんと日本人の名前を見ることができます。
裏方に多くの日本人が参加しているようで、虎と少年が漂流した話『ライフ・オブ・パイ』でも、CG担当は日本人で、視覚映像部門でノミメートされてます。
そうそう、この人がCGを担当した『バトル・シップ』でも、ずいぶん日本人俳優の名前が・・・と思ったら、本職の自衛隊員でした。
リムパックに参加するついでに自衛隊が協力したそうですよ。
中国の題名はきちんと漢字なので、日本の配給会社はもっとクラシックな題名を考えてほしいものです。
どこも同じような紹介をしています。中国史を全く知らないのか、結構良い加減ですね。
>石岡瑛子さん
もう亡くなっていて残念ですね。
>『バトル・シップ』
映画の中だけの話に終わると良いですがね^^