映画評「パラノーマル・アクティビティ3」

☆(2点/10点満点中)
2011年アメリカ映画 監督ヘンリー・ジュースト、アリエル・シュルマン
ネタバレあり

第一作を作ったオーレン・ぺリは今や大御所気分で続編を他人に作らせている。「スター・ウォーズ」のジョージ・ルーカスに始まるこうした傾向が有象無象の新人・若手監督を増やして映画をつまらなくしていると僕は長年思っている。タランティーノやロバート・ロドリゲスやジェームズ・ワンもそうだったが、本人が新人でこれからまだまだ修行を積むべきなのに、製作に回るなんて十年早い。

ともかく、作が進むことにお話が昔に遡るという構成を取る本シリーズらしく、この第三作では前二作で子供を持つ年齢に達していたクリスティとケイティの姉妹がまだ幼い、1988年にまで遡る。その二人が祖母の保持していた古いビデオテープ群を観る(観る部分は一切ないものの、そう理解するしかない)という形式で進行する。

いかにもビデオ機器で再生したらしい画像で始まるのは良いが、その後の映像はアナログ機器間では当然あるはずのヘッドずれを一切無視して頗る綺麗、POV映画の眼目である“本物そのもの”をこの時点で既に放棄している。
 個人的には“本物そのもの”“本物らしさ”には全く拘らないどころか、POV手法や揺れる映像を批判することが多い。しかるに、徹底しないのはいけない。徹底できないならやらないほうが良い。その意味で本作は序盤から僕を撃沈させた。

閑話休題。
 そのビデオの中で展開する情景は、幼女クリスティ(ジェシカ・タイラー・ブラウン)が他の者に見えない“トビー”と話をしているのを知り、興味を持った母親ジュリー(ローレン・ビトナー)の同棲相手で撮影関係者デニス(クリストファー・ニコラス・スミス)が自分の所持している機材を使ってその様子を捉え、記録したテープを再生するうちに奇妙な現象を次々と発見するが、そうした伴侶の考えと行動が気に入らないジュリーは大ポルターガイスト現象の後遂に母親の家に引っ越しする。やがて観客は、この姉妹が第一作まで続いて受けることになる変異現象の原因を知る。

かくして、お話は、徐々に1980年代に人気のあった「ポルターガイスト」シリーズに近づくが、吃驚するのは映画的工夫とは無縁なこけおどしに限るから、言うまでもなくきちんとドラマ的に構成した前述シリーズには及ばない。
 冗長さという観点から言えば、“本物そのもの”という狙いを捨てた為に第一・第二作より改善されているが、それでも一向に怖くないから退屈であることに変わりない。唯一、扇風機にカメラを取り付けるアイデアは買える。本シリーズの変化が示しているのは、映画を面白くするには“本物そのもの”に拘ってはダメであるという、自明の作劇論である。

「ポルターガイスト」の主演少女が撮影後に死んでしまったと聞いてゾッとしたのを思い出す。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2013年01月10日 06:33
未熟な人間が未熟な人間を使えば、さらに未熟な作品しかできないのは自明の理でありますけどね。
成功してちょっと金ができると初心を忘れるという・・・王道のような末路であります。
ねこのひげ
2013年01月10日 07:53
忘れてましたが、デヴィット・ボーイが、10年ぶりにCDを出すそうでありますよ。
オカピー
2013年01月10日 22:25
ねこのひげさん、こんにちは。

そうでしょう!?
ルーカスの場合は既にある程度に実績があり、かつ、起用した監督もそれなりに実績のある人でしたけど、タランティーノ以降は違いますから特にまずい。
フランスのリュック・ベッソンも似たようなことをしていますね。彼はアイデアが多すぎて自分で対応しきれないという面もあるのでしょうけど。

>デヴィッド・ボウイ
古いので買っていないのがたくさんありますから、とりあえずそちらを買いたいですが、新作良い出来だといいなあ。

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