映画評「僕等がいた 後篇」

☆☆(4点/10点満点中)
2012年日本映画 監督・三木孝浩
ネタバレあり

いよいよ後篇であります。

この後篇では、登場人物が大学生から若い社会人になっていくので出演者に対する違和感がなくなるのは大いに結構なのでありますが、今度はお話の方がケータイ小説よろしく大袈裟になってきた感が強く、扱われる内容自体は前篇の方が好もしい。

前篇の生田斗真、吉高由里子、高岡蒼甫、本仮屋ユイカの変則三角関係に、生田君の転校先の同級生で由里子嬢と会社の同僚になる比嘉愛未が軽く割り込んできて、生田君の母の自殺やユイカ嬢の母の病死を挟んで、落ちつくべきところに落ち着くというお話は、前述したように大袈裟にしてまだるっこい。

基本は一途な思いを持ち続ける恋人同士をテーマにした古典的ロマンスで、前篇で役名なしの女子生徒が思わず愚痴る「死んだ恋人とは勝負できない」ことを二人の間に立ちはだかる最大のハードルとして、それを越えることで二人が各々既に持っている愛情を更なる高みまで持って行くという印象を与えるのが大昔の古典と違うところでありましょうか。

しかし、それを表現する為のボイスオーヴァーや台詞群、特に男性陣のそれは聞いていて臭くて恥ずかしくなる。

といった次第で、最近はどうも読書の方が楽しい僕には、この二部作を4時間観続けるよりドストエフスキーの大長編「カラマーゾフの兄弟」を20時間かけて読む方が余程楽でござった。さすがに、その二倍以上の量が優にあって読了するのに7週間ほど要したプルーストの超大長編「失われた時を求めて」を読むより楽とは思われる。皆さん、この感覚お解りになりますか?(笑)

名台詞と臭い台詞は紙一重っちゅうことかいな。

この記事へのコメント

ねこのひげ
2013年04月14日 18:43
最近の若い人は、漫画の様なセリフを平気で言ったりしますけどね・・・
我々が、映画のセリフに影響を受けたのと一緒ですかね(~_~;)
今思うと、ずいぶんと気恥ずかしくなるセリフを言ったような気がします。(^^ゞ

吉高さんは、こんど『ガリレオ』で刑事役をやるそうで・・・・以前は奇人と普通の人という組み合わせだったが、こんどは奇人対奇人という設定になるようだと書いてありました。
吉高さん・・・・だれもが奇人と認めているようですね。
オカピー
2013年04月14日 21:05
ねこのひげさん、こんにちは。

いやあ、僕は話下手だから映画のような気障なことは言えませんでしたなあ(笑)。
話が巧かったらかなり出世したと自分でも思いますよ(笑)。

>『ガリレオ』
映画版の「容疑者Xの献身」は結構お気に入り。
湯川氏の「面白い」ではないですが、彼自身が興味深い人物でした。
明日から放送があるみたいですが、ちょっと観てみようかな^^

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