映画評「悪の教典」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年日本映画 監督・三池崇史
ネタバレあり
怪作「黒い家」で映画ファンにもお馴染みになった小説家・貴志祐介の同名小説を三池崇史が映画化したサイコ・ホラーである。
ある高校の英語教師として人気を集める伊藤英明が、担任クラスの女子学生を自殺に見せかけて殺し、万引きを材料に彼女を脅していた同僚体育教師・山田孝之に責任をなすりつけようとするが、その現場をある女子生徒に発見された為に計画変更、文化祭準備中の生徒を猟銃で撃ち殺し始め、男子生徒との淫行を掴んだ美術教師の犯行と思わせるように細工する。
主人公の教師は所謂サイコパス、反社会的人格の人物であり、殺すことは一種の趣味である。それが中学生時代のプロローグで軽く触れられ、中盤物理教師の調査を発端に小出しに紹介されていき、終盤に大爆発するという構成。
日本映画では珍しく殺害描写はハードボイルドで馬力が物凄い。しかし、長すぎる。恐らく、殺しの描写は一人も省略しないという、言わば反映画セオリー的な意図をもって作った結果なのであろうが、大体“殺しの為の殺し”を余り好まない僕だから、ここまで延々やられると、いくら怒涛の描写とは言え、さすがにもたれてくる。
携帯電話への妨害電波など布石の使い方は上手いものの、モンスター・ペアレンツの父親(変な日本語ですみません)の殺害に関しては知的な犯人にしては偶然に頼り過ぎている。しかし、言及すべきは細かい内容よりクライマックスの殺害場面(正確にはシークエンス)であろう。邦画史上珍しいまでに徹底した、ドライな殺害場面として長く記憶されるに違いない。
伊藤英明君としては、「海猿」みたいな役ばかりでは困るとばかりの、正反対の反社会的な人物を演じたのは、役幅を広げることになっていくのではないか。To be continued...の字幕で終わっているので、或いは続編があるかもしれない。名曲「マック・ザ・ナイフ(メッキー・メッサー若しくはモリタート)」が、「黒い家」のボウリングの玉の役割を果たして効果的。
因みに、“東大”をもじって主人公が言うのは"Too die"ではなく不定詞"To die"ですよん。アメリカでは逆に"too high"を"to high"と間違える人がかなり多い。国語の勉強、碌にしてないね。
2012年日本映画 監督・三池崇史
ネタバレあり
怪作「黒い家」で映画ファンにもお馴染みになった小説家・貴志祐介の同名小説を三池崇史が映画化したサイコ・ホラーである。
ある高校の英語教師として人気を集める伊藤英明が、担任クラスの女子学生を自殺に見せかけて殺し、万引きを材料に彼女を脅していた同僚体育教師・山田孝之に責任をなすりつけようとするが、その現場をある女子生徒に発見された為に計画変更、文化祭準備中の生徒を猟銃で撃ち殺し始め、男子生徒との淫行を掴んだ美術教師の犯行と思わせるように細工する。
主人公の教師は所謂サイコパス、反社会的人格の人物であり、殺すことは一種の趣味である。それが中学生時代のプロローグで軽く触れられ、中盤物理教師の調査を発端に小出しに紹介されていき、終盤に大爆発するという構成。
日本映画では珍しく殺害描写はハードボイルドで馬力が物凄い。しかし、長すぎる。恐らく、殺しの描写は一人も省略しないという、言わば反映画セオリー的な意図をもって作った結果なのであろうが、大体“殺しの為の殺し”を余り好まない僕だから、ここまで延々やられると、いくら怒涛の描写とは言え、さすがにもたれてくる。
携帯電話への妨害電波など布石の使い方は上手いものの、モンスター・ペアレンツの父親(変な日本語ですみません)の殺害に関しては知的な犯人にしては偶然に頼り過ぎている。しかし、言及すべきは細かい内容よりクライマックスの殺害場面(正確にはシークエンス)であろう。邦画史上珍しいまでに徹底した、ドライな殺害場面として長く記憶されるに違いない。
伊藤英明君としては、「海猿」みたいな役ばかりでは困るとばかりの、正反対の反社会的な人物を演じたのは、役幅を広げることになっていくのではないか。To be continued...の字幕で終わっているので、或いは続編があるかもしれない。名曲「マック・ザ・ナイフ(メッキー・メッサー若しくはモリタート)」が、「黒い家」のボウリングの玉の役割を果たして効果的。
因みに、“東大”をもじって主人公が言うのは"Too die"ではなく不定詞"To die"ですよん。アメリカでは逆に"too high"を"to high"と間違える人がかなり多い。国語の勉強、碌にしてないね。
この記事へのコメント
札幌の今、じゃんじゃん雨&ぴかぴかカミナリ。
いかにも不安定な場所にあるのですなぁこの国は。
我が国土よ、しかと堪えて下されと祈るのみ。
さて、まさしく本作、妥当な6点でございます。^^
プロフェッサーのおっしゃった“児戯に等しい”
邦画ほとんどの中、覆い尽くすばかりの悪意、
そして耳つんざく驚異的散弾銃の大盤振る舞い、
大層な振り切れ具合に理屈なく私は感じ入り、
この監督さんの映画的勢い、まずは買いたい。
ライヴのラストには必ず歌わせていただく
「マック・ザ・ナイフ」。拍手もひときわ高く
喜んでいただける上に個人的にも大好きな曲。♪
本作以外にもけっこう映画に用いられておりますね。
大したことないですよ、と言おうと思ったら、今朝録画した衛星番組が一部映っていませんでした。短い時間ですが、かなり降ったということですTT
こちらは、明日も気を付ける必要があるみたいです。
>児戯に等しい
僕が言いましたか(笑)
どうも古い書物を読むことが多いので、表現が古いと自分でも苦笑しますが、
なかなか批評に使うには良い言葉ではないかと。
さて、本作、道徳的にどうこう言うのを超越した作品でしたね。
ただ、本文でも書いたように少し長い。三分の二くらいにしたらどうだったでしょう?
アメリカで一時、教師が暴れるものを含めて大量に暴力教室ものが作られましたが、ここまで理屈をこねずに勢いたっぷりに見せた作品はなかったと思います。
>「マック・ザ・ナイフ」
元来舞台と映画の「三文オペラ」で使われたものですから、エラ・フィッツジェラルドが歌ったドイツ語歌詞はその時のものですね。
比較的最近(と言っても十年くらい前)では「ラッキー・ナンバー」というジョン・トラヴォルタ主演の映画で使われていました。
関東地方はこれからが本番のようですがね。
キチガイに刃物という諺がありますが、教師に散弾銃というところでしょうか(^^ゞ
理屈がないのがいいですが、おっしゃる通り、いささか長い!
もうすこしまとめて短くした方がよかったように思いますが、ウンザリさせる目的があったのかも?
>教師に散弾銃
うまいっ!
本作は完全なるフィクションですけど、ハッカーとかコンピューター・ウィルスを作る人間とか、頭が良いのに社会に生かそうとしない連中に対しては非常に勿体ないと思いますね。
省略で効果を発揮するのが優れた映画の所以となることが多い原則に対して挑むように、一人一人省かずに描写したのは根性です。省くというよりはもう少し人数が少なくても良いような気がしましたが、これが三池炭坑節ならぬ三池節というやつでしょうか。
突如浮上、判明した当方宅での大間違いレスと
いうかトンチキ・コメントの謝罪に参りました。
「ファインディング・ニモ」のエンディングは
「ビヨンド・ザ・シー」でございました。
誰ですか「匕首マッキー」などとほざいたのは~
はい、それは私です。ごめんなさい。
訂正追記させていただきました。(- -)^^
わざわざご連絡有難うございます。
当方、最近記憶があやしく、目も良く見えず、年を感じます。
パソコンの明るい画面を見ていると、目がちかちかします。