映画評「ブリューゲルの動く絵」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2011年ポーランド=スウェーデン合作映画 監督レフ・マイェフスキ
ネタバレあり
「バベルの塔」で有名な画家ピーテル・ブリューゲル(父)の「十字架を担うキリスト」をモチーフに、ポーランドの映画作家レフ・マイェフスキが、背景となった16世紀フランドルの人々の生活を再現したユニークな作品である。
ブリューゲルが「十字架を担うキリスト」を書いた背景は当時異端者に対して行なわれた激しい宗教弾圧であり、彼としては苦い思いをもって書き上げたのであろうが、映画はそうした彼の経験をなぞるように、非常にのんびりした牧歌的な一般市民の日常風景の中に突然異端者の処刑場面を織り込み、びっくりさせる。いつしか、キリストの処刑が時空を超えてフランドルの人々の前に現出し、処刑場面の静かながら異様な迫力と時空の交錯による不思議な魅力に陶酔させられること必定。
内容はおよそ1時間半に及ぶ美術解説といった趣で、イタリア映画「四つのいのち」といった作品同様に一般的な意味で面白いとは言えないものの、CGで描かれた油絵のような背景と実写の前景とを自在に合成させたVFX処理は見事で、一見に値する。大きなスクリーンで観るに越したことはないが、TVでも大丈夫でござる。
映画ファンより美術ファン向けかな。
2011年ポーランド=スウェーデン合作映画 監督レフ・マイェフスキ
ネタバレあり
「バベルの塔」で有名な画家ピーテル・ブリューゲル(父)の「十字架を担うキリスト」をモチーフに、ポーランドの映画作家レフ・マイェフスキが、背景となった16世紀フランドルの人々の生活を再現したユニークな作品である。
ブリューゲルが「十字架を担うキリスト」を書いた背景は当時異端者に対して行なわれた激しい宗教弾圧であり、彼としては苦い思いをもって書き上げたのであろうが、映画はそうした彼の経験をなぞるように、非常にのんびりした牧歌的な一般市民の日常風景の中に突然異端者の処刑場面を織り込み、びっくりさせる。いつしか、キリストの処刑が時空を超えてフランドルの人々の前に現出し、処刑場面の静かながら異様な迫力と時空の交錯による不思議な魅力に陶酔させられること必定。
内容はおよそ1時間半に及ぶ美術解説といった趣で、イタリア映画「四つのいのち」といった作品同様に一般的な意味で面白いとは言えないものの、CGで描かれた油絵のような背景と実写の前景とを自在に合成させたVFX処理は見事で、一見に値する。大きなスクリーンで観るに越したことはないが、TVでも大丈夫でござる。
映画ファンより美術ファン向けかな。
この記事へのコメント
ストーリーはあって無きがごとしで・・・まあ、絵を楽しむ映画でありましょう。
ストーリーは実際なかったですねえ^^