映画評「96時間/リベンジ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年フランス映画 監督オリヴィエ・メガトン
ネタバレあり
allcinemaの本作コメント欄を読んでいて驚いた。前作でリュック・ベッソンを「フランス映画をつまらなくした張本人」と書いたことに何と言及する御仁がいらしたのだ。コメントの主はそれについてそれほど批判的な態度を見せていないが、不満があったことは伺える。文言がそのままなので間違いなく僕の意見についてだ。どうもすみません。
しかし、こちらとすれば「映画の多様性において」とわざわざ但し書きを付けておいたのだから、その辺はある程度汲んで貰わないと困る。
現在、製作国の言語ではなく全編英語で喋られる映画が増加中で、何処の国の映画か解らないケースによく遭遇する。マーケティングを考えれば当り前なのかもしれないが、これを困ったことと捉えない方が問題だと思う。
昔、親戚の家に呼ばれた時TVで流れていた映画を数秒観て「イタリア映画か・・・」と言ったら「どうして解るの?」と驚かれたが、昔の映画はそのくらいはっきりしていたのだ。因みに、僕が判断したのは、フィルムの色調及びズームインによるアップというカメラワークからであった。当時の映画ならイタリア人が出ていなくてもイタリア語を聞かずともイタリア映画と解った。フランス映画、ソ連映画、実に特徴的だった。
さて、allcinemaは鑑賞後に必ず寄る映画サイトなのであるが、間違いが結構多いので困る。情報の正確性から言うとIMDbが素晴らしく、製作国などはここに拠る。本作はフランス映画であってアメリカ映画ではない。
前作で元CIA秘密工作員リーアム・ニースンが拉致された娘マギー・グレースを奪還する際に殺したアルバニア人の父親ラド・シェルベッジアが復讐を誓い、部下を使って、ニースンが護衛の仕事の後先妻ファムケ・ヤンセンとマギーと観光を楽しもうとしていたイスタンブールで襲撃をかける。ファムケがいた為反撃できず捕えられた彼は目隠されていても車の操作間の時間や周囲の環境音で移動場所を特定、特殊な携帯電話を使い、別行動で難を逃れさせた娘を動かすことで、反攻を試みる。一度自由になったら前作同様無敵で豪快にやっつける。
前作より時限サスペンスの要素がなくなり展開に強引な部分がある為やや落ちるものの、十二分に楽しめる。が、オリヴィエ・メガトンという監督は、一月前に観た「コロンビアーナ」でもそうだったように、どうも演出(タッチのことですな)が悪い意味でアメリカナイズされていて感心しない。特に、細切れショットによるアクション描写がポール・グリーングラスを下手くそにしたような感じで不満が多く、全体が把握し易い前作のピエール・モレルより手際で劣る。
この続編ではアメリカ的正義、アメリカ的紛争解決方法が匂わされているような気がして爽快な気分が少し殺がれる印象もある。
「ボーン・アルティメイタム」以来屋根の上でのアクションが増えた。「ボーン」シリーズの影響力、畏るべし。
アメリカ人とアルバニア人の争いにトルコが大いに迷惑を蒙るお話。
2012年フランス映画 監督オリヴィエ・メガトン
ネタバレあり
allcinemaの本作コメント欄を読んでいて驚いた。前作でリュック・ベッソンを「フランス映画をつまらなくした張本人」と書いたことに何と言及する御仁がいらしたのだ。コメントの主はそれについてそれほど批判的な態度を見せていないが、不満があったことは伺える。文言がそのままなので間違いなく僕の意見についてだ。どうもすみません。
しかし、こちらとすれば「映画の多様性において」とわざわざ但し書きを付けておいたのだから、その辺はある程度汲んで貰わないと困る。
現在、製作国の言語ではなく全編英語で喋られる映画が増加中で、何処の国の映画か解らないケースによく遭遇する。マーケティングを考えれば当り前なのかもしれないが、これを困ったことと捉えない方が問題だと思う。
昔、親戚の家に呼ばれた時TVで流れていた映画を数秒観て「イタリア映画か・・・」と言ったら「どうして解るの?」と驚かれたが、昔の映画はそのくらいはっきりしていたのだ。因みに、僕が判断したのは、フィルムの色調及びズームインによるアップというカメラワークからであった。当時の映画ならイタリア人が出ていなくてもイタリア語を聞かずともイタリア映画と解った。フランス映画、ソ連映画、実に特徴的だった。
さて、allcinemaは鑑賞後に必ず寄る映画サイトなのであるが、間違いが結構多いので困る。情報の正確性から言うとIMDbが素晴らしく、製作国などはここに拠る。本作はフランス映画であってアメリカ映画ではない。
前作で元CIA秘密工作員リーアム・ニースンが拉致された娘マギー・グレースを奪還する際に殺したアルバニア人の父親ラド・シェルベッジアが復讐を誓い、部下を使って、ニースンが護衛の仕事の後先妻ファムケ・ヤンセンとマギーと観光を楽しもうとしていたイスタンブールで襲撃をかける。ファムケがいた為反撃できず捕えられた彼は目隠されていても車の操作間の時間や周囲の環境音で移動場所を特定、特殊な携帯電話を使い、別行動で難を逃れさせた娘を動かすことで、反攻を試みる。一度自由になったら前作同様無敵で豪快にやっつける。
前作より時限サスペンスの要素がなくなり展開に強引な部分がある為やや落ちるものの、十二分に楽しめる。が、オリヴィエ・メガトンという監督は、一月前に観た「コロンビアーナ」でもそうだったように、どうも演出(タッチのことですな)が悪い意味でアメリカナイズされていて感心しない。特に、細切れショットによるアクション描写がポール・グリーングラスを下手くそにしたような感じで不満が多く、全体が把握し易い前作のピエール・モレルより手際で劣る。
この続編ではアメリカ的正義、アメリカ的紛争解決方法が匂わされているような気がして爽快な気分が少し殺がれる印象もある。
「ボーン・アルティメイタム」以来屋根の上でのアクションが増えた。「ボーン」シリーズの影響力、畏るべし。
アメリカ人とアルバニア人の争いにトルコが大いに迷惑を蒙るお話。
この記事へのコメント
フランスはフランス語なんですが、イタリア映画はヴィスコンティなどわりと外国人俳優を使うことが多いせいか、本編が英語でイタリア語版が吹き替えだったりする。それでも、ヴィスコンティの映画は、どう観てもイタリア美術、ハリウッドの映画とは味わいが全然ちがっていました。
マカロニウエスタンやジャッロというんですか、イタリア製ホラーも、アメリカ映画にはない画面の色のかんじ、雰囲気がよかったんですよね。
解りましたよ。
カメラワークにもお国柄がありまして、大体解りましたね。
一時期のフランス映画は、アラン・ドロン主演の映画などで、英語版とフランス語版が同時に作られたようです。
吹き替えではなく、二回同じ場面を撮っているので、英語版でも口の動きがおかしくない。当然ドロンに似た声の俳優か声優を使っているんでしょうが。だから、厳密には2バージョンあるわけで、マニアックなファンなら両方を比べていることでしょう。
昔は監督で観る楽しみ、お国柄で観る楽しみがあったものですが、監督で観る楽しみは新人監督ばかりでなくなりましたし、映画もつまらなくなったものです。
『デルスウザーラ』などはあのカラーでなければならないとねこのひげは思っておりますです。
ガラパゴスが世界を席巻すれば、それがスタンダードというかグラーバルでもあると思うのでありますよ。
>グローバル化
映画はグローバル化の良くない典型。
同じようなものを見せられるのは良い迷惑です(怒)。
>「デルス・ウザーラ」
当時のソ連映画ですから、少し緑がかった感じなんですよね。
「貴族の巣」とか皆、ああいう感じの発色でした。